絶滅危機の言語を教えてくれるのは、おもちゃ!NZのマオリ語を喋るおしゃべり人形Pipi Mā

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現在、世界中で約6,000もの言語が話されていると言われている。しかしながら、そのうちの約43%が絶滅の危機にある。アメリカ国立科学財団によれば、半分の言語は今世紀終わりまでに消滅してしまうと予測されている。

そのような絶滅の危機にある言語を持つ国や民族が、自分たちの言語を守ろうと様々な活動をしている。とくにニュージーランドの先住民であるマオリ族は、これまで活発に活動をおこなってきた。例えば、1975年より「マオリ語週間」というものが制定されており、多くの学校や企業が参加する形でマオリの文化を広めようという試みがされている。

そんな中、子供のころからマオリ語というものが、”当たり前”になるように、マオリ語を話すおもちゃが開発された。その名もPipi Māというおしゃべり人形だ。

大学在学中にマオリ語を習った、Pipi Māの開発者であるHōhepa TuahineとKristin Rossは、自分たちの子供にもマオリ語を教えたいという思いから、世界初のマオリ語を話す人形の開発をした。

「娘がディズニー映画のアナと雪の女王に出てくるエルサのおしゃべり人形をすごく喜んでいるのを見て思いついたんだ。マオリ語を喋るおしゃべり人形が必要だ!ってね」とTuahineは語った。

それぞれの人形には、Pipi、Hura、Tītokiなどの伝統的なマオリの名前がつけられ、Pipiはあごにマオリの伝統のタトゥーであるMokoがあり、Huraは鳥の羽を頭につけ、pounamuというネックレスを首につけたりと、それぞれの人形が違う特徴を持っている。

Pipi Māはポップカルチャーとマオリカルチャーを織り交ぜっており、子供たちに「マオリ語ってクールだ」と自然に感じさせてくれる商品である。マオリ語研究者のKahurangi Maxwellは、「幼少期から、マオリ語というものが”当たり前”になるようにできるこの商品は、とても重要なものだ」と語っている。

言語の復興というものは一筋縄ではいかない問題だ。しかし、このように幼少期から、それを生活の一部として当然に感じられるおもちゃは、大きな前進に繋がるだろう。私たちの暮らす日本にもアイヌ民族がいるが、現状ではアイヌ語を流暢に話せる人は約10人しかいないとも言われている。ニュージーランドのマオリの活動にわたしたちも学ぶことが多くありそうだ。

【参考サイト】Pipi Mā
【参考サイト】Can tech save te reo Māori? These entrepreneurs think so
(※画像:Pipi Mā

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