「エシカル消費」という言葉を知っていますか? エシカル消費とは、人や社会、環境に配慮した消費のことで、誰にでもできる社会貢献のアクションとして、注目されています。
本特集では前回(全9回)の続編として、約6カ月にわたりエシカル消費のおすすめ12テーマを解説していきます。第19回は、「CO2配慮」について詳しく解説します。
気候変動の要因を増やさない、CO2配慮商品とは
近年、天気に関するニュースで「観測史上1位を更新」といった表現を聞く事が多くなりました。この背景には地球温暖化があると言われています。地球温暖化は、気温の上昇に始まり、台風の増加などの異常気象、気候変動を引き起こし、私たちの生活や自然界の生態系にも影響を与えています。
この地球温暖化の原因はCO2(二酸化炭素)をはじめとする温室効果ガスで、CO2の削減は世界的に取り組むべき課題と認識されています。2015年のパリ協定では「2050年までに世界の平均気温の上昇を2度より低く、1.5度に抑える」という目標が発表されました。
その結果、2050年までにCO2の排出を実質ゼロにすることを目指すと表明した国は日本を含め124カ国にのぼります(*1)。主要な温室効果ガスであるCO2をいかに減らすかは、気候変動の緩和に向けて、今や世界共通の課題です。
今回のテーマである「CO2配慮商品」は、この課題の解決を後押しできる、原材料の採掘から生産、流通、廃棄にいたるまでCO2の排出量を可能な限り抑えた商品・サービスを意味します。
CO2を減らすと聞くと、自粛や我慢をする印象があるかもしれませんが、CO2を減らしながら暮らしを豊かにする商品やサービスが次々と誕生しています。
この機会にお気に入りのCO2配慮製品を見つけてみてはいかがでしょうか。
CO2配慮商品はなぜエシカル?
CO2は気候変動を引き起こす主要な温室効果ガスのひとつであり、気候変動による影響はすでに暮らしのさまざまなところに現れています。
猛暑日や台風、大雨の増加など、気象の変化に伴う熱中症などの健康被害、交通まひや洪水、水不足といった社会的被害も年々増加しつつあります。感染症発生の原因の一つにも気候変動があげられています。
生態系に与える影響も深刻で、気候変動の影響で住む場所を変えなくてはいけない状況の動物もいます。また、異常な気象状況によって農作物や水産物などの収穫量の減少もつながっています。
CO2配慮商品を選ぶことは、間接的ではありますが、このような影響を減らし、気候変動を緩和していくことにつながります。
CO2配慮商品を選ぶポイント
CO2配慮商品を選ぶポイントは3つあります。
(1) 省エネ製品を選ぶ
身近な例では、エアコンやテレビのように、電力がたくさん必要で使用している時に電力がたくさん必要なためのCO2排出量の割合が多いものがあります。一方では、省エネ家電や電気自動車などエネルギー効率がよいものを購入することで、CO2排出量の削減に貢献できます。例えば、すすぎが一回で十分な洗剤は、水の使用量だけでなく必要な資源やエネルギーが少ない分、CO2排出量を削減することにもつながります。
(2)カーボンオフセットできる商品を選ぶ
最近では、排出したCO2を植林などの支援によってオフセット(CO2を削減する取り組みに寄付し、相対的に排出量をゼロにすること)できます。飛行機や車、列車での移動によってどうしてもCO2の排出を伴う場合は、こうしたサービスを利用して相殺するのも一つですね。
(3) CO2排出削減に取り組む企業、ブランドの商品を選ぶ
CO2排出量の少ない商品・サービスは、開発途上でもあります。現段階でまだ取り組みが不十分だったとしても、CO2の排出を実質ゼロにすることを目指し、近い将来CO2削減を約束している企業やブランドの製品を、応援の意味を込めて選ぶこともできます。
この他にも、資源・エネルギーの消費量をできる限り少なくすることがCO2配慮と考えると、これまで特集で取り上げてきたテーマもCO2配慮に関連します。
・ゴミが発生しにくいものを選ぶ
資源の利用や加工は、CO2の排出源となっています。そのため、ゴミの排出量が少ない商品はCO2配慮商品でもあります。包装材が少ないもの、長く使えるもの、修理できるものなどを選ぶことは、ゴミ削減の視点も重要です。
【記事】捨てないことで未来の地球を守る。「ごみ削減」につながる商品
