写真の本当のストーリーを知ろう。Canonによる、フェイクニュース防止サイト

Browse By

フェイクニュースが社会問題として認識されるようになって久しい。ソーシャルメディア等でもさまざまな対策は講じられているが、根本的な解決には至っていない。昨今のコロナ禍でも根拠に乏しい情報が流布し、世界保健機関(WHO)は、これらを「インフォーメーション」と「パンデミック」を組み合わせた「インフォデミック」と呼ぶようになった。

ヒトの得る情報の80%が視覚によるものだと言われるように、報道に使われる「写真」が人々の感情に与える影響は大きい。フェイクニュースにおいては、写真が意味していた事柄が加工や切り取り等で恣意的に歪曲され、まるで異なる印象やストーリーを読者に伝えてしまう事例が頻発している。

そんな問題に着目したのが、カメラで知られるCanonだ。同社の北欧支部であるCanon Nordicは、デンマークのクリエイティブエージェンシーUncle Greyと協力し、写真のプラットフォーム「Truthmark」をローンチした。写真家が実際に撮影した時間や場所、状況などの記録をサイトに残してストーリーを伝えることで、その写真がフェイクニュースに使用された疑いがある場合に、誰でもファクトチェックをして、それが「本物」なのか「偽物」なのかを知ることができるサービスだ。

たとえば、ヨーロッパに向かう大量の難民の画像。もしそれが実際は違う方向に向かっているものだったり、加工されていたり、ニュースとは別のときに撮影された写真だったりといった疑いがあるときに、Truthmark上で画像検索をして、撮影者が残した本当のストーリーを見ることができる。

Canon Nordicのマーケティング・ディレクターであるJenni Lindstrom氏は公式サイトで「私たちは、写真の誤用をストップし、フェイクニュースの流布を防ぎたいと考えています。今、かつてないほどに“真実”を知ることが不可欠になりました。それが、Truthmarkの求めるものです」と述べる。

写真は、ビジュアルイメージを伝えるのにイラストや版画に頼るほかなかった時代に、画期的な革命をもたらした。「写真は真実を写す」と言われたときもあった。しかし時代は移り変わり、画像や動画の加工技術が進化し、人々が目にするコンテンツは必ずしも真実ではなくなってきている。

どんなことでも、正しい判断を下すには、まず正しい情報を知ることが欠かせない。これは、テクノロジーが進歩する現代社会に突きつけられた大きな課題だ。Canon Nordicの「Truthmark」は、その解決に向けた一助になるだろう。

【参照サイト】Truthmark

Edited by Kimika Tonuma

FacebookTwitter