ロンドン地下鉄「グリーンパーク駅」が「グリーンプラネット駅」に。生物多様性を表現する、没入型の広告体験

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地球上には、確認されているだけで約175万種、未発見のものを含めると500万~3,000万種とも言われるほど多くの生物が存在している。

私たち人間も、こういった生物多様性からの恵みに支えられて生きているが、普段の生活で意識する機会は少ないのではないだろうか。

国連が2001~2005年に実施したミレニアム生態系評価によると、化石記録から計算した過去の種の絶滅速度は、100年間で1万種あたり0.1~1種。ところが、ここ100年では1万種あたり約100種もの生物が絶滅しており、絶滅速度が1,000倍になっていると言われている(※1)

人間の活動も、生物の絶滅に大きな影響を与えている。生物のかけがえのない価値を認識するには、どうすればいいだろうか。

イギリスの公共放送BBCのクリエイティブエージェンシー「BBC Creative」は、2022年1月、ロンドン中心部にある地下鉄のグリーンパーク駅を、様々な植物の巨大ポスターで埋め尽くした。これは、BBCで放送される自然ドキュメンタリー番組「The Green Planet」と連動した広告キャンペーンだ。

キャンペーンの一環で、駅名も期間限定で「グリーンパーク」から「グリーンプラネット」に変更。駅名標に「グリーンプラネット」と書かれているため、駅の利用者は思わず二度見してしまいそうだ。

駅のプラットフォームには、番組のトレーラー映像を見れるデジタルスクリーンを設置。地下鉄の駅というミニマルな空間で、まるで巨大な植物に包まれているかのような没入感が味わえる。

The Green Planetを制作したのは、数十年にわたって自然ドキュメンタリーを作り続けてきた、動物学者のデイビッド・アッテンボロー氏だ。90歳を超えた今も次々と作品を発表し、荘厳な自然の姿を伝えるとともに、環境問題に警鐘を鳴らしている。同氏は、2021年に開催された国連の気候変動対策の会議「COP26」で演説をしたことでも、注目を集めた。

BBC Creativeは、植物のポスターを制作する際、まるで異世界から来たような奇妙な生物を表現することを意識したという。自然は、私たちに癒しをもたらす優しい存在であるだけではなく、未知の部分が多い、怖い存在でもある。

私たちが自然を軽んじれば、その痛手を受けるのもまた、私たち人間ではないだろうか。駅の人混みに紛れて、そんなことを思ってはぞっとしそうだ。

※1 まもろう 日本の生きものたち(環境省)
【参照サイト】 Green Park Station gets an Attenborough-themed rebrand

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