【わかる、えらぶ、エシカル#11】地域独自の伝統的な食文化を守る。「郷土料理」を食べよう

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「エシカル消費」という言葉を知っていますか? エシカル消費とは、人や社会、環境に配慮した消費のことで、誰にでもできる社会貢献のアクションとして、注目されています。

本特集では前回(全9回)の続編として、約6カ月にわたりエシカル消費のおすすめ11テーマを解説していきます。第11回は、「郷土料理」について詳しく解説します!

郷土料理とは地域独自の産物でつくられる料理

郷土料理は、ある一定の地域でとれる魚や野菜、肉などを使い、風土にあった地域独自の調理法でつくられ、昔から伝えられてきた料理を意味します。

日本は南北に長く、森、山、川、そして海などの自然に恵まれ、四季があります。そのため、全国各地に個性があふれる郷土料理が存在します。

たとえば、寒い季節にぴったりな北海道の三平汁(さんぺいじる)、アサリのうまみが美味しい東京の深川めし、見た目が色鮮やかな岡山県のばら寿司(ずし)、長崎県の具雑煮など、みなさんにも思い当たる郷土料理があるのではないでしょうか。

しかし、近年では少子高齢化や地域の方との関わりが少なくなることで、食材の作り手がいなくなったり、継承が途絶えたりしてしまい、存続が厳しい郷土料理も出てきています。

そんななか、2013年に和食がユネスコの無形文化財に登録されました。学校の給食でも郷土料理が出される機会が増えるなど、再び注目が高まっています。

郷土料理を選ぶことはなぜエシカル?

では、郷土料理を選ぶことはなぜエシカルにつながるのでしょうか。

(1)地域の伝統文化・知恵をつなぐことができる
郷土料理は、地域特有の歴史や伝統文化、そこに暮らす方たちの知恵の結晶といえます。例えば、先ほど紹介した岡山県のばら寿司は、江戸時代に時の大名であった池田光政が節約のために食事を一汁一菜にするように定めた「一汁一菜令」に反発した町の人が、さまざまな食材を寿司(すし)に混ぜたのをきっかけに生まれたものです。また、北海道の三平汁は、冷蔵庫がなかった時代に、塩漬けした魚の塩味を活かして大根やジャガイモなどの野菜を煮込んだもので、200年もの歴史があります。保存性やおいしさを高めるために編み出され、長年培われてきた知恵には、私たちの食の安全や豊かさを守っていくために役立つヒントもありそうですね。

(2)地域の特産品の生産・製造の応援になる
近年では、海外から入ってきた飲食物がトレンドとして注目を浴びる傾向にありますが、郷土料理には生鮮食品から加工品など、その地域の特産品が使われています。私たちが郷土料理を選ぶことで、特産品が売れて経済が活性化すれば、特産品をつくる生産者や加工業者の支援につながります。選ぶ人たちがいるおかげで、地域独自の味を守り続けていけるのですね。こうした支援は、実際に足を運べなくてもすることができます。現地には行けなくても、自分の出身地や好きな場所の味を楽しみながら、地域を応援してみるのもいいかもしれません。

(3)自然の豊かさを知るものさしになる
郷土料理には各地域の海の幸、山の幸、畑の幸が使われています。そうした、地域特有の食材が多く使われている郷土料理をみると、その地域がどんな自然に恵まれているのかをうかがい知ることができます。

地域の自然環境とも関係が深い郷土料理ですが、最近では気候変動など環境の変化によって、当たり前に食べられていた食材が手に入らなくなる状況も生まれつつあります。

たとえば、大阪発祥の郷土料理、お好み焼きに欠かせない青のりに使われているスジアオノリは、海水温の上昇や護岸工事による水中の栄養不足により激減しています。その結果、これまで販売してきた商品名や原材料を変えざるを得なかった企業もありました。

【記事】原料不足をチャンスに。三島食品のパッケージ変更に学ぶ「正直な会社経営」

他にも、滋賀の郷土料理、ふなずしに使われるニゴロブナも、かつてはたくさん生息していましたが、今では住処となる植物の不足や外来魚による食害で減ってしまい、絶滅のおそれがあるといわれるほど希少な生き物になっています。そこで滋賀県では、「ふなずし」回復に向けて放流などの保全活動を行っています(*1)。

郷土料理をいつまでもおいしく食べるためには、地域の自然を守り、持続させることも大切なのかもしれませんね。

みなさんも一度、自分の住んでいる地域の郷土料理を知ることから始めてはいかがでしょうか。

伝統を大切にしたうえで生まれた「新たな」郷土料理

さまざまな要因によって存続の危機にある郷土料理ですが、ただ手をこまねいているだけではありません。最近では、伝統の食材や調理法に新たな視点を加え、新しい「郷土料理」を生み出す動きが生まれています。

