コロナ禍でも安全にエンタメを楽しむ。夜にも寄れる香港の公園「The Grounds」

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この一年で最も社会に浸透した言葉の一つ、それは「ソーシャル・ディスタンス」ではないだろうか。スーパーや公共施設に1.5メートルごとに張られた足跡のかたちのシールは、我々の身体感覚にしっかりと刻み込まれた区分けになった。新しい生活様式が提唱され、自身の身体感覚にも変化が訪れつつある。今回紹介する香港にできた新たな公園は、こうした新しいスケールが定着した新たな様式の公園である。

The Groundと名付けられた公園は、海を臨めるセントラルハーバーフロントに位置し、映画、ライブミュージック、家族向けアクティビティ、ウェルネスクラスなど、様々なエンターテイメントを楽しめるようになっている。毎日夜11時まで開いているのも、都市部で夜遅くまで仕事をする人が多い香港の人々にとって、ありがたい点だ。

The Groundには、「プライベートポッド」と呼ばれる、ソーシャルディスタンスを保ちながら、親しい友人や家族とエンタメを楽しめる空間が用意されている。ポッドは100個ほど設置されており、大きさは2.5メートルx 2.5メートル。各ポッド間の距離は1.5メートル空いており、デッキチェア、テーブル、ランプもアメニティとして用意されている。このポッドは、インターネットのThe Ground公式サイトから予約が可能だ。近くには多国籍な料理をそろえたフードコートやレストランもあり、そこからテイクアウトした料理を自分たちのポッドに持ち帰って楽しむこともできる。

「新型コロナウイルスのパンデミックはエンターテインメント業界にとって困難な時期を迎えている」と、危機感を募らせたサイモン・ウィルソン氏の考案で作られたこの公園は、新型コロナに関するいくつもの制限や難題に対処するため、できる限り創造的でなければいけなかったという。公園ではアウトドアでの映画上映会や、屋外マルシェなどが行われ、催し物は多種多様だ。

The Groundでは、オンライン事前予約、健康状態宣告、体温チェック、フェイスマスク着用の義務化、各出入口での手指消毒器の設置などの新型コロナ対策を実施している。

新型コロナのパンデミックによって、娯楽の形態は変化した。旅行に行く人は少なくなり、屋内で過ごす人が増えた。しかし、屋外で適切な距離を取っていれば、親しい人間同士で楽しめるイベントを実施することも可能だ。日本でも、青い芝生にひろびろとした空間をもつ公園のデザインが増えている。今後は、ニュー・ノーマルの世界に即した新しい公園のデザインが、世界中で求められていくのだろう。

【参照サイト】The Grounds at AIA Vitality Park
【参照サイト】Hong Kong socially distanced entertainment park opens doors

Edited by Megumi Ito

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