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感染症対策

感染症対策

「感染症」とは(What is infectious disease?)

「感染症」とは、病原体が体内に入ることで発症する病気の総称です。大気、土壌、水などに存在する細菌やウイルスが体内に侵入・増殖し、人体に望ましくない反応をもたらすことで発症します。感染を構成する条件として、感染源・感受生体・感染経路の3つがあるとされています。

それぞれ、感染源とは感染の原因となった細菌やウイルス、感受生体とは感染源が侵入・増殖した生体、感染経路とは細菌やウイルスの移動を可能にする経路をこのように定義しています。人から人に移す直接感染・咳やくしゃみによる飛沫感染のほかに、空気中に漂うウイルスにより感染する空気感染、動物や水などから間接的に移る媒介物感染があります。

数字で見る感染症問題(Facts&Figures)

現在も全世界で多種の感染症が発生しており、症例数が増えているものも存在します。1980年にWHOによる唯一の根絶宣言が出された天然痘や、根絶間近とされているポリオなどの例を除いて、感染症による健康被害は大きな課題です。

世界で話題となっている感染症の現状に関する数字と事実をまとめています。

  • WHOによると、2016年時点で下気道感染症(肺炎や気管支炎など)による死者数は感染症のうち最多を占めており、全世界で300万人(2018年、WHO)
  • 結核による死者数は130万人とされており、全世界で10番目に多い死因となっています(2018年、WHO)
  • コンゴ民主共和国でアウトブレイクが発生したエボラウイルス病では、2018年4月30日から2019年11月17日までに、合計3,296例の症例と2,196例(67%)の死亡が確認(2019年、国際医学情報センター)
  • 妊娠中の女性が罹患すると出生時に障害を引き起こすことのある風疹の国内患者数は、2013年の14,344件をピークに2018年は2,917件(2019年、厚生労働省健康局結核感染症課)
  • 性感染症の1種である梅毒は、日本で2013年以降患者数が増加しており、2018年の報告数は約7,000人(2019年、厚生労働省健康局結核感染症課)

感染症対策

感染症問題の現状(Now)

全世界での取り組み

感染症対策では、研究・予防・治療を目的とした取り組みが多数実施されており、特にWHOが世界中の国や地域と連携して対策を進めています。研究開発の分野では「2018年に優先的に検討すべき感染症のリスト」が公開されており、世界的に関心の高い感染症を把握するのに役立つでしょう。

このリストは、公衆衛生上のリスクがあるが有効な治療・予防法が確立されていない感染症等の疾患に対して、研究開発を促進する目的で作られています。リストの中では、エボラ出血熱やSARSなどの既存の感染症だけでなく、未知の感染症に備える計画が必要であると明示しています。感染症の原因を解明するためには疫学の研究だけでなく、昆虫学や社会科学を含めた学際的な研究や、環境問題・難民問題・動物性食品の安全など、幅広い観点から研究を進める必要性が強調されているのが特徴です。

日本での取り組み

日本では、感染症の予防のための施策や患者の人権についてまとめられた1999年の感染症法の施行を皮切りに、サーベイランス(発生動向調査)の強化を方針として打ち出しています。同法では感染症を危険性の高い順に「一類」~「五類」に分類し、さらに「新型インフルエンザ等感染症」、「指定感染症」、「新感染症」の分類を設けています。分類ごとに、実施できる対策が法律で定められているのが特徴です。

また近年は、訪日外国人観光客の増加に伴う感染症対策も大きな課題となっています。外国生まれの結核患者数の増加が見られるなどの現状に対して、入国時の検疫体制の強化やWHOとの情報共有、外国人の医療アクセス改善、医師による感染症例の届け出強化などの施策が実施されています。

感染症問題への理解を深めるために(Impact)

感染症は疫学的な側面だけでなく、環境問題・難民問題・食品の安全・国際化・観光産業の変化など、様々な社会的な課題と結びついています

感染症と環境問題

地球温暖化の影響で感染症を媒介する蚊の生息域が広がり、マラリアなどの感染症が拡大すると予測されています。また、森林伐採によってウイルスを持った野生動物とヒトの接触が増えることで感染症が拡大する可能性も指摘されています。(日経新聞)

感染症と難民問題

難民を起点として感染症が拡大したと考えられる事例は欧州諸国で見られています。その中にはワクチン接種で防げる感染症や、政策としてワクチン接種が推奨されている感染症も含まれていました。文化や言語の違いから医療へのアクセスが難しい移住者に対して、医療アクセスを改善する必要性が提唱されています。(国立感染症研究所)

感染症と経済格差

米国では感染症のアウトブレイクが近年も発生しており、経済格差の拡大との関連性が指摘されています。1918年のスペイン風邪流行時に、非識字率と相関して死亡率が上昇したり、失業率が高い地域ほど感染拡大が早かったりするなど、経済的な要因を示す研究も存在します。(日経新聞)

感染症と観光業

外国人観光客の患者から観光地で感染拡大する事例も見られています。2次感染者の多くが商業施設や接客業従事者であることが分かっており、観光地から他地域に帰った患者も発生しています。感染症に対するワクチン接種を積極的に進める、外国人観光客向けに医療通訳やコールセンターで情報を提供する、観光局等との連携を進めるなどが今後必要であるといわれています。(国立感染症研究所)

健康を守る予防策について理解を深める、関係するテーマについて幅広く知ることで、自分にできることを考えるきっかけをIDEAS FOR GOODでは提供します。
感染症対策

感染症対策のためにできること(Solution)

医療や介護の現場では、確立された標準予防策(Standard Precautions)が実施されています。標準予防策に含まれる10項目の内、手指衛生と咳エチケットの2つが私たちの日常生活で実践できるものでしょう。

2020年のコロナウイルス流行に伴って、厚労省やユニセフが手洗い・咳エチケットのガイドラインを改めて周知していたり、各種メディアが取り上げていたりするなど多くの情報が手に入るようになっています。

エビデンスに基づいた標準的な予防を日頃から実践することが第一歩と言えるでしょう。

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咳エチケット

感染症対策に取り組むアイデアたち(Ideas for Good)

IDEAS FOR GOODでは、最先端のテクノロジーやユニークなアイデアで感染症対策に取り組む企業やプロジェクトを紹介しています。

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