「人類滅亡から1年後、世界はどうなる?」都市デザイン専門家が出した答え

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11歳の子どもは研究者に、こんな質問を投げかけた。

「もし人類が絶滅したら、1年後の地球はどうなっているの?」

この質問は、研究に基づいたニュースと分析を提供するメディア「The Conversation」の、子どもたちが持つさまざまな質問に専門家が答える教育的な取り組み「Curious Kids」で問われたものだ。

人類滅亡……映画や小説ではよくあるシチュエーションだが、人新世の時代に生きる私たちにとって、それが現実世界に起こることだとは到底考えられない。

しかし、この質問に答えた、アイオワ州立大学の都市デザイン・コミュニティ/地域計画准教授であるカールトン・バスマジアン氏は、人類がいなくなったあとの地球の姿を想像することで、私たちがこれまで地球に与えてきたダメージを明らかにすることができると話す。

まず、人類が姿を消した1年後、地球に戻ってきたときに初めに気づくことは、目に見える変化ではなく音の変化だという。乗り物の音、工事中の音、繁華街に鳴り響く音楽……それらの音が消え去り、静まり返った世界で、私たちが普段どれだけの騒音を発していたのかに気づかされる。

静けさ

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空を見上げれば、1年前とは比べ物にならないような真っ青な美しい空が顔を出し、空気は澄んでいて、人間がつくり出すスモッグや埃はほとんどなくなっている。

かつて住宅が集まっていた場所に足を運ぶと、庭の草は伸びきっていて、新しい雑草がそこらじゅうに生えている。見たこともない植物が庭に根を張り、木が種を落とすたびに小さな苗木が育つ。その周りには生息地を取り戻した、蜂などの虫が飛び回り、再び世界を支配している。それもそのはず、草を引き抜く人も、木を切り落とす人も、蜂を駆除する人もいないのだから。

それと同時に、多くのクモやムカデなどの虫が飛び交っていることに気づくだろう。通常、人類はこうした虫に対してスプレーを噴霧したり、網戸を設置したりする。人々がこれらすべてのことをしなければ、クモもムカデも再び世界を自由に操れるようになるだろう。

はちが飛び回る様子

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世界に戻ってくるのは虫だけではない。ネズミ、ウッドチャック、アライグマ、スカンク、キツネ、そしてビーバーなど、野生動物たちが通りに姿を現している。また、電灯のない世界では自然のリズムが戻り、夜行性の生き物たちは暗い空を取り戻したことを喜ぶだろう。

火災は頻繁に起きるようになるだろう。雷が木や野原に落ちて藪に火がついたり、家や建物を直撃したりする可能性がある。人々が消火しなければ、森は燃え尽きるまで自然に任せておくしかない。

家畜はクマ、コヨーテ、オオカミ、ヒョウにとって格好の餌食となるだろう。猫たちは野生化するが、多くはより大きな動物に捕食され、ほとんどの犬も生き残れないだろう。

さらに、世界に人の手が加えられないまま10年の月日が経てば、地面にはひび割れが生じ、金属製の脚を持つ橋やそれを支える梁やボルトは徐々に錆びていく。世界中の川や小川に築いたダムや堤防も侵食され、農場は自然に戻るだろう。

自身

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1000年後には、私たちが記憶している世界は、ぼんやりと認識できる程度になっている。ここにアパートが、あそこに映画館が、あるいは崩れかけたショッピングモールが──失われた文明の記念碑として建っているかもしれない。

私たち人類が、この世界にともに生きる動物や昆虫、自然を大切にできなければ、地球は存続できないことは明白だ。そしてそれと同じように、私たちが今生きるこの世界は、人間がいなければ存続できない。

「もし人類が絶滅したら、1年後の地球はどうなっているの?」

質問の答えは、人間が手を加えるほど破壊されていくのではなく、手を加えれば加えるほど、本来自然が持っている力を取り戻していく、そんなリジェネレーションという観点であらゆる物事を捉え、行動していくことの大切さを教えてくれている。

そしてもしも、地球のためにどういったアクションを起こせばいいのか分からなくなったときは、「ここに人間がいなくなったら?」という問いを、「自分自身」に投げかける。そうすることで、人間以外の視点に立つことができ、自ずと答えが見えてくるかもしれない。

言葉を持たない自然や動物たちの想いを汲み取る術は、想像力しかないのだから。

【参照サイト】If humans went extinct, what would the Earth look like one year later?
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Edited by Erika Tomiyama

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