警察官は交番にいたり、パトカーに乗って街中をパトロールしたりしているイメージが強い。
もし彼らが、インスタグラムやTikTokなどのSNS、フォートナイトやマインクラフトといったオンラインゲームの世界に現れたら、驚くのではないだろうか。
デンマーク警察庁は2022年4月以降、主に子どもや若者を対象としたネットパトロールを実施している。若者が脅迫、詐欺、グルーミングなどの被害に遭ったり、モラルに欠けた行為をしたりすることを防ぐのが目的だ。そのために、上記のようなオンラインプラットフォームで活動している。
「若者がいる場所に行かなければならない」という考えのもと、実施されているネットパトロール。警察官のアドバイスを受け入れてもらえるように、若者とは良い関係を築くことを意識している。若者がネット上で不審な活動を見かけたとき、警察官に相談しやすい雰囲気を作っておくことも大切だ。
たとえばインスタグラムには、警察官がギターを弾きながら歌ったり、クリスマスを祝ったりしている動画を投稿。こうして、「いかにもパトロールしている」という堅苦しさを消しつつ、「2段階認証を使ってね」「警察や市役所が急に個人宛に連絡してくることはないから、詐欺だよ」などと伝えて、ネットを安全に使うための注意喚起動画も投稿している。
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ネットパトロールに参加する警察官には、SNS、オンラインゲーム、データ収集などに関する知識が求められる。たとえば、ある警察官はフォートナイトが好きで、オンラインゲームに詳しい。彼らの平均年齢は約30歳だ。
この取り組みは、ネットの危険性を心配する保護者からも好評だという。オンラインで保護者向け説明会を実施するなどして、多くの人にネット利用に関するメッセージを届けている。
ある警察官は、Dansk Politiの取材に対し、「TikTokやFacebookの投稿にいつも登場したくはないですが、名前を出さずに、たまには登場したいです。これも重要な仕事ですから」と話している。活動の場を広げる警察官たちを応援したい。
【参照サイト】Politiets Online Patrulje | Virksomheden | Politi
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