VRでどこでも芸術鑑賞を。台南市の展覧会が提示する、テクノロジー×アートの新境地

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世界中多くの文化施設が、新型コロナウイルス感染拡大を避けるため、閉鎖を余儀なくされている。そんな中でも美術館や博物館は、VRなどの新技術を用いることで、今まで不可能だった新しい形の展覧会をインターネット上で行おうと日々奮闘中だ。今回は、台湾の台南市で実施されているVR技術を使った展覧会を紹介したい。

VARTTAINAN entrance

Image via VARTTAINAN

社団法人中華民国画廊協会と台南大億麗緻ホテルは、どこでも誰でも鑑賞できるVR美術展覧会「VARTTAINAN」を実施することを決定した。毎年3月に実施されていた台南大億麗緻ホテルでの展覧会が、今年は新型コロナウイルスの影響で延期され、5月にVARTTAINANとしてVRの展示会が行われることとなったのだ。VR技術を使ったインターネット上の展覧会では、予定会場だったホテルの入り口からエレベーター、部屋に至るまでの鑑賞者の体験を完全再現。鑑賞者は、実際の現場に入場していくような感覚を味わうことができる。

VARTTAINAN elevator

Image via VARTTAINAN

過去に行われたインターネット上の作品展示では、荒い解像度が鑑賞に支障を来すこともあった。しかし、VARTTAINANにて展示されている作品は、その細部に至るまで鑑賞可能だ。画像の下のボタンをクリックすることで作品を拡大でき、さらに、作品の材質やサイズの情報を呼び出すこともできる。また、ギャラリー独自の作品の音声ガイドも用意されている。スマートフォンやタブレット端末を使用しての鑑賞も可能だ。美術作品のコレクターは、所属する各ギャラリーへその場で連絡することで、より詳しい作品の情報を受け取ることができ、オフラインでの作品の鑑賞予約をすることもできる。オフラインの展覧会と違い、観覧中は周りに自分以外の鑑賞者は表示されない。ホテルの一室で一人でじっくり作品を鑑賞できることも魅力的なポイントの一つだ。

VARTTAINAN hotel room

Image via 聯合報

この展覧会の一般公開は台湾時間5月15日深夜0時から5月28日23時59分までを予定している。会期中、展覧会は24時間鑑賞可能だ。もちろん、会場には世界中からアクセスすることができる。台湾を含めたアジア地域の47ギャラリーが参加予定であり、総展示作品数はおよそ300点にのぼる。

イギリスのHastings Contemporaryの取り組みのように、インターネット空間を利用した展覧会の実施ケースは、コロナ以前と比べて大きく増加している。筆者はスマートフォンを使用し、デスクトップ版から展覧会を鑑賞してみたが、マップが表示されるおかげで想像していたよりもスムーズに作品を見ることができた。ギャラリーによっては、テレビをクリックすると別会場へ飛び、立体作品を眺めることもできるようになっている。誰にも気兼ねせず、時間制限もなしで、心ゆくまで作品を味わえることは、インターネット空間で展示を行う最大のメリットと言えるだろう。鑑賞者がどこにいてもリラックスして作品を楽しむことができる新しい形の展覧会として、VR展覧会は新型コロナが収束したあとも続く可能性が高いのではないだろうか。もし興味のある人は5月28日までに、VARTTAINANにアクセスしてみてほしい。


【参照サイト】VARTTAINAN 台南藝術博覽會
【参照サイト】Art Tainan 台南藝術博覽會 公式Facebook
【参照サイト】台南藝博會首創VR藝術體驗 300多件作品免費線上欣賞

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