多様なルーツを持つ人々が社会を形成し、共に暮らしているカナダ。その多様性を反映するかのように、カナダの街に溢れるレストランはバリエーションにあふれ、豊かな食文化を覗かせる。しかし、人が集まり、話に花を咲かせ、豊かで幸福な時間を提供する場所は、今や新型コロナウイルスの感染リスクが高まりやすい場となってしまった。その結果、多くの飲食店で客数が激減し、経営が悪化している。
この飲食店への大打撃に対して、カナダではとても素敵な取り組みが始まった。それが、毎週水曜日を「テイクアウトの日」とし、レストランからのテイクアウトを促進するCANADA TAKEOUTだ。
CANADA TAKEOUTは、カナダの飲食店や飲食業従事者を、コロナウイルスによる経営悪化による閉店から守るため、カナダの卸業者が立ち上げた。国際的なサプライヤーの協力を得て行うこのキャンペーンの目的は、人々に本格的な味を家庭で楽しんでもらい、それによって飲食店の売り上げの手助けをしてもらうことだ。利用者はCANADA TAKEOUTのサイト上で、自分の住んでいる地域でテイクアウトを提供しているレストランを検索することができる。そのままレストランのサイトへ移動し、テイクアウト商品をオーダーすることが可能だ。
もちろん、デリバリーやテイクアウトでのウイルス感染を防ぐため、衛生面ではカナダ政府のコロナウイルス対策を遵守している。
さらに、カナダの食やスポーツ、文化を支援する財団Canada’s Great Kitchen Partyの協力のもと、毎週水曜日には著名なミュージシャンやアスリート、俳優たちのショーをFacebook上で生配信する。ホーム・エディションと銘打ったこの配信の目的は、テイクアウトした料理と共に、自宅での食事の時間をより盛り上げ、楽しいものにすることだ。
公式InstagramやFacebookでは、カナダ中のレストランのメニューや開店時刻などを情報発信している。さらに、インフルエンサーやカスタマーたちによるハッシュタグ#TakeoutDayへの投稿など、数々のハッシュタグからは、その活発な活動の一端が覗けるだろう。
この画期的な取り組みは、文字通り未曾有の緊急事態となった現在でも、飲食業従事者が人々に楽しみを提供しようとしている姿勢の現れではないだろうか。また、人々が出歩かなくなったことで停滞してしまった、地域経済を守ることにもつながる。カナダの多様な食文化を守るために、消費者も生産者も相互に協力し、助け合う姿勢からは、店員と客、双方の対等な関係性が、社会に根付いていることも伺える。この飲食店の苦境に、我々も近くのお店で水曜日にテイクアウトを始めてみるのはどうだろうか。
IDEAS FOR GOODでは、「うまいもんドットコム」や「DIYキットのデリバリー」など、国内、国外問わずユニークな飲食業支援を紹介している。興味を持たれた方は、ぜひそちらの記事もご覧になっていただきたい。
【参照サイト】CANADA TAKEOUT
【参照サイト】Canada’s Great Kitchen Party
【参照サイト】Let’s Talk about Canada Takeout Day