・地産地消の食材や製品を選ぶ
なるべく地元の食材や製品を選ぶことで、輸送や保冷・保温にかかわるエネルギーを減らすことにつながります。地元の応援になるだけでなく、エネルギー使用率が減り、CO2排出量を減らすという意義がある選択ですね。
【記事】地域経済や働き手を応援できる。 「地元生産加工」「就労支援」商品を買おう
・旬の野菜や果物を選ぶ
季節外れの野菜や果物は、ビニールハウスでの温度管理などに多くのエネルギーを使って育てられます。そのため、旬の野菜や果物を知り、選ぶことも気軽にできるCO2配慮の選択になります。
【記事】食を通して季節を味わう。 「旬の食材」を買おう
国内外のCO2配慮商品
ここで、国内外のCO2配慮商品に関連する事例を紹介します。
排出したCO2をカーボンオフセットできる配車アプリ「Facedrive」
乗客がドライバーを呼ぶ際に電気自動車、ハイブリッド車、ガソリン車から選択することができるカナダの配車サービス。さらに、移動距離からCO2排出量を算出し、植林プロジェクトへの寄付金に変換されます。寄付金は、移動した後に利用料金に上乗せされ、カーボンオフセットできる仕組みになっています。
【記事】排出したCO2をカーボンオフセットできる配車アプリ「Facedrive」
スウェーデンの木造9階建てマンション、550トンのCO2排出削減に貢献
「マンションはコンクリート製」という概念を覆す9階建ての木造マンション。木材はコンクリートと比べて製造時や運搬時に発生するCO2が少ない特徴があります。また、建物の耐用年数内に排出される木材のCO2排出量は、コンクリートと比べて約550トン削減できるそうです。解体した後も建材が再利用できるよう設計し、長く使えるように工夫されています。温かみのある外観、内装が心地良さそうですね。
【記事】スウェーデンのリサイクルできる木造9階建てマンション、550トンのCO2排出削減に貢献
樽(たる)のシェアでコストもCO2も削減。クラフトビール業界の救世主
通常、醸造所とビールバーを行き来する樽は醸造所が所有するため、醸造所は回収する手間が発生します。そこで樽をシェアし、まとめて回収することで輸送コストや手間を省き、輸送に伴うCO2削減をはかるサービスを考案しました。ありそうでなかった一石二鳥でニッチなサービスです。
【記事】樽のシェアでコストもCO2も削減。クラフトビール業界の救世主「レン樽」
クラシックカーは愛らしいフォルムが魅力的ですが、燃費の悪さから愛用するのは気が引ける方もいるのではないでしょうか。こちらは、フォルクスワーゲンが1966年に生産した、「T1サンババス」。クラシックで上品な意匠をほとんどそのままに、動力を電気に変えた新しいシリーズです。再生可能エネルギー由来の電気を利用すれば走行中の温室効果ガスは排出されないことから注目を集めています。
脱炭素化に向けて今後もCO2配慮商品に注目が集まりそうです。
【記事】60年代クラシックカーを再生した、CO2排出ゼロの電気自動車。フォルクスワーゲンが販売へ
エールマーケットのCO2配慮商品
最後にエールマーケットからCO2配慮商品をご紹介します。
幾何学模様の明かりが魅力的な太陽光で充電できるランタン。電源をつけておけば暗くなると自動で点灯します。屋内でも屋外でも使えるので、室内の常夜灯や玄関先のあかりなど、さまざまな用途に活躍します。
(商品ページはこちら<外部サイト>)
一見スニーカーとCO2配慮は関係なく感じるかもしれませんが、allbirdsはスニーカーの製造によって排出されるCO2をゼロにすることを目標にし、生産から廃棄にかかわるCO2排出量の測定をしています。現段階でも、一般的なスニーカーがつくられてから廃棄されるまでのCO2排出量が12.5kgのところ、allbirdsの平均は7.6kgと少なめです。
(商品ページはこちら<外部サイト>)
最終回となる次回は「天然素材」について解説します。お楽しみに!
*1 参考 経産省「2050年カーボンニュートラルを 巡る国内外の動き 令和2年12月」
参考記事 気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018「日本の気候変動とその影響」
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