都市部における新型コロナウイルスの感染者の急増を受け、安倍総理大臣は2020年4月7日、東京など7都府県を対象とする「緊急事態宣言」を行った。宣言の効力は5月6日までなので、ゴールデンウィーク中も対象になる。これにともない、あらゆる業種が打撃を受けるが、映画館もそのひとつだ。
平日と週末の動員に倍以上の差がある映画館ビジネスは、毎日が土日という状態のゴールデンウィークに休館すると、経営危機に陥る可能性が高い。すでにオンラインでの映画の配信を始めているところもあるが、映画ファンが映画館を応援できるような、他の取り組みはないだろうか。
テキサス州の映画館であるEVO Entertainmentは、巨大な駐車場にスクリーンを設置し、車に乗ったまま映画鑑賞ができるドライブインシアター「EVO Drive-In」を開催した。映画は無料で公開し、フードやドリンクで収益を上げる仕組みだ。注文するかどうかは任意で、オプションで寄付をすることもできる。スクリーンは外壁を白いペンキで塗って作り、音声は車のAM/FMラジオで流れる。1回の上映で、約150台の車を収容できるという。
乗車したまま鑑賞ができれば、社会的距離を確保できる。またフードやドリンクの注文と支払いは、独自のインターフェースを使って車内で行う。注文した品は手袋をしたスタッフが車まで届け、人との接触を最小限に抑えている。ドライブインシアターには広い駐車場が必要なので、日本の場合は都市部から離れた地域のほうが開催しやすそうだ。
EVO Drive-Inは3月27日に始まり、「スパイダーマン:ホームカミング」などが上映され、多くの上映回が予約で埋まったという。しかし4月13日時点のウェブサイトの情報によると、市からの屋内退避の規制に基づいた指示により営業を停止するよう言われたため、ドライブインシアターの開催はすでにやめている。同社は現在、フードの配送サービスを行い、再び映画館で観客と会えることを待ちわびながら、人々の健康を守っているという。
映画館が一時的に休館しても、映画自体が消えることはない。こんな状況でもさまざまなアイデアで人々を楽しませようとしてくれるエンターテインメント業界に敬意を示したい。
【参照サイト】 EVO Drive-In