ウェルビーイングを高めるヒントが満載。ヨーロッパ各国の休日の過ごし方【欧州通信#04】

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日本に先駆けて、ヨーロッパは行政およびビジネスの分野で「サステナビリティ」「サーキュラーエコノミー」の実践を目指し、現在に至るまで世界を主導してきた。そんな欧州の最先端の情報を居住者の視点から発信し、日本で暮らす皆さんとともにこれからのサステナビリティの可能性について模索することを目的として活動する「ハーチ欧州」。

そんなハーチ欧州メンバーによる「欧州通信」では、メンバーが欧州の食やファッション、まちづくりなどのさまざまなテーマについてサステナビリティの視点からお届けする。現地で話題になっているトピックや、住んでいるからこそわかる現地のリアルを発信していく。

前回は、「暑さ対策」をテーマに、記録的な猛暑が続いているヨーロッパで、少しでも生活が快適になるよう、各地で工夫されていることを紹介した。そんな欧州は現在、夏休み真っ最中。ということで、今回のテーマは「休日の過ごし方」。フィンランド、フランス、オランダ、ドイツ、イギリスの人々は休日をどう楽しんでいるのか?現地の人々の「労働と休み」に関する考え方にも注目した。

【フィンランド・ヘルシンキ】都市にいても森や湖が身近に

国土の7割を森林が占めるフィンランド。休みの日は、森で散歩をしたり、ベリー摘みをしたり、キャンプをしたりする人が多くいる。首都ヘルシンキでも、少し歩けば豊かな自然の森が広がっているほどだ。

Finland

Photo by Kimika

そんな土地に暮らすフィンランドの人々は、昔の日本人と同じように、自然を生活の一部としている。以前、同国でサーキュラーエコノミーを推進する「Sitra」のプロジェクトディレクターに話を伺った際、こんな発言があった。

フィンランドでは、人と自然の距離が近い。自然への感謝の気持ちが根付いており、もともとウェイスト(廃棄物)はないと捉えられている。最近では、課題だと思っていることに対するイノベーションを起こす学校教育もされています。

フィンランドでは、環境に良い消費の選択肢も多い。例えば、代替肉や、植物性ミルク、地元で採れた新鮮なフルーツなど。都市にいても自然が身近にあり、実際にサウナの後に湖や海に飛び込んだりするフィンランド人だからこそ、消費者の選択によってそれを汚したりしたくない、という気持ちがあるのかもしれない。

【欧州CE取材#12】官民連携のお手本。Sitraが進めるフィンランド流サーキュラーエコノミー

【フランス・サンセール】自然とともに暮らす地元の人々が、昔から楽しんできた健康法

フランスのサンセールはワインの産地として知られ、丘の上のかつての城壁跡に囲まれた村から、あたり一面に広がるぶどう畑が見渡せる。この時期、天候に恵まれるこの小さな村の住人の週末の過ごし方の一つはハイキングだ。

9月の収穫に向けて熟れ始めたぶどうの木々の合間を歩きながら、サンセールの周りに放射状に位置する次の村まで散策が楽しめる。30℃近い暑さでも、木々が密集する木陰に入れば涼しく快適、野花や野生のベリー、梨、プラム、胡桃などの木が茂る風景、ときどき畑に迷い込んだ鹿が目の前を歩く姿などを見ることができる。

France

Photo by Yukari Fujiwara

また延々と続く夏のぶどう畑の深く美しい緑は脳を癒してくれるセラピー効果も。道に迷わないように、ハイキングコースは色や番号が所々の木々に示されているので、ハイカーは自分の選んだコースをたどりながら足を進める。一旦ハイキングに出発したら、片道1時間から3時間の道のりが待っている。頼りは自分の足だけ。公共交通やタクシーも近くにはないので、疲れたからといって、帰りは車でというわけにはいかない(ある意味、炭素排出を限りなく少なくすることもできる)。

自然とともに暮らす地元の人々が、昔から楽しんできたハイキング。今では遠方よりハイキングにやって来る観光客も多い。歩き疲れた人には、ハイキングコース上にあるワイン農家に立ち寄り地元ワインのテイスティングという選択もあり、その後の足取りはとても軽くなるのである。

【フランス・パリ】「なぜ?」と疑問を持ってもらうことで、パリ市民の「ポイ捨て文化」を変える

市内にごみ箱の数も多く、吸い殻のポイ捨てにも罰金が科されるパリ。市内を歩いているとポイ捨てされたごみの多さに驚く。そんな中、パリには週末にごみ拾いを行う団体がある。

日本発祥の清掃ボランティア団体「greenbird(グリーン・バード)」は、実は2007年からパリでも活動している。月に一回パリ市内でごみが多い場所に20〜30人ほどのメンバーが集まり、1時間かけて目についたごみを拾っていく。

Photo via green bird Paris

グリーンのベストを着てごみを拾っていると、すれ違う市民から「なぜ公共の場所に落ちているごみを拾っているの?」という個人主義のフランスらしい質問をされたり、「ありがとう」という感謝の言葉を伝えられたりする。参加したフランス人メンバーに話を聞くと、「フランスの学校では業者の人が掃除をしているし、街を清掃するのは役所の仕事、という意識が強い。そもそも自分たちでごみを拾うという意識があまりない」のだという。

活動に参加してみて何よりも、ごみを拾いながらの参加者の方々との交流がとても楽しく、充実した1時間であった。グリーンバードの日々の活動をとおして、「ポイ捨てはよくないことだ」という認識が市民に浸透することを期待したい。

【オランダ・アムステルダム】都市近郊にある「おいしい楽園」とは?

