美容業界初。100%海洋プラスチックからパッケージを作るヘアケアブランド

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毎年800万トンのプラスチックが海に流れ出ており、2050年までには魚の数を超えると言われている。これに対し、IDEAS FOR GOODでは最近海洋プラスチックを2040年までに90%除去するオランダ発の装置や、フィンランドが開発中のプラスチックを燃料や化学物質に変えるコンテナをご紹介してきた。

世界中で海洋プラスチックへの関心が大いに高まるなか、この動きがついに美容業界にも到来している。ヘアケアブランドのケビンマーフィー(KEVIN.MURPHY)が、製品パッケージを100%リサイクルされた海洋プラスチックゴミから作ると発表したのだ。これらのリサイクルパッケージに入れられたケビンマーフィーの商品は、2019年半ばに世界中のサロンでデビューする予定だそう。

 Kevin Murphyパッケージ

Image via Kevin Murphy

同ブランドでは毎年パッケージに360トンのプラスチックを使用してきたが、そのすべてが現在海洋プラスチックで代用されるようになれば、そのまま360トンのプラスチック利用を抑えることができるとのこと。

ケビンマーフィーが100%海洋プラスチックでボトルを作ろうと考えたのはなぜか。きっかけは昨年、ブランド創設者のケビン・マーフィー氏が、友人カップルがバリ島を旅行したときにビーチがプラスチックゴミだらけだったという話を聞いて驚愕したこと。

また、冒頭でもご紹介したオランダのOcean Clean Up創設者であるボイヤン・スラット氏のような若きイノベーターの活躍をみて、マーフィー氏自身も海洋プラスチック問題改善に関して手助けできるかもしれない、ということに気付いたことである。

そして、さまざまな企業と連携してエコなパッケージの開発をするデンマークの企業PachTechと共に、今回のパッケージを開発していった。PachTech側が、パッケージを100%海洋プラスチックから作れる可能性があるとマーフィー氏に伝えたときには、即決だったという。その時のことを同氏は「悩む必要のないことでした。」とポジティブに振り返っている。

しかし経済面では、困難にもぶつかった。海洋プラスチックを調達する行動自体がまだ新しく、複雑なサプライチェーンを必要とするからである。海に漂うプラスチックを集め、再加工できる施設まで運ぶことをトロール船に委託するのは、新たにプラスチックを調達して加工する5倍の値段がかかる。

マーフィー氏は「最初は壊滅的な状況だと思いました。」と語っている。しかしながら会社の経理部が、商品を7%値上げすることを提案。オペレーションにダメージを与えることなく、また予算へのダメージも最小限に抑えて経費を回収できるとの見通しを立てた。

「プラスチック削減は地球の未来にとって重要な課題なので、私たちも犠牲を払う必要があると思いました。」とケビンは値上げについて語る。そして、消費者が少し高い値段を払ってでも海洋プラスチックを再利用したパッケージの商品を買うようになるとの確信を持っている。これらを成功させるためにソーシャルメディアを駆使してPRし、またボトルに貼っているラベルも新しいものに刷新した。

ケビンマーフィーは、最もプラスチックを使っている会社かと言われればそうではない。アディダスも海洋ブラスチックから作られたシューズやサッカーユニフォームのラインナップを揃えている。しかし、ケビンマーフィンはパッケージをすべて海洋プラスチックから作るという点で、他のブランドと差を付けている。

「他の会社は海洋プラスチックを全材料のうちの少量混ぜ込んでいますが、私たちは100%海洋プラスチックで作っていきたいのです。」同ブランドは、同じくシフトチェンジを目指すブランドのメンターとして動いていこうとしている。

ケビンマーフィーは従業員100人と小さめの会社でありながら、美容業界に驚きを与えた。このシフトチェンジが、より大きな会社の動きも変える日はそう遠くないだろう。

【参照サイト】Kevin Murphy

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