全世界でロックダウンが解除され始め、少しずつ外出や元の生活ができるようになりつつある。しかし、依然として新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の脅威はすぐそばにあり、対策に予断は許されない状況だ。
感染防止策の一つとして世界中で推奨されているのが、人と人との距離を一定以上保つ、「ソーシャルディスタンス」である。離れる距離の目安は1メートル〜1.5メートルとされているが、実際その感覚は個人に委ねられているのが現状ではないだろうか。道行く人とどのくらい離れたら良いのか?自分は人に近付き過ぎていないか?などと気がかりに思ったり、常に配慮が必要なこの状況を億劫に感じている人も多いかもしれない。
今回は、そんな人々の不安やストレスを少しでも和らげながら、心地よくソーシャルディスタンスを守り続けることを可能にする、ユニークなアイデアを紹介したい。
フランス、パリ市庁内の道路には、ソーシャルディスタンスを促すための波とカモメをモチーフにした涼しげなストリートアートがペイントされている。このストリートアートは「Mairie de Paris」と名付けられており、1メートルごとにペイントされているカモメの模様は、大人も子どもも思わずそこに立ちたくなりそうなデザインだ。これが、距離感に迷うことなく安全なソーシャルディスタンスを実現する助けになるのだ。
このデザインはフランスのアート集団「5•5」と、パリ市庁舎が共同で計画したプロジェクトである。「5•5」は、2003年にエコール国立芸術学院の学生によって設立された。設立当初から、幅広いユーザーのためになり、世の中を明るくするアートやデザインを行っている。現在は、ハーゲンダッツやマクドナルドなど大手企業とのコラボレーションも多数行う企業に成長しているが、彼らの理念は始めと変わっていない。
今回のデザインはパリのセーヌ川と、パリの紋章である水上を渡航する船をシンボルにしており、一部にはこの街の標語である「fluctuat nec mergitur!」(たゆえども沈まず)という言葉も添えられている。この言葉は、壮絶な歴史を乗り越えてきたパリの力強さや生命力を表す言葉で、「自分たちはこの危機を必ず乗り越えられる」というメッセージが込められている。このような時だからこそ人々の心に詩的に訴え、励まそうとするところに、パリらしさを感じる。
人々に何らかの社会的行動を促すとき、ただ単に決まりを守るように呼び掛けたり、不安を煽るような警告の看板を立てたりするのではなく、工夫やアイデアによって少しでも楽しく、心地よく実現する方法を探すことで、より良い社会になっていくのではないかと思う。そして、そのためにアートやデザインが果たせる役割は以前にもまして大きくなっているのかもしれない。
【参照サイト】 5.5
ご近所と繋がりたい人に。飲食代の代わりに「人を助ける」ことを約束するカフェ
現代社会において、ご近所付き合いを頻繁にしているという人は、一体どのくらいいるだろうか。安
国境による分断をなくす。リアルタイムで都市と都市を結ぶ窓「Portal」
リトアニアの首都ヴィリニュスと、ポーランドの都市ルブリンは、約600キロメートル離れている
コロナ禍で地域経済の活性化を目指す、チェコのデジタル通貨「Corrent」
日豪の研究チームが2021年4月に発表した論文「誰が新型コロナの給付金を使ったのか?日本の
音であの夜に戻ろう。コロナ禍にメキシコのバーが始めた音声サービス「I Miss My Bar」
日本の都市部では緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が続き、飲食店でのひとときが恋しくなって
土に埋めると花が咲く、100%生分解性のマスク「Marie Bee Bloom」
香港に拠点を置く海洋保護団体「オーシャンズアジア」の報告書では、2020年に15億6千万枚
コロナで休業するバーのシャッターに広告を。ハイネケンの飲食店支援
日本では1月7日から、首都圏を中心に2度目の緊急事態宣言が発令され、現在も継続中だ。夜8時
英BBC、ロックダウン中に教育番組をTV放送。ネット環境がない生徒にも教育を
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2021年1月5日から3回目のロックダウンに入ったイギ
コロナ禍でも安全にエンタメを楽しむ。夜にも寄れる香港の公園「The Grounds」
この一年で最も社会に浸透した言葉の一つ、それは「ソーシャル・ディスタンス」ではないだろうか
年末年始はリモートで。離れていてもオンラインで一緒に楽しめるアイデア8選
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、世界保健機関(WHO)の感染症専門家のマリア・ファン
「自給自足できる」街づくり。気候変動とパンデミックに立ち向かう、中国雄安新区の都市開発
新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大防止のために人や物の移動が制限されるように
シンガポール、グリーンリカバリー分野で5万以上の雇用機会を創出へ
グリーンリカバリーという言葉をご存知だろうか。グリーンリカバリーとは、打撃を受けた経済を今
飛行機をレストランに。シンガポール航空が提供する、コロナ禍の非日常体験
2020年、多くの業界が新型コロナウイルスによる影響を受けた。その中でも特に、人々の往来を
ウィズコロナのまちづくり。アメリカで進む「徒歩10分で公園」計画
新型コロナウイルス感染症の広がりによる緊急事態宣言、外出自粛など、感染を防ぐために自宅で過
さとうきびストローが実現する関係のリ・デザイン【Design for Good 〜つながりのリ・デザイン展〜トークライブレポVol.7】
IDEAS FOR GOODでは、自分が自然や人とどのような「つながり」をもっているのかを
手押し車をベンチに。コロナ禍のトロントで生まれた公共サーキュラーデザイン
新型コロナウイルスによって、密閉空間が避けられるようになり、街中での人々の行き来は減少した
日本の伝統文化を守る「きものリトリートホテル」山形県白鷹町に2021年オープン
いま、世界中で宿泊業界が大打撃を受けている。新型コロナウイルス感染症のパンデミック化により
地域の支え合いが作る、サステナブルな飲食店。石神井のイタリアンレストラン、FILIPPO
新型コロナウィルス(以下、新型コロナ)の影響で飲食店のあり方はガラリと変わってしまった。都
まちの道路をテラス席に。コロナ禍の飲食店を救う横浜のまちづくり「かんないテラス」
新型コロナウィルス感染症の影響により多くの飲食店が経営に大きな影響を受けているなか、国土交
家で退屈なあなたへ。世界各地の窓辺からの景色を眺められる「WindowSwap」
新型コロナウイルスの感染再拡大に世界が警戒心を示すなか、旅行に行くかどうか決めかねる状況が
花が彩る、日常の小さなつながり【Design for Good 〜つながりのリ・デザイン展〜トークライブレポVol.3】
IDEAS FOR GOODでは、自分が自然や人とどのような「つながり」をもっているのかを