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シーライオニングとは・意味

シーライオニング

シーライオニングとは?

シーライオニング(Sealioning)とは、本当は理解する気がないのにもかかわらず、相手に礼儀正しく素直なふりを続けながら、執拗に質問を繰り返し相手を疲弊させる(やる側が無意識であっても)嫌がらせや荒らし、ハラスメントのこと。主に、オンライン上での行為に対して使われる。

語源は、英語のシーライオン(アシカ)から。2014年の9月にアメリカのデザイナー David Malki !(デイヴィッド・マルキ !)氏がWondermark(ワンダーマーク)という自身が運営するWebサイト上のページで紹介した漫画が発端だ。タイトルは「The Terrible Sea Lion(訳:ひどいシーライオン)」(※1)

漫画では、女性が「シーライオンが苦手なんだよね」と公共の場で発言したところ、突如シーライオン(見ず知らずのしつこい他人のメタファー)が出現。「より良い対話のために聞かせてください」「シーライオンがあなたにどんな悪いことをしたのか、証拠はありますか?」「あなたの意見を支える根拠は?ないんですね?」などと昼夜問わず執拗に質問を繰り返し、女性を疲弊させる。

そして女性の家にも自ら乗り込み「あなたは一度公共の場で声を上げましたよね(だからこのように責められるのは当たり前ですよね)」「会話がしたかっただけなのに、失礼だ」などと発言。この一連のやりとりから、シーライオンを動詞化したシーライオニングという言葉が生まれた。

なお、先述した漫画では、女性の発言にも動物差別や人種差別的な問題が含まれるのではという批判も集まっている。しかし、作者は「漫画はあくまで比喩表現であり、シーライオンや特定の動物を表すものではない。人間の特徴的な行動を比喩しており、人種や種などを表現していない」とコメントしている。

シーライオニングの問題点

シーライオニングは、生産的な対話にとって悪影響を及ぼす。

良い議論というものは、反対・少数意見に対する理解と相互を尊重することで行われ、対話を継続させる。一方で、シーライオニングは、自分の意見に反対する相手に対してひっきりなしに質問を繰り返し、答えや証拠を即座に要求する。

シーライオニングをしてしまう人は、事象に対する基本的な知識や、他の場所でも容易にリサーチできる内容について執拗に質問し続けたり、さらには関係のないトピックを持ち出したりしながら、相手に回答や証拠を求める。これは対話ではなく、対話を断ち切る行為とされている。

また、こうしてしつこく本筋と関係ない質問に答えなくてはならない状況が作られることで、もともと何かの問題に対して声を上げている人の忍耐力や集中力などを疲弊させてしまうという問題点もある。

シーライオニングの問題点は、シーライオニングをする人だけのものではない。シーライオニングを非難する人にも起こりうる。

例えばオンライン上で、自分の見解について説明したり弁護したりするよう求めてくる人に対し、「シーライオニングだ!」と叫べば、相手を黙らせることができるだろう。「シーライオニングだ!」と非難すれば、自分に求められた質問について考えたり答えたりする必要がなくなる。しかし、この行為もまた対話を断ち切ってしまうものとなりかねない。

シーライオニングとトーンポリシングの違い

トーンポリシングもシーライオニング同様、主にオンライン上での行為に対して使われる言葉だが、その内容や方法は異なる。

トーンポリシングとは、社会的課題について声を上げた相手に対し、主張内容ではなく、相手の話し方、態度、付随する感情を批判することで、論点をずらすこと。話し方のトーン(Tone)を取り締まる(Policing)という意味から、「話し方警察」等とも訳される。

典型的なトーンポリシングの具体例には、誰かが声を上げた際、特に怒りの感情を伴って声を上げた人に対して「伝え方が悪い」「そんな言い方では伝わらない」「もっと良い伝え方があった」「怒らないで主張してほしい」などといった指摘が挙げられる。これらの言葉は「相手の話し方」について言及するばかりで、声を上げた人の意見や内容を無視していることから問題とされる。

シーライオニングとマンスプレイニングの違い

マンスプレイニングは、主に男性が(相手を無知と決めつけて)何かを解説したり、相手に求められていないにも拘らず知識をひけらかしたりすることを指す言葉。「man(男性)」と「explaining(説明・解説する)」をかけあわせた用語である。

人に質問する行為や人に解説や説明をする行為自体は決して悪いことではない。だが、繰り返し質問することで相手を疲弊させるシーライオニングも、相手を自分の思い込みから見下して行われるマンスプレイニングも、相手を不快にさせたり不利益を与えたりする行為となる。

シーライオニングの対策

何がシーライオニングにあたるのか、見抜くのは難しい。「相手に礼儀正しく素直なふりを続けながら」行われるからだ。加えて、誰かの視点を理解しようと正当に行動している、自分がシーライオニングをしていないと証明することもまた難しい。自分はただ素朴な疑問を投げかけただけ、という意識かもしれない。

もし相手が対話をすべき対象だとしたら、シーライオニングをすることも、シーライオニングを非難することも避けることが重要である(一方で、シーライオニングはSNSなどで赤の他人から突然行われることも多い)。ここからは、自分がシーライオニングをしないための対策をいくつか紹介する。

