【2025年6月】とにかく「褒める」おじさんが街を笑顔に?グッドニュース5選

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社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、猫舌を助けてくれる猫型ロボットやアプリでうつ病を解消する臨床実験などを紹介した。

日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。

愛に溢れた世界のグッドニュース5選

01. 目の見えないスケートボーダーが、障害の有無にかかわらず滑れるスケートパークを建設

7歳でスケートボードを始めたダン・マンシーナさん。13歳のときに網膜色素変性症と診断され20代でほぼ失明した彼は一度スケートから離れるも、数年後、白杖を使って再びスケートを始めプロスケーターに復帰する。

自身の経験を経て、「視覚障害者や車椅子ユーザーが思いっきりスケートを楽しめる場所を作りたい」と考えたマンシーナさんは、「アダプティブ・スケートパーク」を建設することにした。

「ザ・ランチ(The Ranch)」と名づけられたこのスケートパークは、ハンディキャップがあっても移動がしやすいよう、一般的なスケートパークよりも広くゆったり設計されている。また、色のコントラストを活用して障害物をはっきりさせたり、触覚や聴覚で認識できるガイドを付けたりすることで、安全かつアクセシビリティの高いパークに仕上げられているのだそうだ。

マンシーナさんは今後、視覚障害を持つ人に向けて白杖を使ったスケートのやり方を教えるワークショップなども開催する予定とのこと。

やりたいことができないと諦めなくて良い。自分にもできるように環境にほんの少しの変化を加えてみよう──そんなふうに思わせてくれるパワフルでやさしい事例だ。

【参照サイト】Blind skateboarder Dan Mancina builds world’s first adaptive skatepark: “Everyone should have the opportunity to try skating”

02. 空気中のCO2から「ガソリン」を生み出す技術

IDEAS FOR GOODでは過去に、空気からバターハンドサニタイザーダイヤモンドなど様々なものを作る事例をご紹介してきた。今回ご紹介するのは、空気中のCO2からガソリンを作る技術だ。

アメリカの燃料会社Aircela社は、DAC(直接空気回収)技術を用いたガソリンの製造に成功した。冷蔵庫くらいの大きさの装置を使用して空気中から回収したCO2と、水を分解して得られた水素を反応させてメタノールを生成。これを、MTG二段階触媒プロセスを経てガソリンに変換するのだという。

Aircela社は、この化石燃料を一切使用せず生成するガソリンを2025年秋末から米国の一部で導入開始する予定である。

DAC技術に関しては、その過程で使用されるエネルギー量や回収量、コストなど、様々な点でネガティブな指摘がされることもある。だが、日常生活はもちろん災害時にも役立つであろうこのガソリン生成技術への期待は今後も高まっていきそうだ。

【参照サイト】Aircela

03. 褒めて褒めてまた褒める。路上で人々を元気にする「褒めますおじさん」

最近誰かに褒められたことはあるだろうか。最後に褒められたのはいつか思い出せるだろうか。大人になると、子どもの頃のように「よく頑張ったね」とノートに花丸をつけてもらうことはなくなるし、段々と「できて当たり前」が増えていく。自分で自分を褒める機会すら全くない、という人もいるかもしれない。

「褒める」が自分と遠いものとなっていきがちな昨今、注目を集めているのが首都圏の街頭を中心に活動する「褒めますおじさん」だ。彼は「すごくほめます」と書かれた段ボールを掲げ、路上で人々を褒め続けているパフォーマーである。

かつて会社員だった彼は、ギャンブルや父親の病をきっかけに家を失い、ホームレス生活を経験。その後、幼少期からの路上パフォーマーへの憧れと、自らの体験をもとに「人を褒める」という行動を思いついたという。相手の容姿や会話から気づいた些細な点を丁寧に救いあげる彼の「褒め」を求めて、一人暮らしの若者から仕事に疲れた会社員、海外からやってきた夢追い人までたくさんの人々が訪れる。常連客もいるそうだ。

褒められて「元気が出た」「悩みが軽くなった」「救われた」と語る相手の姿に「褒めますおじさん」自身も深い喜びを感じており、それが活動の原動力になっていると話す。「褒め」は笑顔の連鎖を生む源泉なのかもしれない。

【参照サイト】褒めますおじさん | Instagram
【参照サイト】家を失い“褒めますおじさん”に 褒めに再起をかける人たち

04. アシックス、サモエド犬をアンバサダーに。犬が運動意欲と幸福感を高めるとの研究から

運動するのは億劫。でも、愛犬の散歩のためなら歩くのも頑張れる気がする──犬を飼う人がなんとなく抱いているその感覚は、多くの人に共通するものであると、研究で明らかになった。

アシックスの研究によると、犬を飼っている人の69%がパーソナルトレーナーなどよりも、愛犬が運動の主な動機付けであると回答。また、84%は愛犬と運動することで「より幸せを感じている」と答えたという。つまり犬は、人間が運動するモチベーションや精神的幸福に好影響を与えているのだ。

アシックスは、5月、そんな心身に健康をもたらすパートナー「犬」をブランドのアンバサダーに任命した。今回アンバサダーになったのは、サモエド犬のフェリックス。公式の動画には、もふもふの毛を揺らしながら懸命に自然のなかを駆け回るフェリックスの姿が収められている。

輝く瞳でこちらを見つめ、ぶんぶんと激しくしっぽを振る愛すべき「健康インフルエンサー」たちは、どんな言葉よりも強力に私たちを突き動かしてくれる。フェリックスも、きっと、たくさんの人に体を動かす喜びを“全身で”伝えていくことだろう。

【参照サイト】Four legs, one mission: ASICS signs a dog to inspire the world to move for body and mind

05. 「ストレス臭」をケアし、心を整えるミスト

人間に不安や緊張といった心理的ストレスが加わると、実は、肌から特徴的なにおいの皮膚ガスが発生するのだという。この「ストレス臭」は、においを発した本人にもネガティブな影響を与え、「混乱」「疲労」「緊張」「不安」といった心理状態を引き起こしてしまうのだそうだ。

この現象を発見した資生堂は、ストレス臭をケアするミスト「Stress G Harmonizer」を発売。特定のにおい成分を包み込むことで目立たなくする「ハーモナージュ香料」を配合し、心のこわばりから無意識に生まれる肌からのにおいにアプローチしている。

不安になり、緊張することでストレス臭が発生し、そのにおいを嗅いで、さらに不安になる……このミストは、そんなふうにどんどんネガティブになっていく心をふんわりと包み込み自然体の自分へと引き戻してくれるのかもしれない。

【参照サイト】資生堂研究所発「fibona(フィボナ)」が共創するビューティープロダクツ 肌からの”ストレス臭”をケア※1 するミスト「Stress G Harmonizer」発売~どんな時も心地よく、自分を整える体験を~

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