横浜国立大学、コーヒーかすからセルロースナノファイバーを生成。持続可能な生産消費へ

Browse By

いま、コーヒーの“ゴミ”をうまく使った取り組みが世界各地で増えてきているのをご存知だろうか。コーヒーかすから作る機内食用トレイ生分解可能なサングラス、廃プラとコーヒーかすが原料のスニーカー。ロンドンでは、コーヒーかすから作った燃料でバスが走っている

横浜国立大学がこのほど、コーヒーかすからセルロースナノファイバー(CNF)の生成に成功したことを発表した。セルロースナノファイバーとは、主に植物を由来とする非常に小さいセルロース(炭水化物の一種)の繊維のこと。軽量で強度が高く、温度変化による伸縮が小さく環境負荷が少ないという特徴を持っており、車の部品や住宅建材、フィルターや食品フィルム、医薬品や化粧品など、幅広い用途に使用できる。循環型社会をつくる次世代のバイオ素材として注目されるものだ。

現在、セルロースナノファイバーは木材パルプからの製造が主流だが、製造コストの問題等があり、セルロースナノファイバーの新たな原料開発が求められていた。そこで研究チームが目をつけたのが、日々大量に廃棄されるコーヒーかすだったのだ。

コーヒーかす

国際コーヒー機関の統計によると、平成30年の日本におけるコーヒーの消費量は約47万トンほどだと。当チームは、コーヒーかすに含まれるセルロースはわずか10%ほどだが、消費量が多いことからセルロースナノファイバーの原料として使用できると考えた。実際に電子顕微鏡や NMR(核磁気共鳴装置)などの先端機器でコーヒーかすの構造を分析したところ、木材由来のセルロースナノファイバーの特性と似ていることが分かっている。

また、水に溶けやすいポリビニルアルコールとコーヒーかす由来のセルロースナノファイバーを混ぜて、均一な質で生分解できるフィルムを作成することにも成功している。

今回の研究成果は、木材でなく“ゴミ”であるコーヒーかすが、セルロースナノファイバーの原料として十分利用できる可能性を示すとともに、SDGs(持続可能な開発目標)の目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」に貢献することが期待される。

もちろん、課題もある。セルロースナノファイバーの原料としての本格使用にあたっては、コーヒーかすからの抽出をより効率的に行う方法の確立や、使用済みコーヒーの回収方法やコストなどだ。これらを克服するには、コーヒー製造会社と製紙会社、大学と国と自治体の連携が必要になると、研究者らはみている。

コーヒーかすから、さまざまな製品の原料になるセルロースナノファイバーをつくる横浜国立大学の研究。循環型社会の構築を促す次世代のバイオ素材のこれからが期待される。

【参照サイト】YNC – コーヒー粕から セルロースナノファイバーを 生成することに成功