ヨルダン観光の闇、動物労働に終止符を。観光客を「呼ばない」キャンペーン

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中東ヨルダンのペトラ遺跡をご存知だろうか。ヨルダン観光の目玉といっても過言ではない、旧ナバテア王国の面影残るこの遺跡の入り口は岩を削ってできており、思わず息を飲むほど壮大だ。2007年の新・世界七不思議に選出され、今ではユネスコ世界文化遺産にも登録されている世界屈指の秘境である。

そんな輝かしい面を持つ一方で、遺跡付近では毎日訪れる観光客のために馬やロバ、ラクダなど1,300頭もの動物たちが過酷な労働を強いられている。

たとえば、ロバは灼熱の日差しの中、観光客を背に山側の厳しい位置にある修道院へ続く900段もの険しい階段を登る。また、馬やラクダはムチで叩かれながら、十分なエサや水を与えられることなく、観光客を乗せたカートを引いてまわる。

以前から問題視されてきたこの遺跡付近の動物労働であるが、観光客が動物に対する暴力を目撃した場合の報告先であるメールアドレスには連絡をしても返信がなく、報告のためのウェブサイトも機能していない状態だ。

そんな中、Youtubeにチェーンやロープで繋がれた傷だらけの動物たちの動画がアップされ、その環境の劣悪さが明るみに出た。投稿したのは動物保護団体の Peta(動物の倫理的扱いを求める人々の会)だ。Petaはヨルダンの動物を保護するキャンペーンのなかで、動物労働に代わってゴルフカート等の現代的な移動手段を導入しない限り、ペトラ遺跡に近づかないよう観光客に勧告したのだ。

Jordan animal mistreatment

Image via BBC

ヨルダンの地元の団体と、国外のパートナー団体が動物の労働環境の改善に努めてはいるが、キャンペーンが一筋縄では行かないことも事実である。なぜなら、観光は地元の人たちの1番の収入源だからだ。もし動物労働が完全に撤廃されたら、動物のオーナーたちの生活が苦しくなる。また、ユネスコ自体もペトラ遺跡付近への自動車の導入には否定的である。

そこでPetaは、動物のオーナーたちが動物に十分なエサと水、そして休憩場所を与えるように促している。また、軽量化した貨物や動物に優しいサドルの導入も始めた。しかし、まだまだやるべきことはたくさんある。Peta以外にも、ヨルダンの動物保護団体があらゆるパートナーと協力してこの問題を改善すると意気込んでいる。

さまざまな懸念点がある中で、どのように動物たちの権利を守るかが、この課題の論点だろう。3,000年以上の歴史を持つ遺跡で、先人たちの叡智や自然の偉大さを生で目にすることは至極の体験であるが、それを支える動物たちや、自然の保護なども考慮しなければならない。観光においても倫理性が問われているのだ。

【参照サイト】Jordan urged to end animal mistreatment at Petra site
【参照サイト】Nabataea – Petra Park
(※画像:BBCより引用)

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