エコと速さを両立?風力で進む次世代貨物船。グッドニュース5選【2025年12月前半】

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社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、「工事現場で子どもたちのために行われたリアル「ウォーリーをさがせ!」やスマホを寝かしつけるベッドなどを紹介した。

日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。

愛に溢れた世界のグッドニュース5選

01.環境負荷削減と速さを両立?風力だけで進む次世代貨物船

遠い国へ荷物を届けるのに、「速さ」と「環境へのやさしさ」を両立させるのは難しいと思ってしまうものだ。そんな常識をくつがえす船が、いまフランスで開発されている。

スタートアップVELAが手がけるのは、三つの船体を持つ“トリマラン(安定性の高い三胴船)”の貨物船。しかも、海の上では風力だけで走ることを目指している。全長は約65mで、ヨットレースの技術を取り入れた船体は、大西洋を15日以内で横断できるほどスピーディだ。これは通常のコンテナ船の約半分の時間にあたる。

積める荷物は最大600ユーロパレット(約410トン)。医薬品やワイン、化粧品など、温度管理が大切な貨物の運搬にも対応する。さらに、航行中のCO2排出は航空輸送比で最大99%、コンテナ船比でも90%削減できる見込みだ。

「速いほうがいい。でも、地球にもやさしくしたい」そんな願いに応えてくれる、未来の船が生まれようとしている。

【参照サイト】Wind-powered trimaran cuts Atlantic shipping time in half, with near-zero emissions | TrendWatching

02.17万匹の迷子ペットを家族のもとへ。無料AIツール「Love Lost」

ペットが迷子になる──飼い主にとって、想像しただけで胸が苦しくなる出来事だ。もしそんなことが起こってしまったとき、つらさに寄り添い、希望を届けてくれるのが、AIを使った無料の迷子探索ツール「Love Lost」である。

使い方はとてもシンプル。飼い主がスマホで撮ったペットの写真をアップロードすると、AIが保護された動物のデータベースを探し、似ている動物をすぐに表示してくれるのだ。2021年のスタート以来、すでに17万匹以上が家族のもとへ帰る手助けとなっているという。

これまで迷子探しは張り紙やSNS任せになりがちで、入ってくる情報はバラバラだった。Love Lostはそれらを一つの場所に集約し、AIが瞬時に照合してくれる仕組みだ。

テクノロジーが、こんなにも温かい“再会”を生み出している。AIが「絆をつなぐツール」として活躍するやさしい事例だ。

 

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【参照サイト】Report and Search Lost and Found Pets | Petco Love Lost

03.副作用の少ない鎮痛薬につながる?脳の“痛みスイッチ”発見

「痛みをどうにかしたい。でも鎮痛剤を飲むのもなんだか嫌だな……」そんなふうに思ったことはないだろうか。鎮痛薬は眠気や内臓への負担など副作用がつきまといがちだ。

そこで注目されているのが、アメリカの研究チームが発見した「VLK」という酵素。痛みの信号に関わる仕組みが、神経細胞の外側にあることが分かったのだ。

この酵素をなくしたマウスは、手術後の痛みだけが弱まり、触覚などほかの感覚はそのままだったという。この結果は、細胞の外側をターゲットにすることで、副作用の少ない鎮痛薬の開発につながる可能性を示している。

もちろん、まだ動物実験の段階であり、人に応用するには慎重な検証が必要だ。それでも、痛みに悩む多くの人にとって、穏やかな未来を感じさせる前向きなニュースである。

【参照サイト】Tulane scientists uncover new pain-signaling switch | Tulane University

04.道路のひびにワクワクを。香港のミニチュアアートが街を変える

街を歩いていると、ふと目に入るコンクリートのひび割れ。普段なら気にも留めずに通り過ぎてしまうその“綻び”が、香港のアーティストの手にかかると、思わずくすっとしてしまう小さなアートになる。

手がけているのはクリエイターのAboringdayさん。3Dプリンターで作った小さなおもちゃやミニチュアを、道路の隙間や壁の穴にはめこみ、壊れた部分を“遊び場”に変えてしまうプロジェクトだ。

穴が「レゴの牢屋」に、地面の割れ目が「ミニ蓄音機」や「噴水」になるなど、日常の風景がちょっとした冒険の舞台に早変わりする。

壊れた場所をただ嘆くのではなく、「直さずに、楽しむ」という発想の転換。都市に小さな笑顔を散りばめる、やさしいアートである。

【参照サイト】Cet artiste répare les trottoirs avec des jouets imprimés en 3D | Creapills

05.100万人の「希望」を生む。子どもたちがポジティブ・ニュースの記者に

暗いニュースが流れやすい今の時代。「もう少し明るい話題がほしい」と感じる人は少なくないはずだ。そんな願いに応えるように、イギリスでは「ジル・ダンドー・ニュース」が100万人の“希望の記者”を育てるキャンペーンを立ち上げた。

対象は5〜21歳の若者たち。彼らは地域のいい話やチャリティ活動を自ら取材し、「ポジティブなニュースを発信する力」を磨いていく。主催者はこれを、若者のメンタルヘルス悪化に対する“解毒剤”と呼んでいる。

子どもたちがペンを手に描く未来は、きっと世界に希望の火を灯していくだろう。

【参照サイト】Jill Dando News launches global campaign to train 1 million young reporters | Good News Post

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