ドイツ第四の都市ケルンに、お肉がまったく入っていないハンバーガー店が出現した。まるで「お肉を焼かない焼肉屋」のような不思議な響きだが、大手バーガーキングの店舗が、2021年6月6日から11日までの5日間、期間限定で同社で初となる完全に「肉ナシ」のベジタリアン・レストランになったのだ。
この期間中は、プラントベースのパテとナゲットのみでできた代替肉を使った植物性のバーガーが提供されている。ユニリーバ傘下ので植物由来の代替肉を取り扱うThe Vegetarian Butcher社の協力で実現した。このオープンのために外装もグリーンなイラストに張り替え、看板では「100%植物性、0%お肉」を打ち出した。バーガーキングはこれまでにも、プラントベースでおいしさそのままのワッパーや、ナゲットも発表している。
今回の取り組みの背景には、気候変動の抑制や、倫理的な動物の扱いなどがある。ソーセージをフランクフルトと呼ぶくらい、肉料理が代名詞だったドイツだが、同国の研究機関IfD Allensbachが行った2020 年の調査によると、ドイツ国内では800万人がすでに肉を食べておらず、そのうちの約100万人がヴィーガンだという。
また、肉ナシバーガーは環境にやさしいだけではなく、低脂肪・低カロリーである。世界肥満連合(WOF)は肥満が1975年から約3倍に増えており、対策を講じなければ2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満になる可能性があると警鐘を鳴らす。さらに、日本の厚生労働省は、20歳以上の男性33.0%、女性22.3%が肥満だと報告している(※1)ほか、農畜産業振興機構は、1960年に3.5キログラムだった1人当たりの1年間の食肉供給量が、2013年はその約10倍の30キログラムになったというデータを明らかにしている。
日本では、食生活の欧米化に伴い、以前より多くのお肉を食べるようになっている。欧米の料理を採り入れることで私たちの食文化は豊かになったが、高カロリーにもなりがちである。その代表例が、効率よく高カロリーのものを摂取できるファストフードだ。ファストフードであることに変わりはないが、プラントベースの代替肉を推奨していくことは、人々がより健康的な選択をすることにつながる。
こうした有名なバーガーチェーンが「肉ナシ」の選択肢を積極的に打ち出すことで、人々の意識も変わっていくだろう。そうして需要が増えていくことで、手に届きやすい価格になっていき、ますます人々に身近な存在になっていくだろう。
※1 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要
※2 食肉の消費動向について
【参照サイト】100% Geschmack. 0% Fleisch. Ein Restaurant komplett im Plant-based Style
【参照サイト】Burger King eröffnet erstes fleischloses Restaurant
Edited by Kimika