【わかる、えらぶ、エシカル#4】生産者の暮らしを守る。「フェアトレード」商品を買おう

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今後5カ月にわたり、エシカル消費のおすすめ9テーマを解説していく「わかる、えらぶ、エシカル -Shopping for Good-」特集。第4回は、「フェアトレード」について詳しく解説します!

フェアトレードとは、「生産者の暮らしを守る」こと

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フェアトレードとは、直訳すると「公正な取引」、「公平な貿易」となります。主に発展途上国でつくられた製品や原材料を、生産者の労働や生産に見合った価格で対等に取引し続けることで、生産者の自立や生産地の持続可能な発展を、継続的に促す方法のことです。

背景には、資本主義の中で続く、事実上の植民地支配があります。途上国の生産者の多くが不平等な契約条件を強いられ、低い買取価格でしか取引してもらえないために、貧困の慢性化、児童労働、長時間労働、劣悪な環境下での健康被害といった問題に苦しめられました。

例えば、カカオ生産地のコートジボワールでは58%が貧困ライン(1人あたり1日1.9ドル)以下で暮らしており、カカオ農家がカカオの生産コストをまかないながら暮らしていくためには本来1日あたり2.51ドル必要とされるところ、平均1日0.78ドルしか得られていないという報告もあります(*1)。

これに対し、多くの貧困地域の人々が苦しんだ教訓から、彼らを守るための最低限のフェアな貿易基準を設ける取り組みが始まり、世界に広がっていきました。

日本のフェアトレード市場は拡大の余地あり

フェアトレード認証(後述)製品の市場規模をみると、世界全体で1兆円を超え、1999年以降、年平均30%の割合で成長しています。

日本のフェアトレード認証製品の市場規模は推定で約118億5600万円(2017年度)。同年の1位であるイギリスは約2550億円と日本の21倍以上、2位のドイツは約1680億円と日本の14倍以上もの開きがあります(*2)。

世界各国と比べ日本のフェアトレード市場が小さい背景には、日本ではこれまで普及や啓発が不足していたことなどがあります。

しかし最近では、認証取得を検討する事業主が増えており、街ぐるみでフェアトレードの輪を広げる「フェアトレードタウン運動」も広がっています。スーパーマーケットや雑貨屋で、フェアトレードのチョコレート、コーヒー、バナナなどを目にする機会も増えました。

今後、日本でもますますフェアトレード市場が広がっていくことが期待できそうです。

フェアトレードはなぜエシカル?

では、フェアトレード商品を選ぶことは、なぜエシカルになるのでしょうか。

途上国の人に関わる部分として、以下のような点があげられます。

1. 途上国の人々の自立を促せる

取引の際の最低価格を保障しており、国際市場価格が暴落しても、生産者の生活を守ることができるという点が、一つ目のエシカルなポイントです。また商品代とは別にフェアトレード・プレミアムという費用が生産組合に支払われ、地域の保険医療や教育、インフラ整備に使われます。

2. 児童労働を減らすことができる

世界で約1億5000万件と推定される児童労働は、子どもたちの教育の機会を奪うだけでなく、健康被害にもつながっています。子どもたちは、カカオやコットンなど農産物の農場、鉱山、工場などで、ときには危険で有害な労働環境で働かされています(*3)。フェアトレードを選べば、子どもたちの未来を奪う児童労働の撲滅を応援することにもつながります。

3. 働く人の誇りを生み出す

緊急時であれば資金援助も重要ですが、ずっと援助されるだけの状態では自立につながらないばかりか、人は自信を失ってしまいます。その点、フェアトレードは、仕事を通して支援するため、生産者の自信や誇りを生み出していくことができます。

また、以下のように環境の観点でもエシカルな点があります。

4. 環境や健康を大切にした仕事を増やすことができる

フェアトレードの基準の中には農薬や薬品の削減、有機栽培の推進、土壌・水源・生物多様性保全、遺伝子組み換えの禁止などが含まれています。こうした基準は環境保全をすすめるだけでなく、農薬などによる健康被害を減らすことにもつながります。

つまり、フェアトレード商品を選ぶことは、途上国の人々が貧困から脱し、自立を支援していくことにつながるだけでなく、働きがいや環境を大切にすることにもつながるのです。

国内外のフェアトレード商品

フェアトレード商品は年々多様化しています。イメージしやすいのはコーヒーやカカオ、バナナといった食品ですが、その他にも、コットンや花、日用雑貨、アクセサリーやサッカーボールなど、さまざまなフェアトレード商品が登場しています。

ビジネスでも使える、高品質なフェアトレードオーダーシャツ

fairtrade-shirt
日本初の、国際フェアトレード認証を受けたコットンを原料とするオーダーシャツ。フェアトレードファッションには珍しい男性もの、しかもビジネスシーンで使えるアイテムです。さらに、最高ランクの品質である超長綿を使用し、播州職人たちが織り上げたハイクオリティーな仕上がりが特徴です。
【記事】ココロのカッコよさも追求しよう。FABRIC TOKYOが手がけるフェアトレードオーダーシャツ

