【わかる、えらぶ、エシカル#6】エシカル消費の手がかりとなる、覚えておきたい「認証ラベル」とは?

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5カ月にわたり、エシカル消費のおすすめ9テーマを解説していく「わかる、えらぶ、エシカル -Shopping for Good-」特集。第6回は、「認証ラベル」について詳しく解説します!

認証ラベルは、私たちがエシカル消費をするうえで重要な手がかり

私たち消費者が人や社会、環境にやさしい商品を選ぼうとするとき、選んだものが本当にそうした商品なのか、判断するのが難しいことがあります。そんなときに参考にしたいのが、商品につけられた「認証ラベル」です。

認証ラベルとは、第三者機関が基準(安全性や品質など)を設け、その基準に適合しているかどうかを審査し、認めた商品につけられるラベルのことをいいます。例えば、台所用品や家具、電気製品などについているJIS(工業標準化法)ラベル商品も認証製品の一つです。

エシカルの分野では、これまでご紹介したような、国際フェアトレード認証や有機JAS認証、オーガニックコットンであることを保証するGOTS認証などがあります。

知ると変わる、認証制度の3つの役割

Image via yellmarket

では、なぜ認証制度というものがあるのでしょうか。認証制度には以下の3つの役割があります。

1. 商品の品質や内容をチェックする役割がある

もっとも重要な役割は、商品の品質や内容を調査・審査し、保証することです。例えば「森を大切にした商品」という表示があっても、どう森を大切にしているのか、継続的に行われているのかなどを消費者が調べるには限界があります。そこで、認証機関が消費者に代わって、商品がどこでどうつくられているのか監査する役割を担っているのです。

2. 商品を選ぶ手がかりになる

次に、私たち消費者が商品を選ぶときの手がかりとしての役割です。たくさんある商品の中から、各商品の社会や環境に対する取り組みを調べてエシカルな商品を探すには時間も労力もかかります。しかし、ラベルがあれば、早く容易に判断できます。

3. サステナブルな取り組みの促進

そして最後は、サステナビリティに関する取り組みの促進です。私たち消費者によるサステナビリティの促進以外にも、事業者に認証取得を目指してもらうことで、農薬や化学物質を使用しない栽培を行う、人権に配慮した製品づくりを行うなどといった、環境や社会に対する取り組みを促すことができます。

認証制度の乗り越えたい課題

エシカルな商品選びには欠かせない便利な認証制度ですが、課題もあります。

1. 認証ラベルの数が多く、認知度が低い

環境分野のラベルだけでも、たくさんの種類があります。環境省が公開している環境分野のラベルの一覧(外部サイト)を見てみてください。これでもラベルの一部ですが、知らないものも多いのではないでしょうか。

さらに、この中には、第三者による認証ラベルだけではなく、企業や団体などが独自の基準に合致したものに表示をする「自己宣言タイプラベル」が含まれています。一見しただけでは消費者がこの二つの違いを見分けるのは至難の業です。

認証制度自体は意義のある仕組みですが、各認証ラベルの目的や違いを知らなければ、選びたい商品を選ぶことができません。しかし、たくさんのラベルを正しく理解することは簡単なことではなく、エシカル消費を行う上で大きな課題と言えます。

2. 認証取得にコストや労力がかかる、認証制度自体の課題も

認証ラベルの場合、取得のためのコストや労力がかかることも課題です。たとえば、国際フェアトレード認証は、小規模事業者が取得するには負担が大きすぎるため、取得が進まないといった課題があります。

また、認証ラベルの基準自体や監査体制に課題がある場合もあります。例えば、本来であれば入れるべき基準が盛り込まれていない、もしくは基準はしっかりしているもののきちんとした監査が行われていないのではないかといったことが指摘されている認証もあります。

このように、認証制度には課題もありますが、人や社会、環境にやさしい商品を選ぶ上で、認証ラベルは重要です。課題も知ったうえで、認証ラベルを上手に手がかりとして活用していくことが重要といえます。

