帆船で原料を運ぶチョコレートに、歯磨きにも使える手作り石鹸?大切な人に贈りたい、欧州のサステナブルなお土産【欧州通信#35】

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近年ヨーロッパは、行政およびビジネスの分野で「サステナビリティ」「サーキュラーエコノミー」の実践を目指し、さまざまなユニークな取り組みを生み出してきた。「ハーチ欧州」はそんな欧州の最先端の情報を居住者の視点から発信し、日本で暮らす皆さんとともにこれからのサステナビリティの可能性について模索することを目的として活動する。

ハーチ欧州メンバーによる「欧州通信」では、メンバーが欧州の食やファッション、まちづくりなどのさまざまなテーマについてサステナビリティの視点からお届け。現地で話題になっているトピックや、住んでいるからこそわかる現地のリアルを発信していく。

前回は「ヨーロッパ注目のサーキュラースタートアップ」を切り口に、各国で注目される企業の活動をその背景とともに紹介した。今回の欧州通信では「サステナブルなお土産」をテーマに、各国在住者がおすすめの商品を紹介していく。

【オランダ】エコでエシカルなチョコレート「Chocolatemakers」からクリスマス限定版が登場

オランダからのおすすめしたいサステナブルなギフトは「Chocolatemakers」のチョコレート。Chocolatemakersは、生産工程で産地へのポジティブな影響と環境負荷抑制に徹底的にこだわり、風力のみで動く帆船でカカオを運ぶなど、その型破りな行動力と環境・社会を大切にするマインドで人気を博すアムステルダムのブランドだ。

同社は透明性とトレーサビリティを大切にしており、つくる過程を一般に公開。消費者はどのようにして製品が作られ、どのような影響を環境に与えているかを正確に知ることができる。チョコレートはオーガニック認証を受けており、サステナブルな農法で栽培されたカカオ豆のみを使用している。

この季節おすすめは、特別なクリスマス限定版。なかでも「ビオ・クリスマスバー・スペキュラース」はペルー産のオーガニックカカオを使用した濃厚なミルクチョコレートに、クリスピーなジンジャーブレッドのかけらを散りばめたフレーバーだ。クリーミーな味わいとカリカリとした食感の絶妙なバランスが楽しめる。アマゾンのセネパ川とリオ サンティアゴ川のほとりに住むアワジュン・コミュニティが栽培するカカオは、NorAndino協同組合の協力の元、高品質の有機栽培を行っている。

 

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Chocolatemakersのチョコレートは、オランダ全国にあるヘルスケアショップ・Holland & Barrettなどで購入可能。ホリデーシーズンの贈り物として、または自分へのご褒美として、Chocolatemakersのチョコレートを試してみてはいかがだろう。その濃厚な味わいもさることながら、チョコレート産業の今に目を向けつつ、生産地に貢献できるはずだ。

【関連記事】チョコは、風と自転車で運ぶ。オランダ・Chocolatemakersの“スローな”ビジネスの流儀
【参照サイト】Chocolatemakers

【オーストリア】ウィーン市内で、ナチュラルオイルからつくられる石鹸

お店の名前「Wiener Seif」の意味は“ウィーンの石鹸”。その名の通り、ウィーン市内にある工場のなかで丁寧に作られる自然派手作り石鹸を売るお店だ。保存料やそのほかの添加物、ミネラルオイルなどをいっさい使用せず、オーガニックオイルだけを使う石鹸は、「自然の力」をお肌に与えてくれる。石鹸に加えるフレグランスも全て天然エッセンスを配合、全身への使用が可能だ。例えば、商品ラインナップの一つである「塩石鹸」は、歯磨きにも使えるとか。

Wiener Seifの石鹸は、コールドプロセスと呼ばれる製法でつくられている。手間がかかるというこの方法により、石鹸に含まれるお肌にとって大切な成分が全て保存されるのだ。お店のコンセプトはできる限りサステナブルな方法で石鹸を作ること。製造過程をはじめ、材料の調達も地元で生産されたオイルやエッセンスにこだわっている。商品のパッケージにもプラスチックを使用せず、過剰な包装を避けて、石鹸は最小限の紙に包まれている。天然エッセンスの香りの良さもさることながら、一つ一つの商品からその丁寧な作りが伝わってくる。

顔用・グレープシードが入ったスクラブ用・手洗い用・シャンプーの代用となるヘア用に加え、家事用石鹸など種類も非常に豊富。さらに犬や猫など動物専用の石鹸も。ペットのこともちゃんと視点に入れた動物愛護の街ウィーンならではといえる商品だ。ウィーンに来たらぜひお土産に。