ブロックチェーン活用でカカオ農家を直接支援できるチョコレート

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ブロックチェーン技術(取引記録などの情報を管理する技術)を使い、購入者がカカオ農家を直接支援できる仕組みを導入している、オランダ発のフェアトレードチョコレート。パッケージ上のQRコードをスキャンすると仮想通貨がもらえます。これを次回購入時に使うか農家に寄付すると、農家はチョコバー4つ分の仮想通貨で1本のカカオの木を購入できます。
【記事】ブロックチェーン活用でカカオ農家を直接支援できるチョコレートバー「The Other Bar」

「こんなユニークなフェアトレード商品が生まれているんだ!」、「楽しく買って生産者を支援できるなら取り入れてみたい!」という気持ちになってきませんか?

フェアトレード商品を選ぶポイント

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それでは、「フェアトレード商品」を選ぶ際にどんなことに気をつけるとよいのでしょうか?ポイントを2つお伝えします。

1. フェアトレード認証ラベルがついたものを選ぶ

最も分かりやすい選び方は、「国際フェアトレード認証ラベル」か「WFTO保証ラベル」がついた商品を選ぶことです。

国際フェアトレード認証ラベル

国際フェアトレード認証ラベル

国際フェアトレード認証ラベルは、製品の原料が生産され、輸出入、加工、製造されるまでの間に、国際フェアトレードラベル機構が定めた基準が守られていることを示しています。国際フェアトレード認証の対象産品は、コーヒー、カカオ、コットン、紅茶、バナナ、花、スポーツボールなど多岐にわたります。

WORLD FAIR TRADE ORGANIZATION

出典:ピープルツリー

世界フェアトレード連盟(WFTO)保証ラベルは、2013年にWFTO加盟の生産団体や販売団体が原材料から生産までWFTOが定めた「フェアトレード10の指針」が守られていることを保証する制度として始まりました。保証を受けた団体が、製品に保証ラベルをつけることができます。

2. 商品の背景を知る

フェアトレード認証ラベルがついていない場合でも、ウェブサイトなどを見たり、お店の人に着てみたりして、商品の背景にあるストーリーからフェアトレードであると判断できる場合には、積極的に取り入れることをおすすめします。

フェアトレードの定義は法律で定められているわけではなく、またフェアトレード認証のライセンス料が高いことから、事業者やNGOなどが独自に基準を設けてフェアトレード商品を販売している場合もあります。さらに最近では、「ビジネスにおいて取引がフェア(公正)であることは当然」という考えから、あえてフェアトレードと打ち出さない場合もあります。

フェアトレード商品というものが生まれた背景には、貧困や児童労働といった悲しい事情がありますが、商品の売り上げによって、子どもが学校に行けるようになったり、地域に図書館や病院をつくることができるようになったりとうれしいニュースもあります。

自分が気になる情報を手がかりに選んでみると、自分なりのフェアトレード選びが広がっていくかもしれません。

エールマーケットのオススメフェアトレード商品2選

最後に、エールマーケットで買えるオススメのフェアトレード商品をご紹介します!

フェアトレードのコットンを使用したガーゼハンカチ

handkerchiefフェアトレードかつオーガニックのコットンを使った、赤ちゃん用のタオルハンカチ。赤ちゃんとの幸せなひとときに使うものだからこそ、作る人も幸せであってほしいもの。そんな思いをかなえてくれる商品です。出産祝いにもオススメです。(商品ページはこちら(外部サイト)

オーガニックコットンを使用したタオルケット

summer blanket無農薬農法による綿花を使い日本国内で織り上げたタオルケットです。肌に刺激のある物質をできるだけ排除し、デリケートな肌の人や化学物質に敏感な人のためにこだわって作られています。タオルを製造する電力は太陽光発電にするなど、人にも環境にやさしいタオルケットです。(商品ページはこちら(外部サイト)

次回は「オーガニック商品」について解説します! お楽しみに!

*1 フェアトレードのチョコレートを選ぶ理由(わかちあいプロジェクト)
*2 2017-18 ANNUAL REPORT: WORKING TOGETHER FOR FAIR AND SUSTAINABLE TRADE
*3 Global Estimates of Child Labour: Results and trends, 2012-2016

※「わかる、えらぶ、エシカル -Shopping for Good-」特集は、Yahoo! JAPANが運営する人・社会、地域、環境にやさしいエシカル商品を応援するお買い物メディア「エールマーケット」とIDEAS FOR GOODが行う連載企画です。

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ヤフージャパンが東日本大震災後、東北の商品を揃えてネットで販売を始めた「復興デパートメント」。今は「エールマーケット」と名前を変え、全国の商品を取り扱っています。自然環境や人、地域に優しい社会を応援(エール)する、本当にこだわった商品を販売するモールです。

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