新生活がはじまり、新たに家具を揃えた人もいるだろう。インテリアは生活の中で長く使うものだが、見た目はよくても実際に買ってみると使い心地が好みではなかったり、イメージと違っていたりという経験はないだろうか。今回は、そんな悩みを解消するショールーム型ホテルを紹介する。
デンマーク・コペンハーゲンの、館内にあるすべてのアイテムが購入可能なホテル「THE AUDO」。宿泊可能な10室の他に、会議スペースや図書館、カフェなどの公共スペースがある。訪れた客は施設内の家具や照明を試しに使うことができるため、購入した際のミスマッチや廃棄を防ぐことができている。
当ホテルのコンセプトは、デザインとライフスタイルの会社Menuの創設者で元CEOのビャルネ・ハンセン氏が考案した。しかしMenu以外のブランド(文房具や食器等含む)も販売しており、彫刻などの生活の中で取り入れたいアート作品も季節ごとに展示されている。
アート作品やインテリアデザインから生まれるインスピレーションやアイデア、人とのつながりを提供することが、このホテルの目的だ。AUDOという名前は、ラテン語の「Ab Uno Disce Omnes(=1つからすべてを学ぶ)」を省略したもので、「人々が経験や知識を共有する場」という本ホテルの空間のあり方を示している。
宿泊のための部屋だけでなく、会議室や図書館などを設置したのは、宿泊客と公共スペースに訪れた人たちとの自然な交流を促進する目的があるそう。ホテル周辺の住民も気軽に訪れ、THE AUDOの世界観に触れることができるだろう。
宿泊体験を通じて、良いと思えるデザインや人との出会い、新たな気付きを与えてくれる「THE AUDO」。ホテルはただ宿泊するためのものではなく、ショールームや美術館、人が集う場所といった複合的な機能を持ち合わせる場所となっていくのかもしれない。
実際に使ったインテリアの中で、気に入ったものがあれば即座に買えるというのは、消費者の生活に寄り添った新たな家具の提案方法だ。日本でも「MUJI HOTEL」が同様の取り組みを行っているが、インテリア購入後のミスマッチを防ぐために、ホテルと家具メーカーのコラボなどTHE AUDOから学べることはあるのではないだろうか。
【参照サイト】The AUDO