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生物多様性フットプリントとは・意味

生物多様性

生物多様性フットプリントとは

生物多様性フットプリント(Biodiversity Footprint)とは、自然資源を消費しながら、海や森林などの土地を利用、改変してものを生産し消費する人間の生産活動が、地球上の生物多様性に与えるインパクトの大きさを数値化した指標のこと。

生物多様性フットプリントでは、その活動が「周辺生物の絶滅確率をどれくらい上げるか」で影響の大きさを表す。

フットプリントは「足跡」を意味する言葉であり、同様に人間活動がもたらす環境負荷を分かりやすく示す基準としては、ヒトの活動で出る温室効果ガスを数値化したものを示す「カーボンフットプリント」や、商品・製品の生産から消費、そして廃棄の過程で消費される水の量を示す「ウォーターフットプリント」、環境に与える負担を数値化したものを示す「エコロジカルフットプリント」などがある。

地球上で長い年月をかけて作り出され、存在している生態系(生物多様性)は昨今、地球環境保護を考える上でひとつの重要な指標となっている。

生物多様性の危機はほとんどが人間活動によるもの

WWFが発行した『生きている地球レポート2020』によると、1970年以降、人間活動によって地球上の陸地の75%が改変され、湿地の85%が失われたという。

それにより2016年までで、生物多様性の傾向を測る「生きている地球指数(LPI)」は、各生物種全体で平均68%低下したといわれている。
 
また、国際自然保護連合(IUCN)が公開する、絶滅危機にある野生生物のリスト「レッドリスト」では、2021年10月時点で3万8,543種もの野生生物が、最も絶滅の恐れが高い3カテゴリーに記載されている。

こうした世界的な生物多様性の危機のほとんどは、人間の生産活動が要因となっている。

生物多様性フットプリントを多く生み出す生産活動

生物多様性フットプリントを多く生み出す生産活動の例としては、次のようなものがある。熱帯林など、生物多様性が豊かな自然環境を利用、改変し生産活動を行う場合、生物多様性フットプリントはより大きくなる。

  • パーム油
  • 食品や石けんなど日常に幅広く使われるパーム油の生産では、東南アジアで熱帯雨林を伐採して切り開き、パームヤシのプランテーションを行う。これによりオランウータンが棲家を追われ絶滅の危機にひんしているほか、現地に生息する多くの生物に影響を与えている。

  • コットン
  • 服や生活用品に多く使用される綿の栽培では、大量の水資源を消費するため、淡水の生物多様性に深刻な影響を与えている。

  • 木材
  • 紙や建築資材などさまざまな製品に使用される木材の生産は、森林の過剰伐採や、生物多様性が高い熱帯諸国からの輸入により、多くの生物多様性フットプリントを生む。

生物多様性フットプリントを減らす対策

こうした生産活動において発生する生物多様性フットプリントを減らす具体的な対策としては、例えば以下のようなことがある。

  • 資源を持続可能な方法で調達する。
  • 森林や海の環境保全に努めながら生産を行う。
  • 資源の過剰消費をなくし、生産活動を生態系に影響を及ぼさない範囲に抑える。
  • 生物多様性への影響が少ない代替地での生産に切り替える。

これらは大規模な生産活動に携わる大手企業やサプライヤーが率先して計画し、取り組む必要がある。

ひとつの数値では測れない生物多様性フットプリント

しかし生物多様性フットプリントは、カーボンフットプリントでいう「CO2」のようにひとつの単位で測ることができないため、正確に把握することが難しいのが特徴だ。

自然の生態系は多種多様な生物によって構成され、多くの要因が複雑に関わり影響しあっているため、生物種や周辺環境によっても影響は異なってくる。

また、生物多様性に影響を与える要因も、開発や農業などによる土地利用の改変、鉱物採取、狩猟や漁業、そのほか外来生物、気候変動などさまざまだ。

生物多様性の現状を正確につかむためには研究機関だけでなく、生産活動を行う企業や生産地などが多く関わり、生物多様性フットプリントを多面的に測っていく必要がある。

持続可能な発展に欠かせない生物多様性

私たち人間もほかの生物と同じく、自然のなかの生態系を構成するひとつの要素であり、生物多様性は人間の健康や発展にとっても欠かせないものである。

国境を越えて生産や物流が行われる現在では、国内にとどまらず、世界全体で生産・消費を持続可能な方法で行い、環境保全に努めていく努力が大切だ。そのための共通する指針として活用できるのが、生物多様性フットプリントである。

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【参考サイト】 WWF 『生きている地球レポート2020』
【参考サイト】 WWF 絶滅の危機に瀕している世界の野生生物のリスト「レッドリスト」について
【参考サイト】 WWF コットンって環境に悪い?サステナブルファッション視点でのコットンの生産と利用
【参考サイト】 国立環境研究所 「資源消費により地球規模で波及する生物多様性への影響」




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