社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、ムール貝の糞が、海からマイクロプラスチックを取り除くカギとなりえることや、エストニアで同性婚が合法化されたことなどをご紹介した。
日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。
愛に溢れた世界のグッドニュース5選
01. 暑い都市の気温を下げるカギは「木を植えること」
バルセロナ国際保健研究所による新たな研究で、都市の植樹率を14.9%から30%に増やすと、夏の気温を0.4度抑え、暑さ要因の死亡率を39.5%減らすことがわかった。多くの木を植えることが、私たちを襲う猛暑や酷暑の対策になるのだ。
今回の研究で特に植樹が有効とされたのは、都市の樹木被覆率が低いルーマニアなどの東ヨーロッパと、スペインやポルトガルなどの南ヨーロッパである。しかし日本でも、緑の多い場所は涼しく感じるなど効果はある。都市部の緑が増えることの後押しとなる研究だ。
【参照サイト】Planting more trees in cities could cut deaths from summer heat, says study
02. ブラジルのアマゾン森林伐採、新大統領になってから34%減少
政府の衛星データによると、ブラジルのアマゾンの森林破壊は、2023年より着任したルーラ大統領の任期最初の6か月間で3分の1減少したという。
元指導者ジャイール・ボルソナロ政権下の2022年の1月から6月には、4,000平方キロメートルほどの伐採があったが、それが今回の政権下では2,650平方キロメートルとなったのだ。
「違法伐採を規制し、環境破壊を元に戻す」との公約を掲げて選挙運動を行ったルーラ氏。今年のデータでは、森林破壊が急増する傾向にある乾季の始まりを示す6月の警報数が、41%減少したことも示唆されている。
【参照サイト】Brazil: Amazon deforestation drops 34% in first six months under Lula
03. 世界初の「歯の再生」薬、日本で臨床試験へ
永久歯が無くなれば、もう歯は生えてこない──そんな前提を覆すかもしれない研究が、世界に先駆けて日本で進んでいる。
2024年7月から、先天的に永久歯の数が少ない患者に対し、専用の薬を投与することで、乳歯でも永久歯でもない「第三の歯」を生やすことを目指した治験を始めるという。歯が生えてこなくて困っている人の、新たな希望となるだろう。
【参照サイト】世界初の「歯生え薬」治験へ 乳歯、永久歯に次ぐ“第3の歯”とは
04. 数学を伸ばしたいなら、音楽と一緒に!
英学術書出版サイトに掲載された新たな論文では、数学と音楽の奇妙な因果関係が示されている。人が数学を学ぶとき、音楽と組み合わせることで、集中力を高め、難しいトピックなどへの不安を和らげ、さらにモチベーションも上げるというのだ。
幼稚園から大学生までの約7万8,000人の学生が参加した実験では、歌や作曲、バンド演奏などを総合的に学んだ学生の73%が、一切音楽の介入を受けなかった学生と比較して大幅に成績がアップした。数学と音楽には、記号の使用や対称性などの共通点があるというが、これは興味深い研究だ。
05. 韓国の国民、数え年廃止で一斉に若返る
韓国で浸透していた「数え年(誕生日ではなく、1月1日に国民全員が一斉に歳を重ねる方法)」が廃止された。これからは日本や西洋の国々と同様、誕生日に年を重ねる「満年齢」システムが進められていく。
これにより、韓国の文化のなかでは多くの人が1歳、人によっては2歳若返ることとなった。厳しい先輩後輩のシステムに混乱が起きそうではあるが、少し若くなってラッキーだという解釈の仕方もある。
【参照サイト】South Koreans become younger under new age-counting law