アーティストが挑む昆虫減少ストップ。昆虫の避難所となる家具コレクション

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昆虫の絶滅が加速している。とりわけ、都市部の人口増加により、都市に暮らす昆虫たちへの影響は深刻だ。国連の報告によれば、2050年までに世界の全人口のおよそ68%が都市部で暮らすようになると予測されており、それは共存する昆虫に大きな影響をもたらすことになる。また、国際的な科学批評紙『Biological Conservation』に発表された論文によれば、地球上の昆虫の種類のうち40%以上が減少しつつあり、3分の1が絶滅の危機にあり、昆虫の総質量が毎年2.5%ずつ減少していることも明らかになった。

この問題に対して、フランス人デザイナーのマレーネ・ ヒューソード氏は、とてもユニークな方法で解決策を示してくれた。キングス・カレッジ・ロンドンの科学者と協力してデザインした、虫たちにとっての家具コレクションPLEASE STAND BYだ。

PLEASE STAND BYは、都市で暮らす虫たちのためにデザインされた、都市の中の避難所である。昆虫たちに適した環境にこだわり、冬眠もできる。想定している主な利用者は、自然界において植物の受粉のために大きな役割を果たすミツバチやスズメバチ、チョウたちだ。

作品で使用する土粘土は本来は焼成して使用されるが、焼成した土粘土は質が変化し、土に還すことは不可能になる。そこでPLEASE STAND BYでは、土粘土をあえて焼かずにそのまま造形することで、土に還すことができるようにした。雨風や急激な天候の変化から昆虫たちを守るため、表面は天然の接合剤でコーティングされている。また、家具自体のデザインは、自然界の動物たちの巣の形から影響を受けており、できるだけ自然なままの風合いを出すように工夫されている。

ヒューソード氏は都市を人間からみるだけではなく、昆虫たちの側から見てみることを、今回のユニークなデザインで我々に提示してくれている。

グローバリズムと全世界的な経済・IT技術の発展により、人類は急速にその生活スタイルを変化させている。それは自然側、昆虫という小さなステークホルダーの側からみれば、彼らの生活する場所に計り知れない影響を与えているのだ。スーパーマーケットに並ぶ食料品からは何も見えないが、私たちが毎日消費する食料は、様々な動植物たちがその営みの中で関わり合うことで生産されている。彼らがいなくなれば、我々の今の生活は簡単に崩れ去ってしまう。今回のユニークな家具は、私たちが共存可能な社会を産み出していくための視点の持ち方を教えてくれる、1つの重要なアドバイスになり得るだろう。

【参照サイト】PLEASE STAND BY I 2019
【参照サイト】A chair for insects by Marlène Huissoud(SCIENCE OF THE TIME)
【参照サイト】68% of the world population projected to live in urban areas by 2050, says UN
【参照サイト】Biological Conservation