モノやサービスが溢れかえる現代において、価格や機能だけではなく、もっと大切な自分の価値観に基づいた買い物をしたい人は増えている。実際、コーンコミュニケーション社が実施した2017年のCSR意識調査によると、値段や質が同様であれば、消費者の89%が社会をよりよくするブランドを選択すると回答している。
しかし、どの企業が、製造過程で環境汚染を引き起こしていたり、サプライチェーン上の児童労働に加担しているのかを、消費者は知る術がないのが現状だ。そこで、インターネットの力を活用してその情報格差を解決し、エシカルな消費者のニーズを満たしてくれるツールが登場した。
2017年1月にニューヨークで創業した会社Impaktが提供しているのは、ワンクリックでエシカルな消費者になれるブラウザの拡張機能だ。ユーザーがオンラインで商品を見ると、公開データや関連ニュース記事を元にした会社概要がポップアップ表示され、今買おうとしている商品が自分の価値観と合うか、解決したい問題にどう寄与しているかが一目でわかる。さらに、よりエシカルな他の商品を勧めてくれる機能も備わっている。現在はChromeとFirefoxブラウザに対応しており、アマゾンなどのECモールやH&Mなどの個別ブランドウェブサイトで利用可能だ。
無料版でも企業のサステナビリティおよび児童労働に関する情報を得ることができるが、月額1米ドル払って有料会員になれば、企業の政治活動や健康リスク、女性やマイノリティの権利などに関する情報も表示され、価値観の優先順位をつける機能も追加される。
なお、この拡張機能は政府の公開データ、大学やNGO等が集めた業界レポート、主要なニュース源からの信頼できる情報を表示してくれるが、会社の良し悪しを判断しているわけではなく、目的はあくまでユーザーが自分自身で個々人の価値観に基づく買い物をしやすくすることにある。
自宅のコンピュータ上で購入ボタンを押すたった一つの行為が、私たちの知らない間に世界に悪影響を及ぼすことがある。しかし、Impaktの拡張機能をダウンロードするだけで、消費者は自分でエシカルな企業や商品を選ぶことができる。日々の買い物を通して世界に大きなインパクトを与えるには、売る側の企業だけではなく、買う側の私たち消費者の責任も大きいのだ。
【参照サイト】Kickstarter
【参照サイト】2017 Cone Communications CSR Study
(※画像:Kickstarterより引用)