EUタクソノミーとは?
EUタクソノミーとは、企業の経済活動が地球環境にとって持続可能であるかどうかを判定し、グリーンな投資を促すEU独自の仕組みのことである。タクソノミーは「分類」という意味で、持続可能な経済活動に取り組む企業の明確化を目的としている。気候変動対策と経済成長の両立を目指す「欧州グリーンディール」の中核をなし、分類の具体的なプロセスを定めたタクソノミー規則(Regulation)はEU加盟国全てに適応され、国内法よりも優先される。
EUタクソノミーの役割
欧州委員会が2019年末に発表した欧州グリーンディールの目的は、2050年までのカーボンニュートラル達成である。2030年までの10年間で、およそ1兆ユーロ(120兆円)の資金が必要だが、莫大な投資を公的機関だけでまかなうことは難しい。民間企業の資金を活用するとしても、投資したお金が実際に持続可能なプロジェクトに対して使われるかどうかは不透明である。
つまり、投資対象の持続可能性を評価したうえで透明性の高い情報を投資家へ提供することで資金を獲得することがEUタクソノミーの役割であり、グリーンウォッシュの排除にも繋がる。
タクソノミー規則(Taxonomy Regulation)について
EUタクソノミーを実装するため、2018年に欧州委員会は「サステナブルファイナンスに関する専門家グループ(TEG)」を立ち上げ、タクソノミー規則の策定に取りかかった。2019年、欧州理事会と欧州議会が審議のうえで修正を加えた規則案は、2020年3月にTEGが提出した最終レポートを経て、6月に採択された。
6つの環境目標
タクソノミー規則は、以下の環境目標を掲げている。
- 気候変動の緩和
- 気候変動への適応
- 水と海洋資源の持続可能な利用及び保全
- サーキュラーエコノミーへの移行
- 環境汚染・公害の防止及び抑制
- 生物多様性と生態系の保護及び回復
4つの判定基準
「サステナブルな経済活動」と判定されるには、以下の基準を全てクリアする必要がある。
- 環境目標の一つ以上に対して実質的な貢献をしているか
- その他の環境目標に対して著しい害を及ぼしていないか
- 環境(E)に加えて社会(S)に関する最低限の基準を満たしているか
- 欧州委員会が指定した一定の技術水準に準拠しているか
情報開示の条件とゴール
EUタクソノミーに基づいて、情報開示が求められる企業には2つの種類がある。1つは500人以上の従業員を抱える大企業、もう1つは金融市場に参加している企業である。大企業の場合は経済活動全体に対して、金融市場に参加している企業の場合は金融商品全体に対してタクソノミー規則に適合した経済活動の割合を算出して公開することが求められる。
金融機関や行政、投資家は開示された情報を参考にしてグリーンな投資を行うことが可能になる。サステナブルな経済活動に資金が流れることで、経済成長を続けながらカーボンニュートラルを達成する、つまり経済成長とエネルギー消費を切り離すデカップリングの実現が最終的なゴールとされている。
世界への影響と今後の展開
現時点では、EU域内の企業及び現地法人に対する適用が想定されており、実際にタクソノミー規則が効力を持つのは2022年からである。しかし、今後は適用される範囲が拡大され、EU域内の投資家を株主に持つ日本企業に対しても、情報開示が求められる可能性がある。また、経済のグローバル化が進んだ今の状況を踏まえれば、EUタクソノミーそのものが世界基準となることも考えられる。
EUタクソノミーの適用によって、企業はこれまでの資本主義的なビジネススタイルから、地球や社会への影響を大前提としたビジネスへと大転換を迫られる。しかし見方を変えれば、これまでサステナブルな活動を展開してきた企業にとってはビジネスチャンスでもある。また、株主を最優先とするこれまでの業績評価システムから、環境や社会というグローバルスタンダードが評価の最優先事項になることで企業のあり方も大きく変わるかもしれない。
今後、国内でも独自の基準が策定される、もしくはEUタクソノミーが近い形で適用されることを考えれば、サステナブルな経済活動を率いていく可能性は、全ての企業に与えられていると言えるだろう。
【関連ページ】 サーキュラーエコノミーとは・意味
【参照サイト】 【Research Clip】EUタクソノミー規制について
【参照サイト】 EU taxonomy for sustainable activities | European Commission
【参照サイト】 TEG final report on the EU taxonomy
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