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持続可能な森林経営とは・意味

森林

持続可能な森林経営とは?

持続可能な森林経営(Sustainable Forest Management, SFM)とは、生物多様性、生産性、再生能力、活力を保持しながら、現在と未来の社会の経済的、生態学的、社会的なニーズを満たすための森林の管理と利用の過程のことをいう。

ITTO(国際熱帯木材機関)は、「森林製品及びサービスをその本来の価値と将来の生産性を過度に低下させることなく、また物理的・社会的環境に過度の望ましくない影響を及ぼすことなく、持続可能な森林製品及びサービスの生産に関して、一つ以上の明確な目標を達成するための森林経営プロセス」と定義している。

世界的な人口増加と開発途上国の生活水準の向上に伴い、世界全体の森林面積は減少が続いており、森林破壊に歯止めをかけるとともに持続可能な森林経営に向けた取り組み強化が求められている。

減少が続く世界の森林面積と国際社会の取り組み

FAO(国際連合食糧農業機関)の「世界森林資源評価2020」によれば、2020年の世界の森林面積は陸地面積の約3割に相当する約40億ヘクタールである。2020年までの直近の10年間では減少ペースはやや鈍化しているものの、過去30年間にわたり森林面積の減少が続いている。

この森林減少(Deforestration)の原因とされているのが木材、紙パルプ、パーム油、天然ゴム、牛肉、大豆、カカオなどの森林リスク・コモディティだ。特に南米やアフリカでこうしたコモディティの世界的な需要増加に応えるために森林伐採が行われている。

(出典)林野庁

(出典)林野庁

こうした森林減少は、自然環境の悪化、生物多様性の損失、先住民の人権侵害などの問題を招いており、持続可能な森林経営に向けたさまざまな国際的な取り組みが行われている。

ITTO(国際熱帯木材機関):
木材の生産国37か国、消費国38か国が加盟している森林資源の保全と産業育成・貿易促進を目指す国際機関。政策ガイドラインの作成や開発途上国への技術支援を行っている。

FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会):
適切に管理された森林から産出された木材を区別するための認証機関として1994年に設立。2023年5月時点で認証を取得した森林は世界で1.6億ha、製材・加工工場は54,921か所に上る。

CDP(Carbon Disclosure Project)
森林リスク・コモディティに関する企業の取組みをリスクと機会、戦略、ガバナンスなど多角的に評価するプログラム「CDPフォレスト」を運営している。企業はCDPから高い評価を得ることにより、ESGインデックスに組み入れられる可能性が高まると言われている。

近年、世界の最重要アジェンダである気候変動問題の解決には、二酸化炭素の吸収源である森林の減少を食い止めることが不可欠との認識が広がった。これを受けて、2021年11月の気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に際して開催された世界リーダーズサミットでは、2030年までに森林減少を食い止めることを謳った「森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」が採択された。

同宣言には世界140か国以上が署名し、英国では大企業にサプライチェーンの環境デューデリジェンスを義務付ける法律が成立し、EUでも同様の法案の審議が行われている。

【参照サイト】林野庁 森林・林業分野の国際的取組  
【参照サイト】ITTO(国際熱帯木材機関)持続可能な森林経営 
【参照サイト】FSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会) 
【参照サイト】CDP CDPフォレストレポート2022 




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