アムステルダムでは、都市近郊で循環型の食の仕組みづくりが進み、都心から自転車で30分ほどの場所には住民が体感できる果樹園「Fruittuin van West」がある。入園料はなく、リンゴやブルーベリーなど、季節の果物を自分で収穫したり、放し飼いのニワトリから卵をもらったりして、最後に量り売りで会計をする仕組みだ。値段は普通のスーパーと大差がない。

Photo by Kozue Nishizaki

自然いっぱいの敷地内を悠々自適に歩き回る動物たちと生い茂る自然とともに、命のありがたさを感じ、おいしい食材を楽しむことができるアムステルダムの楽園だ。

【ドイツ・ハイデルベルク】日曜日の店舗営業は禁止。夏の週末は、市民プールか近くの湖・川で

ドイツではレストランやカフェなどを除き、日曜日の店舗営業が法律で禁止されている。元々はキリスト教の教会に行くための法律だが、現在では従業員のウェルビーイング向上に役立っている。

そして、夏の日曜日、ドイツの人が向かうのは「緑あふれる水辺」。人口約8,400万人のドイツには屋内・屋外プールが7,000以上あり、1万2,000人につきプールが1つある計算になる。これらの多くは市が運営しており、入場料は大人400円程度と、地理的にも金銭的にも気軽に利用できるのが特徴だ。こうした市民プールは、広い敷地に芝生が敷きつめられていて、緑が多く、リス・鳥・蜂などがやってくる。市民プールは市民の大切な憩いの場となっているのだ。

Photo by クリューガー量子

また、近隣の川や湖で涼むのも、夏の週末の過ごし方の一つだ。川や自然の湖などでは、泳いだりカヌーを漕いだりして、遠くに行かなくてもリゾート気分を楽しめる。ドイツの街づくりの特徴は、人が住む街の近くに緑あふれるプールなどの施設をつくったり、身近な森・川・湖をレクリエーションとしても楽しめるよう保全・整備したりしていることだ。こうした身近な自然を子供のときから家族と一緒に実際に楽しむことが、郷土や国、そして自然を大切に思うための一番の教育なのかもしれない。

【イギリス・ロンドン】「華金」ならぬ「華木」?背景には労働事情が

一週間の仕事が終わり、開放的になる時間帯といえば金曜日の夜だが、ロンドンではパブやレストラン、バーなどが木曜の夜も賑わっている。中には予約を取らないと入れないお店もあるほど。このことにはイギリスの労働事情が関係している。

イギリスのテック、銀行、小売など色々な業界の企業では、週4勤務のパイロットプログラムを開始。一部の学校でも週4授業の制度が始まっている。また、金曜を休みにしなくとも、「在宅勤務デー」と指定している企業も多くあることから、木曜夜は「多少の夜更かしOK」の認識になっているのだ。

Photo by Megumi

これらの施策はすべて社員、学生のウェルビーイングを考慮したもの。スペインなどでも週4勤務が検討されていることから、ヨーロッパで「華木」が主流になる日も近いかもしれない。

ロンドンの中学校、「週4授業」を目指す。先生が健康に働ける環境づくりへ

編集後記

積極的に自然に触れに行ったり、しっかりと休暇を取得したり……国や地域による差はあるものの、ヨーロッパの人々は「自分がどのようにすれば心身ともに健康でいられるのか」ということに常に関心を持ち、よく考え、実践しているように思われる。人生100年時代と言われる現代、自らのサステナビリティについて考えていくことも大切になってくるだろう。

「欧州通信」はIDEAS FOR GOODのインスタグラムでも、随時更新しています。ヨーロッパのサステナブル事情に興味のある方は、ぜひフォローしてみてください。

ハーチ欧州とは?

ハーチ欧州は、2021年に設立された欧州在住メンバーによる事業組織。イギリス・ロンドン、フランス・パリ、オランダ・アムステルダム、ドイツ・ハイデルベルク、オーストリア・ウィーンを主な拠点としています。

ハーチ欧州では、欧州の最先端の情報を居住者の視点から発信し、これからのサステナビリティの可能性について模索することを目的としています。また同時に日本の知見を欧州へ発信し、サステナビリティの文脈で、欧州と日本をつなぐ役割を果たしていきます。

事業内容・詳細はこちら:https://harch.jp/company/harch-europe

▶ぜひハーチ欧州お問い合わせページからお気軽にお問合せください。

【参照サイト】green bird Paris Facebook
【参照サイト】green bird Paris
【参照サイト】Fruittuin van West
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