覚えておきたい代表的な認証

では、エシカルな商品を選ぶうえで、具体的にどのような認証ラベルが参考になるのでしょうか?ここでは、代表的な認証ラベルを厳選してご紹介します。

環境を守る

エコマーク

エコマーク「生産」から「廃棄」に至るまで製品のライフサイクル全体を通して、環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベル。対象商品の幅も広く、日常生活のさまざまなところで見つけることができる。
<対象となる商品例>文具や家具、ファッション製品、日用品、家電、飲食店やホテルなどのサービスなど

森を守る

FSC ®(Forest Stewardship Council ®:森林管理協議会)認証

FSC認証環境保全をはかり、地域社会や労働者・先住民などの人権にも配慮し、経済的にも持続可能な「責任ある森林管理」の規格を満たした木材製品につけられる認証。生産現場だけではなく加工や流通、販売業者も認証を得る必要がある。
<対象となる商品例>家具などの木材製品やノートなどの紙製品

海を守る

MSC(Marine Stewardship Council)認証

MSC認証海洋環境や水産資源に配慮した、持続可能な漁業で獲られた天然の水産物を認証する制度。その証であるMSC「海のエコラベル」を製品に付けるためには、漁業現場だけではなく加工や流通現場でも、非認証の水産物と混在しないよう管理されているかどうかの審査が必要になる。
<対象となる商品例>魚やカニ、エビ、貝類などの水産物

ASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)の認証

asc養殖場設置の際の環境破壊、生態系の撹乱(かくらん)、餌や薬物投与による海洋汚染といった環境への負担を減らし、地域社会にも貢献する養殖業に与えられる認証。
<対象となる商品例>サケ、ブリ、カキ、タイ、海藻など12種類

オーガニック

有機JAS

有機JASマーク農薬や化学肥料・遺伝子組換え不使用の農産物、有機飼料を使用し、アニマルウェルフェア(動物の福祉)に配慮するといった基準を満たした畜産に与えられる日本固有の認証制度。有機、オーガニックを表示する場合は必ず取得が求められる。
<対象となる商品例>農産物とその加工品、飼料、畜産物とその加工品

GOTS(Global Organic Textile Standard)認証

gots-logo2年から3年以上、農薬や化学物質を使用せずに栽培されたオーガニックコットンを対象とする認証。
<対象となる商品例>洋服やタオルなどのコットン製品

フェアトレード

国際フェアトレード認証ラベル
国際フェアトレード認証ラベル

国際フェアトレード認証ラベル

フェアトレード(公正・公平な貿易)であることを示す認証ラベル。取引の最低価格を保証し、児童労働・強制労働の禁止、有機栽培の奨励といった基準を満たした製品に与えられる。
<対象となる商品例>フェアトレードカカオを使用したチョコレートやコットンを使用したTシャツ、最近ではワインや花など

 

アニマルライツ

LEAPING BUNNY(リーピングバニー)

logo-of-cruelty-free動物実験を行わない化粧品やメーカーを対象とした認証ラベル。製品の開発から製造に至るまで、全てのプロセスで動物実験がされていないことを確認した上で与えられる。
<対象となる商品例>化粧品や洗剤などの日用品

その他

エコリーフ

エコリーフ 製品の原材料の採掘から、製造、流通、廃棄に至る、全ライフサイクルステージの環境情報を定量的に開示する日本生まれの環境ラベル。気候変動、酸性化、富栄養化、資源消費など三分野以上の情報開示を求められる。
<対象となる商品例>印刷などの複合機や建材、カーペットなど

いかがでしょうか?よく見かけるものもあれば、今まであまり見たことがないというものもあるかもしれません。他にも認証ラベルはたくさんありますが、たくさんあって覚えられない!という方は、まずはここに挙げたものだけでも頭に入れて、参考にしてみることをおすすめします。

