ダボス会議とは・意味
ダボス会議とは
ダボス会議とは、スイスのダボスで開催される、世界経済フォーラム(World Economic Forum)の年次総会のこと。この会議には、各国から様々なリーダーが集まり、よりよい社会のための議論が行われる。そのテーマは、環境問題、経済、技術、雇用、健康、国際協力、社会平等など幅広く、社会に責任を負う「ステークホルダー資本主義(※1)」という概念をもとに、様々な議論が行われる。
※1 企業は、株主だけでなく、すべてのステークホルダー(従業員、供給者、地域社会など)に利益をもたらすべき」という考え方
ダボス会議の変遷(1971年~2020年)
世界経済フォーラムの始まりは、1971年。ドイツの経済学者であるクラウス・シュワブ教授が「ステークホルダー理論」の構想をもとに創設したことによる。毎年1月に開催されるダボス会議は過去50年で様々なテーマを議論し、世界情勢に大きく影響を与えてきた。以下では6つの主要な出来事を取り上げる。
ギリシャとトルコの両国の関係は1988年に戦争寸前まで悪化していた。しかし、ダボス会議の個別会談でトルコのトゥルグト・オザル首相とギリシャのゲオルギオス・アンドレアス・パパンドレウ首相は信頼関係を構築し、戦争を回避した。また、関係の正常化の証として両首相は「ダボス宣言」に調印した。
ギリシャとトルコの信頼回復は、世界経済フォーラム創設者のシュワブ教授がアテネとアンカラに何度も足を運び、両国の首相会談を実現させたからだとされている。
1989年にベルリンの壁が崩壊し、1990年10月3日にドイツは統一された。年次総会では「新しいヨーロッパ」という題のセッションが行われ、東西ヨーロッパの要人らが、東西ドイツの経済統一を支える柱である東ドイツの通貨安定プログラムを構築した。
アパルトヘイトとは、南アフリカで1948年から1990年代初めの間、法によって定められていた人種隔離と差別の制度だ。ネルソン・マンデラ氏は、反アパルトヘイト運動のリーダーであり、1990年に投獄生活から釈放された。南アフリカ共和国のF・W・デクラーク大統領とマンデラ氏の握手は、長く続いた人種差別の終結を象徴した。
この年の総会のテーマは「世界的な金融システムの改革」であり、アジア市場に影響を及ぼす金融危機に対する議論が行われた。参加者は、開発途上国を金融システム改革に関与させる必要性を強調し、先進国と途上国の10か国ずつの20か国で構成される組織が設立された。当初の会議参加者は、財務担当相に限定されていたが、シュワブ教授の提案により、2008年からは首脳レベルの会議へと格上げされた。
毎年ダボスで開催される年次総会だが、2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件から、米国と市民との連帯を示すために会場をニューヨークへ移設した。これまでダボス以外で行われた会議はこの年だけだ。
スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリ氏や、イギリスの動物学者であり、環境保護を提唱する番組プロデューサーのデイビッド・アッテンボロー氏らが、緊急を要する環境問題をアジェンダにするべきだと提案した。世界経済フォーラムの「気候変動イニシアチブ」には航空機産業や海運業などあらゆる産業が2050年までにネットゼロエミッション(炭素排出量を実質ゼロにすること)を目指す「ミッション・ポシブル」などがあり、全世界の気候変動に対する活動が進められている。
2022年ダボス会議
2022年は、「歴史的転換点における、政策とビジネス戦略のゆくえ」をテーマとし、5月22日から26日の間、ダボスで開催された。新型コロナウイルスの影響で2021年の年次総会が中止されたことに加えてオミクロン株拡大の影響を受け、対面ではおよそ2年半ぶり、異例の5月に開催された。パンデミックと戦争によって世界が多極化した前例のない状況下で、世界のリーダーたちが一堂に会する最初のサミットとなった。
世界経済フォーラム創始者のシュワブ氏は、2022年の総会について「政治、ビジネス、市民社会、メディアから約2,500人のリーダーが直接集まるという事実は、危機的状況にある世界の問題に立ち向かうために、信頼できる、非公式かつ行動重視のグローバルなプラットフォームの必要性を示しているのです」と述べている。
2022年度の議題は大きく6つに分けられる。
ダボス会議2022は、イベントの持続可能性に関するマネジメントシステムであるISO20121認証を受けている。二酸化炭素の排出削減を目指しており、世界経済フォーラムの年次総会は2017年からスイス国内外の環境プロジェクトを支援して100%オフセット(相殺)している。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、キーウからオンラインでスピーチを行い、ロシアへの制裁を最大限にするよう訴えた。世界のリーダーたちに向けて、すべての外国企業をロシア市場から完全に撤退させる前例をつくること、ロシア産の石油の禁輸や貿易の停止などを求めた。
まとめ
世界経済フォーラムが主催するダボス会議は、50年以上にわたって世界に大きな影響を与えてきた。目まぐるしく変化する世界情勢のなかで、今後も新たな考えや取り組みが生まれていくことが予想される。
この世界経済フォーラムは、日本語のサイトもあるため情報収集もしやすい。誰でも、公開されている報告書やセッションの映像を無料で視聴することができるので、是非観てみてはいかがだろうか。幅広い知識が身に着くことはもちろん、世界に生きる一人として大切な情報を入手できる良い機会だろう。次年度以降のダボス会議にも注目したい。
【参照サイト】WORLD ECONOMIC FORUM 世界経済フォーラムの50年の軌跡とこれから:年次総会のハイライト、そしてその先へ
【参照サイト】WORLD ECONOMIC FORUM 世界経済フォーラム年次総会2022、スイスのダボスで開催 多極化する世界に影響を与える地政学的・経済的な挑戦 前例のない課題に取り組む
【参照サイト】WORLD ECONOMIC FOURUM 報告書
【参照サイト】WORLD ECONOMIC FORUM 世界経済フォーラム 年次総会2022
【参照サイト】国連広報センター アパルトヘイト
【参照サイト】NHK NEWS WEB ゼレンスキー大統領”ロシアに最大限の制裁を“ダボス会議
【参照サイト】JIJI.com ダボス会議、5月開催 対面方式で2年半ぶり
【参照サイト】環境省 共通ガイドライン
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- Internet of Abilities(能力のインターネット)
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J
L
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