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セクストーションとは・意味

セクストーション

セクストーション

セクストーションとは?

「sex(性的な)」と「extortion(脅迫・ゆすり)」を組み合わせた造語で、相手の性的な写真や動画を言葉巧みに入手し、友人や家族にばらまいたり、インターネット上で拡散するなどと脅迫する行為のこと。SNSやマッチングアプリなどを通じて行われるものや、パソコンなどのデバイスのハッキングによるものなど、その手口もさまざまである。セクストーションは組織的なサイバー犯罪であることが多く、また、近年10代〜20代の若い世代を中心に世界的にその被害が深刻化しており、注意喚起が行われている。

セクストーションの手口

セクストーションは、最初はSNSやマッチングアプリでメッセージを送り、何気ない会話で相手を安心させ、性的な画像を送るように仕向けるような流れが一般的である。さらにやりとりの中で、不正アプリなどをダウンロードさせ、被害者の電話帳など連絡先を入手し、送信した性的画像をその人たち宛に送ると脅迫する。脅迫された側は、周囲にも相談しづらく、不安や恐怖など心理的に追い込まれ、加害者側の要求を呑まざるを得ない状況になってしまう。また、パソコンなどのデバイスをハッキングして、保存された画像の不正入手やウェブカメラの遠隔操作による盗撮をし、その画像や動画をインターネット上で拡散するといったメッセージを送りつけ相手を脅迫するパターンなどもある。

セクストーションの目的や対象は主に下記の2つのタイプがある。

1.「支配」を目的としたもの

対象となるのは女性が多く、恋愛感情を抱かせるなどして画像や動画を送らせ、そのデータを元に被害者の不安を煽り、支配的立場を利用しさらに過激なものを要求する。若い女性の性的画像は売買される商品となり得るため、こうしてより多くのコンテンツを入手することを目的としている。

2.「金銭」を目的としたもの

対象となるのは男性が多く、異性を装った加害者に誘導され画像や動画を送ってしまうと、それを拡散されたくなければお金を払え、といった脅迫をし、金銭を要求する目的のもの。
一度支払うだけでは済まず、要求額がどんどん高額になるものや、今すぐ支払わないと画像を公開するなどとカウントダウン型で被害者を精神的にパニックにさせ金銭を支払わせるなど、被害者側の心理を巧みに操った悪質なものも多い。

セクストーションの現状

セクストーションを仕掛けているとされている犯罪組織グループはナイジェリアやコートジボワールなどの西アフリカ地域やフィリピンなどの東南アジア地域を中心に活動していると見られている。被害は欧米をはじめ、アジアなど世界的に広がり、追い込まれた被害者が自殺に至るケースなども出てきており、対策が急務となっている。アメリカのFBI(連邦捜査局)などは特集ページ(※1)を開設し、国民への警告を行っている。2022年にはインターポール(国際刑事警察機構)により香港やシンガポールなどの地域を狙いセクストーションを繰り返していた国際的なサイバー犯罪組織が摘発された。この組織による被害は少なくとも30件以上で被害総額は47,000USドルに達していると言われている。

また、FacebookやInstagramを運営する米・Meta社は2024年にセクストーションの加害者側が関与したと想定されるフェイクアカウントなど6万を超えるアカウントの削除を行った。さらにアメリカ、イギリス、カナダで10代の若年層を中心とした数百万人を対象に、セクストーションに関する警告動画を配信するなど、対策を強化している。

一方、日本でもここ数年セクストーションの被害が増えている。スマートフォンやインターネット上などでの「デジタル性暴力」などの被害支援を行っているNPO法人「ぱっぷす」によると、2015年頃からそのような事例はあったが、2022年の秋以降ぐらいから相談件数が急増し、多い時では月に70件を超えることもあり(※2)、全体の相談件数の中でも多数を占めている。しかし日本では「セクストーション」という言葉自体の認知度は低いのが現状である。

セクストーション被害の予防と被害に遭ったら

日常的に利用しているSNSやパソコンを通じて、気がついたら被害者になる可能性があるセクストーション。また、一度共有してしまったデジタルデータは完全に削除することは難しく、常に自分の恥ずかしい画像などが、いつまたどこで拡散されるかという不安に付きまとわれる。ではどのように被害を防ぐことができるのだろうか。まず自分自身でできることとして、以下のようなことが挙げられる。

  • 他人に見られて困る画像や動画をスマートフォンやパソコン内に保存しない
  • またそのような画像や動画のデータを第三者に共有しない
  • 公式のアプリストアで配信されていない不正アプリをダウンロードしない

国の取り組みとしては、2023年には盗撮を罰する「撮影罪」が新たに定められたが、今後もさらなる法整備なども必要だろう。また、国や警察、地域社会などが性犯罪について知識の少ない若年者層に正しい情報を伝え認知を広めることも大切だ。

万一、被害に遭ってしまった場合には、パニックに陥らず以下のように冷静に対応しよう。

  • やりとりの画面などをスクリーンショットで撮影し証拠を残す
  • 相手をブロック・通報
  • 不正アプリなどをインストールした場合は削除を試みる。削除できない場合はスマートフォンの電源を切るか、機内モードにして通信を遮断
  • 警察に相談
  • プロバイダに画像・動画の削除要請

また、困った場合は前述の「ぱっぷす」のような支援団体に相談することもひとつの方法だ。

まとめ

セクストーションのようなサイバー犯罪は、AIなどデジタル技術の進化によりさらに複雑化し、さまざまに形を変え被害者を狙ってくるかもしれない。また犯罪組織も世界各地にわたりなかなか全容解明は難しい。しかし、セクストーションは犯罪であり、万一自身や周囲の人が被害にあった場合でも、被害者が自己責任を負うのではなく、法律などで対応できることも知っておくことが必要だ。ひとりで悩まず、声を上げていくことが自分自身の助けにもなり、また新たな被害者を防ぐことにもつながるだろう。


※1 FBI | Sextortion
※2 ぱっぷす | 金銭セクストーション被害が急増しています

【参照サイト】NHK みんなでプラス | セクストーションとは デジタル性暴力の被害事例 – 性暴力を考える
【参照サイト】NHK | デジタルでだまされない セクストーションとは 性的脅迫のサイバー犯罪 被害者が語る実態 SNSで性的画像や動画を送らせる 注意点は
【参照サイト】Bloomberg | 若者を「セクストーション」被害から守れ、インスタグラムが警戒促す
【参照サイト】ハフポスト NEWS | セクストーション被害が「自己責任」の日本。削除要請に200万円以上を支払う人も
【参照サイト】INTERPOL | Asia: Sextortion ring dismantled by police




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