ウィズコロナのまちづくり。アメリカで進む「徒歩10分で公園」計画

Browse By

新型コロナウイルス感染症の広がりによる緊急事態宣言、外出自粛など、感染を防ぐために自宅で過ごす時間が増えた人は多いのではないだろうか。在宅勤務やオンライン授業を受けている人の多くは通勤や通学のストレスから開放された一方で、運動不足や、画面越しのコミュニケーションの希薄さ、メンタル不調といった問題に直面している。

そんな中、アメリカで注目されているのが、すべての住民が徒歩10分以内に安全で質の高い公園や緑地にアクセスできるようにする「10 Minute Walk」計画だ。2050年を目標に、都市の大小に限らず公園や緑地を整備したり、新たな公園を作ったりするもの。アメリカの非営利団体The Public for Public Landがリードし、各市長、都市計画立案者、公衆衛生擁護センター、政策専門家などとネットワークを構築し、公園や緑地の重要性を訴え、その数を増やすための取り組みを行っている。

たとえば、カリフォルニア州・サンフランシスコでは人々が距離を保ちながら運動ができるように、閉鎖したゴルフ場が公共の緑地に生まれ変わった。この計画に同意した市長はおよそ300人と、地域を超えた大規模なプロジェクトだ。全員の名前と顔写真がウェブサイトにて公開されている。

公園

ほかにも、コロラド州の都市・デンバーではすでに90%の住人が公園や緑地などの10分以内にアクセスできるように都市計画がなされている。市議会では、さらなる公園や緑地の拡充・維持、新たな公園の土地獲得のために増税計画が承認された。

公園

最近の調査によると、都市に住むアメリカ人の70%がパンデミック下の身体的・精神的健康にとって、地域の公園や緑地の存在がプラスに働くと考えているという。さらに、71%は自宅から徒歩10分以内に公園や緑地へのアクセスが改善されれば、生活の質が向上すると回答している。また、過去にペンシルバニア大学の研究でも、「都市の緑化でメンタルヘルスが向上する」という結果がでた。

もちろん公園であっても手洗いや、周りとの適度な距離を保つことは必要だが、屋内の施設よりも屋外の公園のほうが感染リスクは低く、長らく続く自粛生活のストレス発散ができる最適な場所かもしれない。また、近隣住民とのコミュニケーションの場としても活用することができるだろう。

自粛が長期化するにつれて「コロナ鬱」「コロナ疲れ」といった言葉を目にすることが増えた。新たな環境に適応するのが難しい人たちにとって、コロナ禍の生活はストレスフルなものとなっている。“3密を避ける・人との間隔は2m開ける・食事は屋外で”などが推奨される新しい生活様式の場として、メンタルヘルスを保つ場として、公園は大いなる可能性を秘めているかもしれない。

【参照サイト】10 Minutes Walk
【参照サイト】Why We’re Committed to Ensuring Access to Parks for All by 2050

Edited by Kimika Tonuma

ご近所と繋がりたい人に。飲食代の代わりに「人を助ける」ことを約束するカフェ

現代社会において、ご近所付き合いを頻繁にしているという人は、一体どのくらいいるだろうか。安

国境による分断をなくす。リアルタイムで都市と都市を結ぶ窓「Portal」

リトアニアの首都ヴィリニュスと、ポーランドの都市ルブリンは、約600キロメートル離れている

コロナ禍で地域経済の活性化を目指す、チェコのデジタル通貨「Corrent」

日豪の研究チームが2021年4月に発表した論文「誰が新型コロナの給付金を使ったのか?日本の

音であの夜に戻ろう。コロナ禍にメキシコのバーが始めた音声サービス「I Miss My Bar」

日本の都市部では緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が続き、飲食店でのひとときが恋しくなって

土に埋めると花が咲く、100%生分解性のマスク「Marie Bee Bloom」

香港に拠点を置く海洋保護団体「オーシャンズアジア」の報告書では、2020年に15億6千万枚

コロナで休業するバーのシャッターに広告を。ハイネケンの飲食店支援

日本では1月7日から、首都圏を中心に2度目の緊急事態宣言が発令され、現在も継続中だ。夜8時

英BBC、ロックダウン中に教育番組をTV放送。ネット環境がない生徒にも教育を

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2021年1月5日から3回目のロックダウンに入ったイギ

コロナ禍でも安全にエンタメを楽しむ。夜にも寄れる香港の公園「The Grounds」

この一年で最も社会に浸透した言葉の一つ、それは「ソーシャル・ディスタンス」ではないだろうか

年末年始はリモートで。離れていてもオンラインで一緒に楽しめるアイデア8選

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、世界保健機関(WHO)の感染症専門家のマリア・ファン

「自給自足できる」街づくり。気候変動とパンデミックに立ち向かう、中国雄安新区の都市開発

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大防止のために人や物の移動が制限されるように

シンガポール、グリーンリカバリー分野で5万以上の雇用機会を創出へ

グリーンリカバリーという言葉をご存知だろうか。グリーンリカバリーとは、打撃を受けた経済を今

飛行機をレストランに。シンガポール航空が提供する、コロナ禍の非日常体験

2020年、多くの業界が新型コロナウイルスによる影響を受けた。その中でも特に、人々の往来を

ウィズコロナのまちづくり。アメリカで進む「徒歩10分で公園」計画

新型コロナウイルス感染症の広がりによる緊急事態宣言、外出自粛など、感染を防ぐために自宅で過

さとうきびストローが実現する関係のリ・デザイン【Design for Good 〜つながりのリ・デザイン展〜トークライブレポVol.7】

IDEAS FOR GOODでは、自分が自然や人とどのような「つながり」をもっているのかを

手押し車をベンチに。コロナ禍のトロントで生まれた公共サーキュラーデザイン

新型コロナウイルスによって、密閉空間が避けられるようになり、街中での人々の行き来は減少した

日本の伝統文化を守る「きものリトリートホテル」山形県白鷹町に2021年オープン

いま、世界中で宿泊業界が大打撃を受けている。新型コロナウイルス感染症のパンデミック化により

地域の支え合いが作る、サステナブルな飲食店。石神井のイタリアンレストラン、FILIPPO

新型コロナウィルス(以下、新型コロナ)の影響で飲食店のあり方はガラリと変わってしまった。都

まちの道路をテラス席に。コロナ禍の飲食店を救う横浜のまちづくり「かんないテラス」

新型コロナウィルス感染症の影響により多くの飲食店が経営に大きな影響を受けているなか、国土交

家で退屈なあなたへ。世界各地の窓辺からの景色を眺められる「WindowSwap」

新型コロナウイルスの感染再拡大に世界が警戒心を示すなか、旅行に行くかどうか決めかねる状況が

花が彩る、日常の小さなつながり【Design for Good 〜つながりのリ・デザイン展〜トークライブレポVol.3】

IDEAS FOR GOODでは、自分が自然や人とどのような「つながり」をもっているのかを

FacebookTwitter