2018年現在、世界ではプラスチックゴミが年間3億トン排出されている。環境への影響を経済換算すると推計1.4兆円にも上る規模だ。その反面、リサイクル率は全世界で15%、EUだけでも30%にとどまるなど、プラスチックゴミ削減の余地は依然として大きい。
身近なところでも、コーヒーチェーンがプラスチックの削減とリサイクルに取り組んでいることをニュースで目にした方も多いだろう。特にスターバックスはこの問題の解決に積極的で、プラスチックストローの廃止やプラスチック以外の再生可能な素材でできた容器の使用を進めている。
コーヒーマシン「ネスプレッソ」を世界中に展開するネスレも、独自の形でリサイクルへの取り組みを強化している。同社とスウェーデンの自転車メーカーVélosophyは共同で、ネスプレッソの空きカプセルのリサイクル素材をフレーム部分に使った自転車「RE:CYCLE」の発売を開始した。
RE:CYCLEは1290ユーロ(10万円程度)を超える価格に見合うこだわりの素材を使い、持続可能性を目指すだけでなく、先進的で高品質なデザインとの両立も重視している。かごにはカップホルダーが2つ設けてあり、ネスプレッソカプセルを参考にした塗装や、カプセルの形をモチーフにしたベルもついているなど、ネスレとのコラボを表現しているのも特徴だ。
Vélosophyは2016年の創業以来、販売台数と同じ台数の自転車を途上国の若年女性に寄贈する取り組みを行っており、社会課題解決を事業の中心においている企業だ。ネスレ社の持続可能性への取り組みや「コーヒー1杯が世界にポジティブなインパクトをもたらす」というビジョンに感銘を受けたことが大きく影響して、今回の自転車の実現につながっている。
ブランドに社会的責任を求めるミレニアル的な価値観を持ち、企業の理念や社会への貢献を重視する消費者の出現もあり、スターバックスとネスレの連携といった同じ業界の企業同士だけでなく、ブルワリーと魚の養殖がコラボするなど、異業種同士で協力する事例も近年見られている。
消費者に選ばれるブランドであり続けるために、業種の異なる企業同士が持続可能性の追求や社会課題解決に向けて連携する動きは今後も見られそうだ。
【関連サイト】PRのプロたちに聞く!ミレニアル世代に響くコミュニケーションのあり方。パーパスがうむ「共感」の連鎖とは
【参照サイト】Introducing RE:CYCLE
【参照サイト】Nespresso アルミのリサイクル 資源の循環
【参照サイト】Nespresso アルミのリサイクル 資源の循環