学生や休業中の飲食店従事者ら3000名超がスコットランド農園の収穫期を支援

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新型コロナウイルスの感染拡大は、世界各国に経済的な影響を与えている。欧米諸国では、都市封鎖や飲食店の営業規制などに伴って、雇用問題にも発展している状況だ。労働者への休業補償による対策などもある一方、農業分野では収穫を担う海外からの季節労働者が確保できずに農作物の廃棄も発生している。このような状況の中、英国スコットランドのフルーツ農家が地元の学生や休業中の飲食店従事者らを募集して、農作物の収穫時期を乗り切ろうとしている。

休業中の地元住民を募集しているのは、 スコットランドの3都市にある19の農園だ。これらの農園は、毎年12,400トンのイチゴやブルーベリーを生産しており、英国全体のフルーツ生産の25%を担うスコットランドでも重要な地域だ。例年の収穫期にはブルガリアとルーマニアから季節労働者を迎え入れているが、国をまたいだ移動が難しい現状を受けて地域で収穫者を募集したところ、3,200名の募集枠が全てうまったという。

現在、英国中の農園が同じように労働力不足に直面しており、農作物を収穫できないことによる食料品の不足や食品ロスが懸念されている。今回の応募によって収穫期に必要な労働力が確保でき、当面はこれらの問題を乗り切れそうだと農園の経営者は述べている。

もちろん、新しく雇用することによる課題も多い。例年東欧から一時雇用している収穫者は10年以上の経験がある人が大半だ。一方で今回一時的に雇う収穫者の経験不足やそれを補うトレーニング、さらには新型コロナウイルスの感染リスク対策も必要になる。都市封鎖や移動制限が解除された後には雇用した人たちが離れていくことも農園運営者はすでに想定しており、「今後どうなるかは現時点では分からない」と考えている。

「このような状況だからこそ、食料を通して英国人の食生活と健康を支える必要がある」というのが、今回地元で収穫者を募集した農園運営者たちの想いだ。

新型コロナウイルスの感染拡大とそれによる生活の変化は、今後様々な場面で人の生活を長期的に変えることが想定される。
食を支える様々な取り組みについて知ったり活用したりすることで、農業や食生活の今後の在り方について考えることも今後必要になるだろう。


【参照サイト】
Scottish fruit farmers recruit thousands of locals to save harvest

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