環境配慮型デザインのカギは「情報の移動」。誰でも自転車をDIYできるキット

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自動車の大量普及は、渋滞や事故、石油の大量消費、排出ガスによる健康被害など、様々な負の側面をもたらしてきた。そこで、人が中心となる持続可能な交通を実現するための取り組みが各地で進められている。

たとえばスペインのバルセロナでは、歩行者と自転車専用の特別区間を設ける「スーパーブロック・プロジェクト(Superblock Project)」が立ち上がったり、車を手放した人が公共交通機関を3年間無料で使える政策が導入されたりと、脱クルマが推進されている。

そんな中、スペインの建築スタジオ「Arquimaña」は、より多くの人に自転車を使ってほしいという想いから、木製の自転車「OpenBike」を自作するためのマニュファクチャリング・ファイルと組立マニュアルを無料で提供している。同社のウェブサイトから、必要なファイルをダウンロードできる仕組みだ。

Image via OpenBike

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木の素材感が印象的なOpenBikeのパーツは、工作機械であるCNCミリングマシンおよび3Dプリンターで作ることができる。Arquimañaは、こういった機械を使える地元の工房を利用することを勧めており、地域経済の活性化につなげようとしている。

Image via OpenBike

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OpenBikeがユニークなのは、モノではなく情報を移動させている点だ。自転車を輸送すれば、輸送に伴うCO2が発生するが、自転車の作り方を教える情報を共有すれば、遠くまで自転車を輸送する必要がなくなる。

自転車を作るのに必要な木材も地元で調達すれば、地元の林業の活性化にもつながるだろう。OpenBikeは脱クルマだけでなく、こういった地産地消を推進するプロジェクトでもあるのだ。

OpenBikeは、長く愛着を持って使いたくなる自転車でもある。手間をかけて自転車を組み立てれば、自然と大切にしたくなるうえ、OpenBikeは自分のニーズに合わせてカスタマイズすることができる。たとえば、荷物を運ぶためのリアキャリアやチャイルドシートなどを取り付けることが可能だ。自分が必要とする機能が過不足なく揃っている乗り物は、長く使いやすいのではないだろうか。

Arquimañaによると、自動車を1台生産するのに必要なエネルギー量は、自転車を100台作りメンテナンスするエネルギー量と同じくらいだという。自分が乗り物を作る工程に関わることで、こういったエネルギー消費量にも意識が向くようになるのではないだろうか。OpenBikeからは様々なことを学べそうだ。

【参照サイト】 OpenBike by Arquimaña

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