【わかる、えらぶ、エシカル #10】捨てないことで未来の地球を守る。「ごみ削減」につながる商品

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「エシカル消費」という言葉を知っていますか? エシカル消費とは、人や社会、環境に配慮した消費のこと。誰にでもできる社会貢献のアクションとして、注目されています。

本特集では前回(全9回特集)の続編として、約6カ月にわたりエシカル消費のおすすめ11テーマを解説していきます。続編の初回である第10回は、「ごみ削減につながる商品」について詳しく解説します!

ごみを出すことはなぜ問題になるのか

私たちは日々、なにかしらのごみを出しています。日本全体では1年で東京ドーム約115杯分※1の約4,289万トン、そして1人あたりでは1日約920グラム、つまり毎日約1キロ近くものごみを捨てています。

「ごみ問題」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、なぜごみが問題になるのでしょうか。

一つ目に、ごみとして捨てられるものの多くは、資源から作られているからです。ビニール袋であれば石油、服であれば綿や麻といった植物、紙であれば木材、缶であればアルミや鉄などの鉱物といったように、全てなにかしらの資源を使って作られています。ごみを捨てるということは貴重な資源を捨てているということになります。

資源の無駄づかいは、例えば森林の伐採が進むことで生物の多様性が破壊されたり、ごみを燃やすことで出る二酸化炭素が気候変動を促したりしてしまうなど、環境問題にもつながることを踏まえると、ごみ問題の影響は大きいといえます。

他にも最終処分場、つまりごみを燃やした後の埋立地の容量に関連した問題もあります。環境省によると最終処分場の残余年は約20年しかなく、このままごみを燃やし続けると、埋め立てる場所がなくなってしまいます。

今後はますますごみを減らしていくことが重要になっていきますが、特に、プラスチックごみは海に流れ込むと、小さく砕かれ、それを魚や鳥が食べてしまうことで、傷ついたり命を落としたりすることがあります。こうしたプラスチック(マイクロプラスチック)は、今や東京湾からも簡単に採取されるほどになっていて、プラスチック汚染は深刻な状況です。

以前の特集で取り上げた脱プラスチックに関する記事はこちら

また、それだけではなく、ごみの処理費用の問題もあります。年間のごみ処理費用はここ数年で1兆9,000億円を超えており、国民1人あたり、年に15,500円支払っていることになるのです(2017年度)※2。

このように、ゴミを削減する事で環境への影響を減らしたり、ゴミ処理費用の削減につなげることができます。商品選びを通じて、どうごみ削減に取り組むことができるのか一緒に考えていきましょう。

ごみ削減につながる商品を選ぶことはなぜエシカル?

では、なぜごみ削減につながる商品を選ぶことはエシカルなのでしょうか?

1)有限な資源を守る

ごみ削減につながる商品を選ぶことは、資源の使用量を減らすことを意味します。多くの資源は長い年月をかけて地球上で生まれますが、今のペースで使い続けてしまうといずれなくなってしまう有限なものです。手元にあるものを長く使うことや、必要な人に行き渡らせることで新たな製品を作る必要がなくなります。

2)気候変動の抑制

多くのごみは、焼却炉に運ばれ、燃やされます。ごみを燃やす際には二酸化炭素が多く排出され、これらが今深刻化している地球温暖化や気候変動を引き起こす原因になっているため、ごみを減らすことができれば気候変動の抑制につながります。また、土地を切り開いて埋め立て処分場を増やす必要もなくなり、森林の保護や開発を減らすことができます。

3)生物多様性の保護

先ほど紹介したように地球上にある資源の過剰利用やごみを焼却して排出される二酸化炭素、そしてごみの埋め立て地の問題など、ごみをめぐる問題は多岐にわたります。ごみを削減する意識を持つことで地球の資源を守り、環境破壊を防ぐことが可能になります。環境を守ることで、結果的に自然界に生息する動植物の多様性の保護に貢献することができるのです。

生物多様性

資源の使用量を減らせれば、気候変動や生物多様性に与える影響も緩和することができます。プラスチックごみの削減は深刻化する海洋プラスチック汚染問題の解決にもつながり、生物多様性が守られます。また、ごみ処理費用を削減できれば、その分、教育や福祉などもっと必要な分野に予算を使うこともできるかもしれません。

このように、ごみを減らす商品を選ぶことは環境負荷を下げるだけでなく、よりよい社会をつくっていくためにも重要なことなのです。

続いて、ごみ削減につながる、海外の商品、取り組みをご紹介します。

ごみ削減につながる世界の商品

外出時も楽々 軽くて折り畳める水筒「Origami Bottle」

ペットボトルが海に流入した場合、完全に分解されるまでに約400年かかると言われています※3。とはいえ、外出時に水筒を持ち歩くと、重かったりかさばったりしてしまうのが難点です。この「Origami Bottle」は飲み終わると折り畳める優れもの。本体はポリマーからできており軽く、重さは120g。ふたには取っ手もついているので自転車やバッグにひっかけることもできます。外出時に連れていきたくなる水筒です。
【記事】軽くて丈夫で何度も使える。折り畳める水筒「Origami Bottle」

