プラスチック問題の解決や廃棄物削減のために、ゴミを減らすキーワードである3R(リデュース・リユース・リサイクル)が段階的に進んできた。
例えば、リデュース(ゴミとなるものの量を減らす)の代表的な例としてはスターバックスやマクドナルドをはじめとした飲食店によるプラスチックストローの廃止だ。リサイクル(ゴミを加工して別のものに変える)の分野では、スターバックスで堆肥可能なカップの試験導入が始まっている。
そして、リユース(繰り返し使う)では、ニューヨークでチェーン展開するジャスト・サラダ社の例が挙げられる。同社は、再利用可能な容器を用いることで毎年75,000ポンド(約34トン)以上のプラスチック削減に貢献している。しかし、所定の場所に回収されなければ他のゴミと同様に廃棄されるといった課題も残る。そんな中、消費者に新しい選択肢を示す自動販売機が、ニューヨークのマンハッタンに現れた。
マンハッタン中心のフルトン・ストリート駅構内に、手軽にヘルシーフードを購入できる自動販売機が登場したのだ。Fresh Bowl社(以下フレッシュ・ボウル社)というスタートアップが開発したこの自動販売機には、ジャンクフードの代わりに、毎朝作られる新鮮なサラダやアサイーボウルが、再利用可能で持ち運びしやすいガラスジャーに入れられ並んでいる。
サラダは1ジャーあたり6〜12米ドル(約600〜1,200円)。食べた後にガラスジャーを自動販売機に戻すと、次回購入時のディスカウント(2米ドル(約200円))をもらえるので、ユーザーにとっては1アクションで環境とお財布に優しいというメリットがある。
フレッシュ・ボウル社の共同設立者であるヴィショ氏は、3年前からカフェを経営し、サラダをガラスジャーに入れて提供していた。そこへ起業家のローレス氏が、自動販売機による販売を持ちかけたのだ。店舗数を増やすより、自動販売機の方が費用を抑えてスケールアップしやすいため、「持続可能な方法で多くの人々にヘルシーフードを提供したい」というヴィショ氏の考えにも合っていた。
導入前の約6ヶ月間、コワーキングオフィス「WeWork」でパイロット運用をし、ガラスジャーの中でも素材の食感やドレッシングの味が損なわれないよう工夫を重ねた。いつも新鮮な食事を提供するため毎朝調理をし、生産過剰と食品廃棄を防ぐため販売実績を元に毎日の販売計画を立ている。
また、WeWorkでのパイロット運用時にガラスジャーの返品率は80%にも上ったため、初回導入する自動販売機の3台のうち2台は、ガラスジャーの高い返品率が見込まれるオフィススペースに設置予定だ。そしてフレッシュ・ボウル社はこの夏、設置箇所を10箇所に増やしていく予定だ。
シカゴではすでに、2013年にファーマーズ・フリッジ社が同様の自動販売機の設置を始め、現在100台以上に数を伸ばしている。環境に配慮した方法で、より手軽にヘルシーなフードにアクセスできるようになれば、プラスチック削減といった社会問題に一人一人がアクションを起こしやすくなるだろう。
【参照サイト】Understanding Plastic Packaging Problems & The Sustainable Alternatives
【参照サイト】Plastic Oceans / The Facts are Overwhelming
【参照サイト】Just Salad’s reusable bowl program reportedly eliminates more than 75,000 pounds of plastic waste every year
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