風呂上りのひととき、そしてこれからの忘年会シーズンに欠かせないビール。欧州では、ビールは瓶から直接飲むのが「乙」な飲み方ということで、多くのビールが瓶で売られている。瓶の表面にはブランド名や原材料などが記載された紙ラベルが貼られているが、これは再利用されることなく、ほとんど瓶の処理のときに捨てられる。
そこに目をつけたのが、世界数十か国に製造拠点をもつベルギーの大手酒造会社 AB InBev社だ。バドワイザーやコロナビールなどを主要ブランドに抱える同社は今、ラベルの代わりにビール瓶に直接ブランド名を刻印する技術開発に取り組んでいる。
ベルギーのルーベン市にあるAB InBev社の工場では、「直接オブジェクト印刷」と呼ばれる技術により、インクとワニス(塗料の一種)のみを使用して、ボトルにデザインを直接「タトゥー」できる。触覚効果のために、エンボス(浮き出し模様)加工も施されている。
以下の画像の瓶は、AB InBevのグローバルイノベーションアンドテクノロジーセンター(GITEC)と6人のアーティストとのコラボによる、「Beck´s」ブランドのアーティストシリーズの限定版の一環としてつくられたものだ。9つの異なるボトルがコレクションされる。
加工済みの瓶は、まずイギリスで20万本販売される予定だ。当技術が一般市場に導入されるのは今回が初めてで、評判がよければ世界に展開されていくとのこと。将来的には、現在使用されている紙やプラスチックのラベルにとって代わり、環境および経済効果をもたらす可能性があるとして、期待されている。
ラベルを使うのではなく、「ビール瓶に直接タトゥーする」という新しい試みは、私たち消費者に瓶包装のムダについて問いを投げかけている。これまでの瓶包装の常識を覆す、AB InBev社の新しい印刷技術の今後に注目していきたい。
【参照サイト】AB InBev’s GITEC team is Pioneering New Tech to Revolutionize Labeling
(※画像:AB InBev’sより引用)