「コロナの影響を最も受けやすい人が安心できるように」世界中のスーパーで広がる「高齢者専用」買い物タイム

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世界を巻き込み、猛威を振るっている新型コロナウイルス。2020年3月11日には、世界保健機構(WHO)が「パンデミック(世界的に流行している感染症)」と認め、国民の移動・外出を強制的に禁止したり、生活必需品以外の店舗を閉鎖したりする「ロックダウン」と呼ばれる強硬措置を取る国も増えている。

感染拡大の防止を目的に自己隔離が広がっており、今後を見据えて買いだめする人も増えているため、スーパーマーケットではパスタやお米、卵など生活必需品の品薄や品切れが続いている店舗も多い。中には、数少ない商品を顧客同士が取り争うようなパニックも起こっており、自体は深刻だ。

そんななか、世界中のスーパーで、高齢者や障がい者など新型コロナウイルスの影響を最も受けやすい立場の弱い人が、優先的に買い物ができる、買い物タイムの限定制度が広がっている

高齢者の買い物

Image via shutterstock

アメリカやカナダ、イギリス、アイルランド、フランス、南アフリカ、オーストラリアなどで実施されている「高齢者専用の買い物タイム」は、開店後の最初の数時間を高齢者に解放し、顧客が自分のペースで必要な商品を購入できるよう促進している。

例えば、アメリカに本社を置く世界最大のスーパーマーケットチェーン「ウォルマート(Walmart.INC)」の一部店舗では、毎週火曜日に通常の営業時間より1時間早く開店し、最初の1時間は60歳以上の顧客のみが利用できるイベントを開催。

同様の試みは、衣類や家具を販売している大手チェーン「ターゲット(Target)」や倉庫型の卸売チェーン「コストコ(Costco)」など多くの企業で行われている。高齢者だけでなく、体に障がいがある人や基礎疾患のある人も利用できる店舗も多い。

WHOによると、高齢者は新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすい。実際にアメリカ政府が発表したデータでは、国内の新型コロナ感染者のうち、31%が65歳以上の高齢者であり、新型コロナウイルスによる死者の割合も高齢者が80%を占めている。

高齢者は「高齢者専用の買い物タイム」を利用することによって、人混みをできるだけ避け、感染の確率を下げることができる。清掃・消毒の済んだばかりの早朝を解放している店舗が多いのも、できるだけ清潔な店内を提供し感染への心配を減らすという配慮だ。

品薄の商品は購入に個数制限がかかっていることもあるが、買い争うことなく落ち着いて生活に必要なものを買えるという安心感は、体力面など立場の弱い高齢者にとって大きな利点だ。「病は気から」ということわざがあるように、買い物への心労を減らすことは、不安な毎日を過ごす人の助けになるだろう。

また、高齢者の買い物を優先し感染を防ぐことは、その他の世代のためにもなる。新型コロナウイルスの脅威はウイルスの感染による死だけではなく、新型コロナウイルス患者への対応で医療機関の余裕がなくなり、他の患者に手が回らなくなることでもあるからだ。実際にイタリアでは、新型コロナウイルスの患者で集中治療室が満室になってしまい、医療崩壊が起こりかけている。

立場の弱い高齢者に買い物を優先させ、新型コロナウイルスに立ち向かう企業たち。悲観的な雰囲気が漂う今こそ、このような優しさから社会全体への有益性をもたらすようなアイデアがより広まることに期待したい。

【参照サイト】WHO「新型コロナウイルスはパンデミックと言える」
【参照サイト】Latest Walmart Store Changes to Support Associates and Customers
【参照サイト】Q&A on coronaviruses (COVID-19)
【参照サイト】Coronavirus spreads fear, isolation, death to elderly worldwide

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