【わかる、えらぶ、エシカル#18】食を通して季節を味わう。「旬の食材」を買おう

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「エシカル消費」という言葉を知っていますか? エシカル消費とは、人や社会、環境に配慮した消費のことで、誰にでもできる社会貢献のアクションとして、注目されています。

本特集では前回(全9回)の特集の続編として、約6カ月にわたりエシカル消費のおすすめ12テーマを解説していきます。第18回は、「旬の食材」について詳しく解説します!

知るとよりおいしく味わえる「旬の食材」

本来食材には季節ごとの気候に合わせて育ち、収穫される「旬」がありますが、売り場で一年中見かける野菜や果物が多くなり、1970年代に比べ近年は一年中販売している食材が増加しています(*1)。

日本では、季節のはじめに出てくるものを「はしり」、終わりに出てくるものを「なごり」、その間の出盛りのものを「旬」と呼び、食を通して季節を楽しんできました。こうした習慣はエシカルな視点からみても意義があります。

「旬の食材」の商品はなぜエシカル?

旬の食材を楽しむこととエシカルは一見結びつかない印象があるかもしれません。エシカルな視点から旬の良さを見直してみましょう。

(1)環境負荷の削減

旬の食材を食べることは、環境負荷を下げることにつながります。たとえば、秋冬のきゅうりはハウスで温めながらつくられていますが、1キロのきゅうりを育てるためには約5,000kcalのエネルギーが必要になります。一方、屋外の畑で行われる露地栽培の場合に必要なエネルギーは1,000kcalほど。つまり、季節外れのきゅうり栽培は旬のものに比べ5倍ものエネルギーを消費することになります。

同じように、ピーマンを育てる際に必要なエネルギーはハウス栽培の場合は約1万kcal、露地栽培の場合は約1,000kcalと10倍もの違いがあります。

(2)栄養価が高く健康維持の手助けになる

旬の食材を選ぶことは健康維持にもつながります。たとえば、冬が旬のほうれん草は、冬と夏を比較するとビタミンCの含有量は(ゆでた場合)3倍もの違いがあります(*3)。

また、旬の食材にはそれぞれの季節に合わせて、体調を整える手助けをしてくれます。たとえば、春の山菜や菜の花が持つ苦みや香りが食欲を改善したり、トマトやきゅうりなどの夏野菜は豊富な水分によって体の熱を放出して体温を下げたりする役割があるといわれています。

環境負荷の事例として、サラダの具材をトマト半玉(100g)、きゅうり半分(50g)、ピーマン1個(20g)にした場合、ハウス加温のものと露地ものを比べると必要なエネルギーに1,000kcal前後の差が生まれるという試算もあります(*2)。

1,000kcalというと家族3~4人分用の400リットル冷蔵庫を約1日半動かすほどのエネルギーに相当します。ちょっとしたサラダでも旬の食材を選ぶだけでこれだけの差が生まれます。日々の暮らしの中で簡単にできることが、環境危機対策になるなんて驚きですね。

旬の食材はそのおいしさが魅力です。その季節にしか味わえないおいしさを楽しみながら選びたいですね。

「旬の食材」を選ぶポイント

次に旬の食材を選ぶポイントをご紹介します。

(1)食材の旬を知る

最近は旬以外の食材もスーパーなどで販売されているため、事前情報がないと売り場で旬かどうかを判断するのは難しくなってきています。まずは、ウェブサイトなどで季節ごとの旬をチェックしてみましょう。他にも、八百屋などで店員さんに直接聞いてみるのもおすすめです。おすすめの食べ方も一緒に教えてくれるかもしれません。

(2)「であいもの」レシピを知る

献立を考える際に、旬のもの同士を合わせた、いわゆる「であいもの」レシピを探すのもおすすめです。たとえば春なら若竹煮。旬のワカメと竹の子の炊き合わせは春らしい味わいが楽しめます。夏はきゅうりと鱧(はも)の酢の物、秋はさつま芋ご飯にサンマの塩焼き、冬は鰤(ぶり)大根といったように、季節ごとの「であいもの」を探すと旬の食材が簡単にわかります。

自分で野菜や果物を育ててみるのもおすすめです。自分で育ててみると、植える時期から収穫時期を把握することができ、旬の季節を自然と知ることができます。自分で育てたものはおいしさも格別です。