Photo by Yukari

【参照サイト】Wiener Seif

【イギリス】罪悪感のない朝食を。食品廃棄を使ってできたグラノーラ

野菜や果物の皮や芯といった調理くず。それがもし料理に使えたのなら、廃棄をどれほど減らすことができるだろうか。そんな想いから、ロンドンでnibs etc.(以下、ニブス)のグラノーラが作られた。二ブズのグラノーラは、りんごのお酒「シードル(英国ではサイダーと呼ばれる)」やジュースを製造する際に出る、りんごの芯や皮、種にいたるまで本来廃棄される原材料を業者から調達し、美味しいグラノーラに加工して販売している。

味は「オーツ、アーモンド、ハニー」「ライ麦、ココナッツ、カカオ」「大麦、スペルト小麦、クルミ」の3種類。どれも食物繊維、タンパク質が多く含まれ、低糖質だ。りんごは品種によって収穫できる時期が異なるため、見た目や味が季節によって微妙に異なるというが、それもまた季節の味として楽しむことができる。完全に甘味を抑えた「大麦、スペルト小麦、クルミ」は、フライパンで炒って香りを出してから、サラダにかけても楽しめるそうだ。

また最近、ニブスでは新しい商品としてクラッカーも販売されるようになった。こちらも、オーガニックのオーツ、種子、そして天然の食物繊維が豊富なリサイクルされたリンゴの果肉のみで作られている。これらはオンラインの他、SelfridgesやWhole Foods Marketなど一部のスーパーで手に入れることができる。

ニブスの商品は、素材の甘みのみが感じられる、素朴な味わいが特徴だ。ロンドン滞在中、疲れた胃を休めるために、あるいは帰国後の朝食に、試してみてほしい。

 

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【関連記事】ロンドンで注目される、食品廃棄グラノーラ。実際に買って食べてみた! 
【参照サイト】nibs etc.

【フランス】責任ある製品のみを取り扱う、“株主のいない”ブティックAltermundi

「パリでサステナブルなお土産やギフトを買いたい」と思ったとき、一番に思い浮かぶのが、Altermundiだ。ファッション雑貨やインテリアなど、日常生活に取り入れやすいエシカルでおしゃれな商品を幅広く揃えているブティックで、パリ市内には11店舗、オンラインショップも運営している。

同ブランドが取り扱う製品は、「ヨーロッパで作られたものであること」「廃棄物ゼロ」「アップサイクリング」「再生可能素材の使用」「オーガニック」など、厳格な基準を満たしているもののみ。さらに、Altermundiの特徴は環境面だけではなく、社会的マイノリティの雇用促進にも力を入れている。職業訓練やスキルアッププログラムを提供し、労働市場で新たなチャンスを得られるよう支援しているのだ。

Altermundiは、社会的企業のグループである「Groupe SOS」によって創設されており、株主が存在しないことも特徴の一つ。同ブランドの利益の100%は、社会的および環境的なイノベーションの創造や維持に再投資されている。環境と社会の両面で持続可能性を追求するAltermundiは、単なるショップの枠を超え、人々の意識を変革し、パリ市民のサステナブルな生活を支える存在となっている。

【参照サイト】Altermundi

編集後記

いかがだっただろうか。せっかくなら現地で注目される商品を楽しみたい。けれど、そこで自然環境や地域社会を蔑ろにする選択はしたくない、と思っている方々に、アイデアを提供できていれば幸いだ。

ホリデーの暖かな光に包まれるヨーロッパに渡航される際は、現地での体験を楽しむのはもちろん、創意工夫が凝らされたプロダクトを家に持って帰ってみるのはどうだろう。

Written by Kozue Nishizaki, Yukari, Megumi, Erika Tomiyama
Presented by ハーチ欧州

ハーチ欧州とは?

ハーチ欧州は、2021年に設立された欧州在住メンバーによる事業組織。イギリス・ロンドン、フランス・パリ、オランダ・アムステルダム、ドイツ・ハイデルベルク、オーストリア・ウィーンを主な拠点としています。ハーチ欧州では、欧州の最先端の情報を居住者の視点から発信し、これからのサステナビリティの可能性について模索することを目的としています。また同時に日本の知見を欧州へ発信し、サステナビリティの文脈で、欧州と日本をつなぐ役割を果たしていきます。

ハーチ欧州の事業内容・詳細はこちら:https://harch.jp/company/harch-europe
お問い合わせはこちら:https://harch.jp/contact

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