一人当たりの魚の消費量が世界上位の日本。日本ほど、種類豊かで新鮮な魚を安心して食べられる国は世界を探してもなかなか見つからない。しかし、おいしい魚を食べるほど、実は体内にプラスチックを蓄積しているとしたら、笑顔で寿司や刺身を楽しんでいる場合ではない。
実はいま、海洋を汚染するマイクロプラスチックが世界中で問題となっている。
マイクロプラスチックとは、直径 5 mm 以下の微細プラスチックのことである。マイクロプラスチックには、大きなプラスチック片が紫外線やモノとの接触によって破砕・細分化されたもののほかに、洗顔スクラブ、石鹸、歯磨き粉などのパーソナルケア製品に含まれるマイクロビーズと呼ばれるものがある。
普段マイクロビーズについて意識することは少ないかもしれない。しかし、シャワー1回で約10万粒のマイクロビーズを排出しているといわれている。
そんななか、今年2018年にはいって、イギリスがプラスチック規制に関して世界をリードする政策を施行している。まず1月9日、マイクロビーズを含む製品の製造を禁止した。さらに6月19日には、マイクロビーズを含む水で洗い流せるコスメとパーソナルケア製品の販売を禁止する法律も施行されたのだ。
イギリスはこれまでも、英国王室がプラスチックの使用禁止を決定するなど、先駆的な取り組みをおこなってきた。
しかしこれらの規制で、「プラスチックとの戦いが終わるのではない」と環境大臣は述べている。さらに、「(プラスチックを返却することでキャッシュバックがもらえる)デポジット返却制度を取り入れ、ストローのようなほかのプラスチック製品を禁止していく」と、動きを加速化しようとしている。
どんな製品にマイクロビーズが入っているのかわからない人には、スマートフォンのカメラでバーコードをスキャンすることによって、マイクロビーズが含まれているか確認できるアプリも開発されている。また、マイクロビーズの代替製品を探すときは、成分表示にくだものの種子やクルミの殻など天然のものが書かれているかもヒントになろう。
マイクロビーズはその名前からわかるとおり、非常に小さい。しかし、そのひと粒ひと粒は目に見えないかもしれないが、それが無数に集まると、その影響力は計り知れないのだ。
なんといってもプラスチックは自然に還らない。海洋だけでなく、私たちの体内にまで永遠に残ってしまうのだ。小さいからといってバカにしていると、最後に痛い目にあうのは私たち自身、なんてことにならないようにしたい。
【参照サイト】World leading microbeads ban comes into force
【参照サイト】World-leading microbeads ban takes effect
【参照サイト】Beat the Micro Bead
【参照サイト】洗顔料や歯磨きに含まれるマイクロプラスチック問題
【参照サイト】平成28年度国内外におけるマイクロビーズの流通実態等に係る調査業務報告書
【関連記事】【まとめ】脱プラスチックへと突き進む世界。その深刻な理由と驚くべき問題解決アイデアとは?