「名画を家にあるモノで再現しよう」コロナによる自宅待機の人々をアートでつなぐ、美術館のキャンペーン

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新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染予防・拡散防止のため、臨時休館をしている美術館は大打撃を受けている。アメリカ中の美術館でも、1日に少なくとも3300万ドル(約35億円)の損失が出ていると予測されている。ニューヨークのメトロポリタン美術館などは3月から、美術館や文化施設を救済するために40億ドル(約4300億円)を捻出するよう、米国議会に求めている。

シビアな状況だが、その中でも外出できない人たちに元気を与え、芸術の素晴らしさを伝えようとする取り組みが始まっている。ロサンゼルスのJ・ポール・ゲティ美術館は3月26日に「好きな芸術作品を、家の周りにあるモノで再現してみよう」という遊び心のあるキャンペーンをツイッター、フェイスブック、インスタグラムで行った。その結果、何千もの再現作品が投稿されているという。

ほんの一部の作品を紹介すると、たとえばルノワールによる「ブージヴァルのダンス」を再現したもの。日差しを浴びながら踊る男女の親しさが伝わってきて、とても微笑ましい。他に、日本でも有名なフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」、クリムトの「母と子」といった作品が再現されている。

これらの作品、もちろん細部を見れば異なる点は多いが、大枠で捉えたときの印象が非常に似ていて驚く。そして大変なときでも尽きることのない、人々の創造力とほんの少しのユーモアに励まされる。同美術館は、素敵な作品を作るコツとして「表情やポーズにこだわること」「光の方向に注意を払うこと」「行き詰まったときは、色より形に注目すること」などを挙げている。

たとえばレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を再現した作品では、イエスと12使徒のポーズを忠実に真似ることで、非常に似た印象を与えることに成功している。また、彫像の「サモトラケのニケ」を再現したケースでは、最小限のモノで大まかな形を似せている。とても抽象的な捉え方だ。

今の危機に際して、芸術が担える役割は何だろうか。それはたとえば、SNS上でとげとげしいことを言う人たち、居丈高に知識を披露して談義する人たち、不安で冷静さを失っている人たちの心を慰め、心をひとつにすることだ。

閉じこもりがちな生活で新しいことを始めるのは、健やかに過ごすコツでもある。これを機に読書、音楽、写真、絵など、何か新しいことを始めてみてはどうだろうか。

【参照サイト】Getty Artworks Recreated with Household Items by Creative Geniuses the World Over

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