2019年10月、使用電力の再生可能エネルギー100%化に向けて共に行動を示していく日本独自のイニシアチブ「再エネ 100 宣言 RE Action(アールイー・アクション、以下REAction)」が発足した。参加団体は、グリーン購入ネットワーク、イクレイ日本、公益財団法人地 球環境戦略研究機関、日本気候リーダーズ・パートナーシップなど、消費電力量 10GWh 未満の28企業だ(2019年10月時点)。
これまでにも再生可能エネルギー100%へのシフトを宣言するイニシアチブ「RE100」があったが、消費電力量が10GWh以上の企業に限られていたため、中小規模の事業者が参加できないという課題があった。しかし、これらの対象外となってしまう組織の電力需要は日本国内の約40~50%程度を占め、数にして約400万団体に上るとみられる。社会が再生可能エネルギーへの転換をはかっていくうえで、その影響は小さくない(※)。
REActionの対象は日本国内の企業、自治体、教育機関、医療機関等の団体だ。企業に加え、さいたま市や久滋市のような自治体や、千葉商科大学などの大学組織もみられる。一方、すでにRE100の対象となっている団体、再エネ設備事業の売上高が全体の50%以上の団体、主な収入源が発電及び発電関連事業である団体は、今回対象外となる。
加盟要件は、遅くとも2050年までに使用電力を100%再エネに転換する目標を設定し、対外的に公表すること(再エネ100%宣言)や、再エネ推進政策への賛同をすること。さらに、消費電力量、再エネ率等の進捗を毎年報告することなどが求められる。
発足にあたり、RE100のサム・キミンス氏は、「RE100と、今回の再エネ100宣言RE Actionは、国内で互いに協力し合いながら、再エネがあらゆる規模の企業にとって事業上、理にかなっていることを証明し、そして、止められない勢いのあるこの動きを加速していくでしょう」とメッセージを寄せた。
今後、多くの中小規模組織が再生可能エネルギーへのシフトを容易にするための投資や政策の整備をすすめていくという。
パリ協定で明記された「今世紀後半までにCO2排出をゼロにする」という目標を達成するためには、それを阻害するエネルギーへの依存を止め、代替エネルギーへのシフトが必要となる。その意味で、今回のイニシアチブが世論や投資、政策の流れを大きく変える力となっていくことを期待したい。
※中小企業庁「中小企業白書」、資源エネルギー庁「エネルギー白書」、電気事業連合会「FEPC INFOBASE」等より推計。
【参照サイト】日本の中小企業や、企業以外の団体による RE100 宣言の新枠組み 「再エネ 100 宣言 RE Action」発足
【参照サイト】再エネ 100 宣言 RE Action(アールイー・アクション)