質問する意図を明確にする

誰かの視点を理解するために質問する際、なぜ質問するのか、その理由を明確にすることでシーライオニングになることを避けることができる。

質問する意図を明確にすることで、嫌がらせのために質問しているのではないこと、純粋に相手が語る内容について知りたいと思っていること、相手に質問への脅威を感じさせないことにつながる。

並べ立てて質問しない

非営利団体「Equal Rights Institute」は質問の仕方について「DON’T BE A REPORTER(記者になるな)」と書いている。本文に掲載されていた悪い例を以下に記す。

「人工妊娠中絶についてどう思いますか?妊娠9カ月間の中絶を支持しますか?それとも、どこかで区切りをつけるべきだと思いますか?妊娠3ヶ月とか?妊娠中期?妊娠初期?…では、性選択による中絶についてはどう思いますか?障害による中絶は?」

それぞれの質問自体が悪いわけではない。けれど、会話の中で矢継ぎ早に質問することは相手に不快感を与えてしまう。質問されている相手は、まるで自分が証言台の上で詰問されているような気分になるはずだ。

記者や検事になりきって質問を並べ立てることは避け、会話の中で自然に質問を折り込むよう努める必要がある。

質問に答える相手に逃げ場を用意する

シーライオニングの明らかな問題点に、相手の見解に対する証拠や情報源、説明を「即座に」要求することがあげられる。シーライオニングをする人は、相手が5秒以内に確固たる事実でその人の主張を裏付けることができなければ、相手の主張を無効にするはずだ。だが、そのような行動は対話の場において失礼な行為である。

誰かに質問をする際は、相手が質問に対して全ての答えを持っていると期待しないことが大切だ。何かの証拠や説明を求める質問をする際は、「情報源について教えてください。もし今、あなたが情報源を持っていないのであれば、それでも構いません」というように、今すぐ答えたり、情報源を提供したりする必要はないと申し出て、相手に逃げ場を用意しよう。

自分の考えを先に言うことを受け入れる

あなたが質問ばかりして、自分の考えを言わない状態が続くと、相手は会話の中で守勢に立たされたと感じることになる。相手があなたの考えを聞いてきた時には、たとえ相手があなたからの質問に答えていなかったとしても、自分の考えを伝えよう。相手に対して、常に自分の考えを先に言うよう主張してはならない。

最初に自分の考えを述べる場合には、必ず「これは『自分の考え』である」と伝えた上で、最後に相手の意見を求めるとよい。例えば「私としては〇〇だと思います。あなたはどう思いますか?」というように。

また相手が質問に答えるのに苦労しているようであれば、まず自分の考えを提供すると申し出ることもできる。相手に逃げ場を用意するのと同じように、自分の考えを先に述べることで、相手は質問をより十分に咀嚼する時間を得ることができるし、あなたの考えに賛成または反対するものに基づいて回答を作ることができる。

もし相手が戸惑っているようであれば、このような声かけをするのもよいだろう。

「今すぐ答えが見つからなくても大丈夫です。もしよければ、私の考えをお話しします。そうすれば、あなたが何に賛成で何に反対なのかを明確にする助けになるかもしれません」

シーライオニングされた時の対処法

オンライン上、特にSNS上でシーライオニングを受けた際には、あなたのコメントはシーライオニングする人のためのものではなく、あなたのコメントを読んでいる他の人のためであることを忘れないという姿勢も大切だ。

シーライオニングをする人に嫌味を言ったところで、シーライオニングをする人の行動が変わるわけでも、あなたの指摘が読むに値するものだと他の誰かが納得するわけでもない。シーライオニングされることを我慢する必要はないし、我慢すべきではないが、だからといってシーライオニングする人に反応し続けても良いことはない。

不愉快な態度を返す代わりに、あなたが見習いたいと思うような振る舞いを見本に、相手の行動を指摘して丁重に会話を終わらせよう。以下に例をあげる。

「私はこの件について、あなたと大いに議論したいと思っています。あなたは強い考えや意見を持っているようだし、このことについてよく考えている。でも、今のあなたのやり方はとても攻撃的で、生産的な会話ができるかどうかわかりません。」

まとめ

もしあなたが誰かを質問攻めにしたり、あなたを攻撃してくる相手に質問で反撃したくなったら、立ち止まって深呼吸をして、そもそもなぜこの対話をするのか思い出してほしい。質問すること自体は武器ではないし、この対話は戦争でもない。純粋に質問し、なぜ知りたいのかを説明し、即答を求めず、自ら進んで質問に答えること。あなたが生産的な対話の模範となれば、シーライオニングを忘却の彼方へと追いやることができる。

シーライオニングは、無意識かそうで無いかにかかわらず、発信している人を傷つけることに繋がってしまう。誰もがSNS上で繋がれる時代だからこそ、声を上げる人も、質問する人も、本当に議論すべき相手以外には自分の大切な時間を費やす必要はないのだ。オンライン上の世界で疲弊してしまわないように、自分自身をしっかり守り、対話すべき相手としっかり向き合っていく状況を目指したい。

※1 #1062; The Terrible Sea Lion(Wondermark)

【参照サイト】What is Sealioning?: A Type of Trolling | Merriam-Webster
【参照サイト】‘Sealioning’ is the word that sums up why Twitter discussion is so unbearable – Macleans.ca
【参照サイト】‘Sealioning’ Is A Common Trolling Tactic On Social Media–What Is It?
【参照サイト】Sealioning: The Fastest Way to Shut Down Dialogue – ERI Blog




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