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ダークパターンとは・意味

ダークパターン

ダークパターンとは?

ダークパターンとは、アプリやWebサービスなどにおいて、ユーザーを騙したり誤解させたりする目的で作られたユーザーインターフェースのこと。使いにくい、わかりづらいなど、ユーザーに対して不親切というだけではなく、ユーザーを誘導し、気づかないうちにユーザーにとって不利益や害をもたらす選択を行わせる点が特徴である。

スマートフォンやタブレットの普及により、日常的にインターネットに接続する機会が増え、様々なオンラインサービスが発達した。その一方で、日常生活でタークパターンに触れるリスクも増えており、近年その危険性が指摘され始めている。

ダークパターンが注目される背景

「ダークパターン」という言葉は、2010年にUXデザイナーであるHarry Brigunull氏により使われ始めた。2010年、同氏は「Dark Patterns(現 Deceptive Design)」というサイトを開設。同サイトでは、ダークパターンを用いた企業事例や、ダークパターンの特徴が紹介されている他、各国の法規制も掲載されており、啓蒙活動が続けられている。

また、経済協力開発機構(OECD)などの国際機関や、日本の消費者庁も警鐘を鳴らしている。ダークパターンによる被害は、経済的不利益だけでなく、意図しない形での個人情報の流出やプライバシーの侵害も含まれており、ユーザー自身も無意識のうちに被害を被っている恐れがあるためだ。

ダークパターンの事例

ダークパターンには様々な傾向がある。プリンストン大学では、以下の分類で警鐘を鳴らしている。

  • こっそり(Sneaking):オンラインショップ上の買い物かごの中に、ユーザーの同意なく別の商品が入っていたり、知らない間に別の商品の購入に同意させられていたりすること。
  • 隠れたコスト(Hidden Costs):商品代金や発送費用、消費税以外に、「購入手続き」費用や「商品のケア」費用など知らされていなかったコストが、商品の購入・決済の段階でいつの間にか含まれていること。
  • 隠れたサブスクリプション(Hidden Subscription):1回きりの購入のつもりがサブスクリプション購入であったり、無料トライアルに登録したつもりがサブスクリプション登録をしていたり、気づかないうちにサブスクリプションの購入に同意させられていたりすること。
  • 緊急性(Urgency):期間限定でないにもかかわらず、あたかも割引や特典のオファーが期間限定であるかのように見せかけること。例えば、実際はあと数時間あるにもかかわらず、「割引適用はあと数十分」などのカウントダウンが表示され、ユーザーの購入意思決定に影響を与えようとする例が挙げられる。
  • 視覚的干渉(Misdirection):事業者側に有利な選択肢を視覚的に強調することで、ユーザーが他の選択肢を選ばないようにすること。例えば、商品の閲覧時や購入時に、「特別なオファーを受けられる無料のユーザー登録をする」「商品のアップグレードをする」といった選択肢を、より大きなアイコンや色を目立たせて表示する例が挙げられる。
  • 社会的証明(Social Proof):ユーザーに購入を促すために、多くのユーザーがまさに今商品を購入しようとしているように見せたり、商品の人気があるように見せかけたりすること。例えば、数か月前の閲覧数や販売実績を、「直近数時間でこれだけ売れました」と直近のことのように紹介したり、「今何人のユーザーが同じ商品を閲覧しています」と虚偽の表示をすることなどが挙げられる。
  • (希少性)Scarcity:あたかも商品が品切れ間近のように見せかけること。例えば、常に「あと残り3点」という表示が出たり、具体的な在庫数は見せずに「品切れ間近」と表示したりする例が挙げられる。
  • 妨害(Obstruction):解約やプライバシー設定の変更等をユーザーが簡単に行えないよう、オンライン上で完結する手続きではなくサポートセンターへのメールや電話での連絡を強制したり、手続きに関する十分な説明を表示しなかったりすること。
  • 強制(Forced Action):ユーザーが希望する行動を行うために、本来関係ないにもかかわらず、ユーザー登録や個人情報の開示等を強制すること。例えば、オンラインショップサイト上の商品ページを閲覧するために、会員登録をしたり、ニュースレターの購読を強制したりすることが挙げられる。

ダークパターンの目的

それではなぜ、ダークパターンは起きるのだろうか。主に、以下の理由が挙げられる。

  • より多くユーザーに消費させるため
  • より多くの情報をユーザーから引き出すため
  • より中毒性の高いサービスにするため

ユーザーが意図しない形で、事業者側に有利な選択をさせ、事業者側の収益最大化を図るために、ダークパターンは行われている。そしてダークパターンを有効なものにするために、事業者側が消費者の行動バイアスや心理バイアスを分析し、またオンラインという環境を用いて、事業者側に有利なユーザー行動を促すインターフェースを研究・設計しているのだ。

このように、ダークパターンはインターフェース上の問題ではあるが、デザインそのものの問題だけでなく、事業者側のビジネス戦略や方針により生じている問題でもある。

ダークパターンに対する取り組み

ダークパターンからユーザーを保護するため、イギリスや、EU諸国、米国カリフォルニア州等、様々な国と地域で消費者保護や個人情報保護のための法規制が制定されつつある。日本では、2023年10月現在、ダークパターンそのものを包括的に規制する法令は見当たらないものの、景品表示法による優良誤認・有利誤認表示の禁止や、特定商取引法による誇大広告の禁止の他、特定商取引法の令和3年改正法では、通信販売のサブスクリプションサービスに関して最終確認画面で一定情報の表示が義務化されている。また、2023年10月から、景品表示法によりステルスマーケティングが禁止されている(※1)

また、事業者自身も倫理規定を設けるなど、ダークパターンを未然に防ぐことが、自社の評判悪化リスクを抑え、ユーザーからの支持を維持することに繋がるだろう。ユーザー側もダークパターンに巻き込まれないよう、先述の「Deceptive Design」などを活用してダークパターンの事例に関する情報を入手し、自身がオンライン上で購入する際に注意をする必要がある。

まとめ

ダークパターンは、主にオンライン上のユーザーインターフェースの事例を指す。しかし、その背景にあるのは、「より多くのものを消費させる」など、オンライン利用が普及する以前から見られたであろう事業者側のビジネス戦略だ。

今後、ダークパターンに対する取り締まりが本格化することが期待されるが、事業者、そしてユーザー自身が、ダークパターンの事例やパターンに関して積極的に情報を集めることが、ダークパターンを回避することにつながるだろう。

※1 ダークパターンに対する米英の規制動向及び日本の現況(西村あさひ法律事務所)

【参照サイト】ダークパターン その構造と向き合い方(消費者庁、長谷川敦士)
【参照サイト】ICPEN詐欺防止月間(2023年)(消費者庁)
【参照サイト】Deceptive Patterns
【参照サイト】Dark commercial patterns(OECD)
【参照サイト】Dark Patterns(Princeton University)




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