発酵ベンチャー「あぐくる」

1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」の若者が、みそや醤油(しょうゆ)、納豆や漬物など、和食の基本となる「発酵」に着目し、お米を発酵させた新たな調味料を開発・販売するといった取り組みです。農家の経済的な支援にもつながる事業として注目されています。

【記事】アグリカルチャーをなめらかに。発酵食ベンチャー「アグクル」の挑戦

「新北欧料理マニフェスト」

伝統と近代のアイデアを組み合わせた取り組みは海外にもあります。例えば、デンマークのレストラン「noma」の創業者の一人、クラウス・マイヤー氏によって提唱された、食文化の在り方を世界に知らしめた「新北欧料理マニフェスト」。

このマニフェストは、食を通じて、すべての生き物や自然を豊かにするというサステナブルな思想に基づいていますが、「伝統的なノルディック食材の新しい可能性を伸ばすこと」「ベストな料理手法や伝統と、外部からのアイデアを組み合わせること」という項目が含まれており、伝統文化を理解し取り入れることを重要視していることがわかります。

【記事】「食」で世界をよりよい場所に。世界最高のレストラン「noma」創業者、クラウス・マイヤーの物語

また、伝統文化と近代文化の融合だけでなく、地域間の融合も郷土料理には存在します。実際に、日本の食材や伝統的な料理と思われているものも、国内や地域内だけで発展してきたわけではありません。

例えば、大根やごぼう、なすなど野菜の多くは中国や朝鮮半島から伝わってきていますし、京野菜や加賀野菜も地域外との交流がもとになって特色ある種が誕生した歴史があります。和食の基本であるお米も中国や韓国から、そしてうどんも遣唐使と共にわたってきて、日本で独自の発展をしたものと言われています。

さらに料理の例を挙げると、精進料理は日本で生まれた料理である印象をもつ方が多いかもしれませんが、実は仏教と共に中国から伝わってきたものです。さらに、精進料理が派生して懐石料理が生まれ、中国や韓国の影響を受けながらも日本国内で発展したものと言われています。

新たな視点や方法を積極的に試していくことが、実は郷土料理を守り、食の新たな魅力の創造につながるのかもしれませんね。

郷土料理の商品を選ぶポイント

郷土料理の商品を選ぶ際には、地域で生産された野菜や魚介類、調味料などを使い、地域で受け継がれてきた調理法であることがポイントです。

もし、その地域に住んでいる方、家族や親戚の方から教えてもらえる機会があれば、料理が生まれた背景、素材がどこでどう作られているのか、抱えている課題などについて尋ねると、より深くその郷土料理を理解できるかもしれません。

ではここでエールマーケットの郷土料理商品をご紹介します。

エールマーケットがおすすめする郷土料理の商品3選

琵琶湖産の「ふなずし」

琵琶湖産の「ふなずし」
滋賀県の伝統保存食「ふなずし」。琵琶湖でとれるニゴロブナをご飯に漬け込んで乳酸発酵させた珍味です。本品は特に、人気の高い子持ちのふなずし。酸味とコク、塩味が特徴的なクセになるおいしさです。ご飯のお供や、お茶漬け、お酒のアテにお楽しみください。

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富山の創作かまぼこ「鮨蒲(すしかま)」

富山の創作かまぼこ「鮨蒲(すしかま)」まるでお寿司のように新鮮な魚介類がのった、鮮やかな見た目のかまぼこ。こちらは、魚が豊富にとれる富山県で70年の歴史を誇る魚津の老舗「河内屋」のかまぼこギフトセット。お正月料理の一品としてもおすすめです。
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秋田の郷土料理「いぶりがっこ」

秋田の郷土料理「いぶりがっこ」
干した大根を燻製にし、米ぬかに漬け込んだ「いぶりがっこ」。他の地域に比べて秋田県は雪が降る時期が早く、外に大根を干すことができなかったため、いろりの熱と煙で干したことから生まれました。薫製の香りが食欲をそそる一品です。

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次回は「フードロス」について解説します。お楽しみに!

※「わかる、えらぶ、エシカル -Shopping for Good-」特集は、Yahoo! JAPANが運営する人・社会、地域、環境にやさしいエシカル商品を応援するお買い物メディア「エールマーケット」とIDEAS FOR GOODが行う連載企画です。

*1 https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/shigotosangyou/suisan/18670.html
【参考】地域の伝統的な食文化の保護・継承のための手引き(農林水産省)

 

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