国内外の「旬の食材」に関連した事例

野菜や果物を実際で育てることや、育てる現場を実際に訪れることが、食材を知る鍵となります。それらに関連したおすすめの事例を紹介します。

野菜を育てる人と野菜が欲しい人をつなぐプラットフォーム

growの固定種

Image via grow

野菜を育てるのがはじめてという方におすすめの「grow SHARE」。栽培する野菜を決め、ウェブサイト上の地図に、野菜を育てる場所「vegeSPOT(ベジスポット)」を登録。その際、栽培する野菜の種類も登録すると、AI予測による発芽から収穫までのスケジュールも提供され、栽培をサポートしてくれます。野菜を栽培している人たちとのコミュニケーションも楽しめるサイトです。

【記事】野菜を育てる人と野菜が欲しい人をつなぐプラットフォーム「grow SHARE」

おうち時間で種まきしよう。楽しく生態系も豊かにするプロジェクト2選

種から野菜を育ててみたい、という方にはこちら。1つ目の事例「grow」では外見や味などの特徴がよく現れた株から種を取り、特徴を代々受け継いできた品種である、固定種の配布を行っています。他にも、「みつばちかだんプロジェクト」では蜜源が減ってしまったみつばちが、蜜や花粉を集められる環境を増やせるよう、クローバーやレンゲ、ゴマなどの種を紹介しています。固定種の場合は種の採取もチャレンジできますよ。

【記事】おうち時間で種まきしよう。楽しく生態系も豊かにするおすすめプロジェクト2選

訪れてわかる「いのちのてざわり」。小林武史が手がけるサステナブルファーム&パーク

kurkku fields マップ

kurkku fields マップ

旬の食材を知るには農場を訪れてみるのも一つの方法です。こちらは音楽プロデューサー小林武史氏が手がける千葉県木更津市にある農場。有機野菜の栽培だけでなく、鶏や水牛なども飼っており、循環型の暮らしを実践しています。場内のレストランでは敷地内で育てた野菜や、飼っている鶏からとれた卵などをふんだんにつかっています。畑で食物がどんな風に育っているのかを見るところからはじめてみるのもいいですね。

【記事】訪れてわかる「いのちのてざわり」。小林武史が手がけるサステナブルファーム&パーク “KURKKU FIELDS”

農家から消費者へ。パッケージフリーな食材を手に入れるゼロ・ウェイスト・マルシェ

Photo by Risa Wakana

農家の方が直接販売するファーマーズマーケットも増えてきました。こちらは、東京、渋谷で開催された、ゼロ・ウェイスト ファーマーズマーケットの紹介です。このマーケットでは野菜を包むビニール容器包装を使わずに提供されるなど高い環境意識が共感を呼んでいます。こうしたマーケットを利用して、生産者の方に直接、おすすめの旬の食材について聞くことで、旬食材の知識を得ることもできます。

【記事】農家からそのまま消費者へ。パッケージフリーな食材を手に入れるゼロ・ウェイスト・マルシェ

旬の食材は多く出回るため、値段も値ごろなものが多くなります。お財布にやさしく、栄養も豊富で環境負荷も下げられる。いいことづくめな旬食材。ぜひ毎日の食事の中で楽しみながら取り入れてみてくださいね。

エールマーケットがおすすめする旬食材の特集

今回はエールマーケットで掲載している旬の食材にまつわる特集記事をご紹介します。

旬を食す「春野菜・果物」 旬を食す「春野菜・果物」

旬を食す「春野菜・果物」
旬を迎える食材を取り上げた連載特集。ウニ、カキ、リンゴ、イチゴなど、その時期に合ったテーマで商品紹介やレシピ、食べ方のポイントなどをご紹介しています。
「春野菜・果物」特集では各地の農家さんがこだわってつくったブランド野菜や果物を紹介しています。お野菜のセットなどもあるので、いろいろと試してみたい方にもおすすめです。

 

農園てとて

大分の有機農家さんご夫婦を取り上げた連載特集。おいしくて栄養が豊富な時期に採れた、旬のお野菜をたっぷり使った保存食や簡単レシピを紹介しています。自然とともに生きる農家さんならではのノウハウや暮らしのヒントも書かれています。

 

 

次回は「CO2に配慮した商品」について解説します。お楽しみに!

*1 京都市ごみ減量推進会議職員 堀 孝弘氏調査による
*2 NPO法人環境市民 「食」でできる省エネ 第3回「旬の野菜を選ぶことの環境効果」
*3 五訂増補日本食品標準成分表 日本食品標準成分表2010

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ヤフージャパンが東日本大震災後、東北の商品を揃えてネットで販売を始めた「復興デパートメント」。今は「エールマーケット」と名前を変え、全国の商品を取り扱っています。自然環境や人、地域に優しい社会を応援(エール)する、本当にこだわった商品を販売するモールです。

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