世界で取り組まれている、認証のアイディア

世界では、エシカルな選択を推進していくため、さまざまな認証制度が登場しています。

オーガニック素材の活用に取り組むホテルなどの認証「BIO HOTEL」

fairtrade-shirtオーストラリア発の、オーガニック素材の活用に取り組むホテルなどを対象とした認証制度です。認証を受けるには、食事や飲み物、コスメ(シャンプー・石けん・スキンケアなど)などすべてがオーガニックであること、タオル、ベッドリネン類、さらには、施設の建材や内装材も可能な限り自然素材を使用していることなどが求められます。日本でも認証を受けたホテルが3件、住宅が1件、ヘアサロンが1件あります。
【記事】ホテルをサステナビリティ体験の場に。欧州で広がる「BIO HOTEL」が日本に上陸して気付くこと

サステナブルなフィンランド旅行に取り組む企業や地域の認証

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フィンランド政府が、持続可能な旅行に積極的に取り組む企業や地域を認証する制度。認証により、旅行会社や消費者がサステナブルな旅行を選びやすくなることを狙いとしています。認証を得るには七つのステップがあり、企業・地域は環境や経済、文化、社会性といったさまざまな側面での持続可能性を考え、実行に移せるようプログラムされています。
【記事】サステナブルな旅行へ事業者認証。フィンランドが国家レベルで目指す持続可能な観光

サステナビリティに取り組む企業の認証 Bコーポレーション

 SunscreenアメリカのNPO「B-Lab」が運営する、企業を対象とした認証制度。ビジネスの力でサステナブルな社会をつくっていくことを目的としています。認証を得るためには、環境や社会問題への取り組み、透明性の確保、定款など法的な文書を認証制度の目的に合わせて変更することなどが求められます。現在、パタゴニアやBen& Jerry’sなど70カ国以上で3300を超える企業が認定を受けていて、日本でも6社が認定されています。
【記事】Bコーポレーションとは・意味

「認証って面白い!」「自分の興味のある分野の認証制度について、もっと知ってみたい!」という気持ちになってきませんか?

売る人と買う人が歩み寄ることで、未来は変わる

このように、ユニークなものも登場している認証制度ですが、かといって、全ての商品が何らかの認証を得るというのは現実的ではありません。

認証以上に大切なことは、私たちが商品を選びやすいように事業者が積極的に商品の情報を発信していくこと、そして私たちも商品そのモノだけに注目するのではなく、商品の背景をイメージして知ることも重要になってきます。

例えば、「農薬の使用状況を教えてください」「このフェアトレード商品いいですね!」などメーカーに質問や思いを届けてみるのも一つの手です。こうした小さなアクションがエシカルな商品へのシフトを進める力になるはずです。

エールマーケットのオススメ認証商品2選

最後に、エールマーケットで販売されているおすすめ認証商品をご紹介します。気になるものがあったら、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

FSC認証の木材使用。建築家 隈研吾氏による積み木

blocksFSC認証を得た宮崎県諸塚村のスギを使用し、オリンピックのメインスタジアムをデザインした建築家 隈研吾氏がデザインを手掛けた積み木です。積み木が建築家をめざすきっかけになったと語る同氏だけあって、そのユニークな形に子どもたちの想像力が広がりそうです。 (商品ページはこちら<外部サイト>

GOTS認証のコットン使用。着るほど肌になじむTシャツ

t-shirtGOTS認証を得た、世界最高峰のオーガニックコットンを100%使用し、大阪の職人技で作り上げたオリジナルTシャツ。“人生で最高の一枚を”というコンセプトを掲げ、約2年間の開発期間を経て誕生したこだわりの着心地を、試してみてはいかがでしょうか。(商品ページはこちら<外部サイト>

次回は「地元生産加工・就労支援商品」について解説します。お楽しみに!

※「わかる、えらぶ、エシカル -Shopping for Good-」特集は、Yahoo! JAPANが運営する人・社会、地域、環境にやさしいエシカル商品を応援するお買い物メディア「エールマーケット」とIDEAS FOR GOODが行う連載企画です。

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ヤフージャパンが東日本大震災後、東北の商品を揃えてネットで販売を始めた「復興デパートメント」。今は「エールマーケット」と名前を変え、全国の商品を取り扱っています。自然環境や人、地域に優しい社会を応援(エール)する、本当にこだわった商品を販売するモールです。

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