英国発、電子廃棄物をアップサイクルした「ごみ時計」

カラフルな色使いが目を引く腕時計。実はこれ、スマホやコンピューターといった電子廃棄物からつくられています。電子廃棄物にはニッケルやコバルトといった希少金属、世界の金の7%が含まれているといわれています。2019年に世界の電子廃棄物は5000万トンを超えましたが、先進国で廃棄された電子廃棄物の多くは途上国に捨てられています。深刻な問題ですが、この腕時計を使えば、電子廃棄物の問題や新たな価値を周りに紹介できるかもしれません。
【記事】時を刻むガラクタ。英国発、電子廃棄物をアップサイクルした「ごみ時計」

ドイツの環境都市が提案する、デポジットのコーヒーカップ

@ FreiburgCup

カフェやコンビニエンスストアで気軽にコーヒーをテイクアウトできるようになりましたが、一方で多くの使い捨てカップが廃棄されています。環境都市として知られる、ドイツ・フライブルク市は1カップ1ユーロのデポジット制でリユースカップを導入し、使い捨てカップごみの削減に取り組んでいます。すでに100店舗以上が参加し、26,000個以上のカップが使用され(2017年現在)、近隣都市への広がりもみせているそうです。
【記事】環境都市フライブルクが提案する、1ユーロデポジットのコーヒーカップ

いかがでしたか?ごみ削減という大きな課題も、ユニークなアイデアや取り組みによって少しずつ解決していくことができるのですね。
では次に「ごみ削減につながる商品」を選ぶポイントをお伝えします。

ごみ削減につながる商品を選ぶポイント

ごみ削減につながる商品選びで役立つのが「3R」、リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)です。これらの観点からポイントをご紹介します。

ゼロウェイスト

ごみを減らすにはまず、ごみが発生しにくい、リデュース(発生抑制)商品を選ぶことが大切です。たとえば、容器包装が少ない商品を選ぶ、割り箸など使い捨て商品をなるべく使わない、量り売りのお店で買いものをするといった方法があります。また、ヨーロッパを中心に、携帯電話やタブレット、ノートパソコンなどの電子機器や家電を修理する権利をメーカーに求めるなど、製品の長寿命化にも関心が高まっています。

リユース(再利用)の例としては、シャンプーなどの詰め替え製品や洗って何度も使えるリユース食器、レンタル機材の利用などがあげられます。身近なものだと、エコバッグや水筒を持ち歩くのも一つの例です。さらに、化粧品や食品など複数の企業が参画し、使用済みの容器を回収・洗浄した上で再度商品を補充し、消費者に届けるといったリユースサービスも誕生しつつあります※4。

リサイクル(再生利用)は、ごみが発生してしまった場合でも、再度原材料として活用することで新たな資源利用を減らす意義があります。再生紙を使った文具や再生プラスチックを使った製品などがこれに該当します。
以前の特集で取り上げたリサイクルに関する記事はこちら

これらにプラスして、最近では堆肥化できる、つまりは土に還る成分を含む商品も多く出ており、焼却せずに土に埋めることで土に戻る製品も増えてきています。

そして最後のポイントは、不必要な消費を減らすことです。全ての製品は役割を終えてしまうといつかごみになってしまうからです。ここで役立つのが、買う前に考えるべきポイントを段階的にまとめた「必要性の購入段階(The buyerarchy of needs)」です。何かを買おうと思ったら、まずは他のもので代用できないかを考え、次にどこかから借りられないか、だれかと交換できないか、中古品を買うことはできないか、そして自分でつくれないかを検討し、最終的な手段として「買う」ことを選ぶというものです。

必要性の購入段階の図

Buyerarchy of Needs. Photo credit: Sarah Lazarovic

購入前には本当に必要性かどうかを十分に考える、購入する時はいつも使いたくなるような自分のお気に入り商品を見つけてみる、といった事を意識するだけでも、買ったものを長く大切にできそうですね。

では、最後にエールマーケットからごみ削減につながる商品をご紹介します。

エールマーケットのごみ削減につながる商品

 

野菜の鮮度が長く持つ 繰り返し使える「やさいエコバッグ」
野菜の鮮度が長く持つ繰り返し使える「やさいエコバッグ」

日本の食品ロスの約半分は家庭由来。食べきれずに野菜がだめになってしまった経験をしたことがある人も多いのでは。このエコバックは普通のビニールと違い、ミクロの穴で呼吸をコントロールし、野菜の鮮度を保ちます。サイズはS・M・Lの3種類。上手に使って野菜の無駄をなくしたいですね。

(商品ページはこちら<外部サイト>)

次回は「フードロス」について解説します!お楽しみに!

※「わかる、えらぶ、エシカル -Shopping for Good-」特集は、Yahoo! JAPANが運営する人・社会、地域、環境にやさしいエシカル商品を応援するお買い物メディア「エールマーケット」とIDEAS FOR GOODが行う連載企画です。

※1 環境省調べ 一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度)について
※2 環境省 一般廃棄物処理事業実態調査の結果(平成29年度)について,ゴミ処理事業経費(p20)
※3 NOAA/Woods Hole Sea Grant
※4 https://loopjapan.jp/

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ヤフージャパンが東日本大震災後、東北の商品を揃えてネットで販売を始めた「復興デパートメント」。今は「エールマーケット」と名前を変え、全国の商品を取り扱っています。自然環境や人、地域に優しい社会を応援(エール)する、本当にこだわった商品を販売するモールです。

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