コンシャスキャピタリズムとは・意味
コンシャスキャピタリズムとは
コンシャスキャピタリズムとは、社会に意識を向けることを意味するconsciousと資本主義を指すcapitalizmを合わせた言葉だ。社会をよくすることや世の中にポジティブな影響を与えることを目指しながら、ビジネスでの成功の両立を目指す考え方である。
2013年にアメリカ大手オーガニック食品会社であるホールフーズの共同設立者であるジョン・マッキーとラジェンドラ・シソディアの二人が書籍「Conscious Capitalism」で提唱した。書籍の日本語版「世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー」ではコンシャス・カンパニーを、コンシャスキャピタリズムを志向する企業のこととして指している。
コンシャスキャピタリズムの要素
企業がコンシャスキャピタリズムの考え方を重視するにあたっては、「企業の存在意義の再考」「ステークホルダーへの姿勢」「リーダーシップ」「企業文化」の4つの観点を重視する必要があるとされている。これら4つの要素がそろうことで、コンシャスキャピタリズムを実現できる。
- 企業の存在意義の再考:企業は収益を生んで継続させることを目的とするだけでなく、自社事業が誰にどのような社会的価値を生むのかを捉えなおすこと。程度の高い存在意義によって、ステークホルダーのエンゲージメントを高くすることができる。
- ステークホルダーへの姿勢:自社の事業が影響を与えるステークホルダーに、顧客や取引先だけでなく、環境や社会なども含めて世の中への影響に注意すること。よいステークホルダーとの関係性によって、よりよいビジネスを生むことができる。
- リーダーシップ:ステークホルダーの興味を惹くことにより、自社のコンシャスキャピタリズムに賛同を集める旗振りをすること
- 企業文化:企業の存在意義を社内に浸透させることで、ステークホルダー同士あるいはステークホルダーと企業の存在意義を繋ぐこと
コンシャスキャピタリズムを実践する企業
資本主義を通して社会的価値の創出を目指すコンシャスキャピタリズムを実践する企業は増えており、代表的な例にホールフーズやパタゴニアなどが挙げられる。
ホールフーズはオーガニック食品や自然食品を中心に販売する小売業者だが、企業のミッションとして「環境と人の繁栄」をうたっている。同社は食の安全、環境負荷の少ないオーガニック食品の栽培、遺伝子組み換え作物の不使用、持続可能な調達などを重視しながらビジネスを展開している。
ビジネス以外にも、途上国でマイクロクレジットを展開する財団(Whole Planet Foundation)、学校へ野菜を提供するプログラム(Whole Kids Foundation)、地域に健康的な食事を提供するプログラム(Whole Cities Foundation)などの非営利事業を運用し、同社のミッション達成を目指している点が特徴的だ。
パタゴニアはアウトドア製品を製造販売する企業だが、ミッションとして「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」と掲げている。元々登山用道具の開発・販売からスタートした同社は、自然を楽しむ道具を提供する企業として、自然環境の保護を最重視している。
同社では、メーカーを問わない服の修理の積極的な実施、環境負荷の少ないオーガニックコットンの使用、リサイクル素材の使用、フェアトレード素材の使用などをビジネスプロセスに導入している。さらに、売り上げの1%を環境団体に寄付し、環境保護の取り組みをサポートしている。
コンシャスキャピタリズムの今後
社会課題解決の必要性や企業の社会的責任が議論される風潮は、今後も広まっていくだろう。その中で、企業の社会的な責任とビジネスとしての成功の両立がさらに重視されることが予測される。コンシャスキャピタリズムは、そのような潮流の中で、企業が目指すべき指針の中心的な考え方の一つとして今後も活用されるだろう。
【参照サイト】コンシャスキャピタリズム
【参照サイト】ホールフーズ
【参照サイト】パタゴニア
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