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フェミニズムとは・意味

フェミニズム

フェミニズムとは?

フェミニズムとは、性差別をなくし、性差別による不当な扱いや不利益を解消しようとする思想や運動のことである。フェミニズムはその歴史から女性権利向上・女性尊重の運動だと捉えられがちだが、男性嫌悪や女性だけを支持するものではなく、男女両方の平等な権利を訴える運動である。そのため、行動や発言に表れるあらゆる性差別から、社会や制度に根付いた構造的性差別まで、幅広い事象を対象とする。

フェミニズムの歴史

フェミニズムには歴史上、特徴や目的に沿って第一波から第三波までの大きな流れがあった。

第一波フェミニズム

第一波フェミニズムは19世紀末から 20世紀初頭に行われた、男性と平等の市民権を求める運動である。具体的には女性の参政権、相続権、財産権、政治的平等を訴えた。

19世紀に奴隷解放運動に携った女性の間で生まれたため、アメリカやイギリスが運動の先駆けとなった。アメリカでは1848年、「女の独立宣言」とも呼ばれる女性参政権を求める宣言が提出され運動が活発化。イギリスでも、女性集団「サフラジェット」が登場し、女性の参政権を獲得。これをきっかけに各国でも大規模な運動が行われた。

しかし参政権の獲得のみでは、女性の地位向上や社会的に男女平等を妨げる大きな壁を排除することはできず、第二波フェミニズムにつながる。

第二波フェミニズム

第二波フェミニズムは1960年代後半から70年代前半にかけて行われた運動で、ウーマンリブ(女性解放運動)とも呼ばれる。

アメリカのフェミニスト作家ケイト・ミレットが著作「性の植民地」で語った、「個人的なことは政治的なこと」というキーワードが第二波フェミニズムを端的に表している。女性の家庭での役割概念や生殖の自由など私領域で起きていた諸問題が、社会の男女不平等問題と密接に絡み合っていることを訴求したのだ。その事実に気付いた女性たちが、社会が求める女性像からの解放を求めた運動であった。

第三波フェミニズム

第三波フェミニズムは1980年代終わりから1990年代にかけて行われた、「インターセクショナリティ」「ダイバーシティ」を重視し、「自分らしさ」を求める運動である。

90年代初頭にアメリカを中心に行われたライオット・ガール・ムーブメントが代表的な運動として紹介されている。ライオット・ガール・ムーブメントとは、1990年代前半にビキニ・キル、ブラットモービル、ヘヴン・トゥ・ベッツィーなどガールズバンドによるパンク・ロック音楽から巻き起こったムーブメントで、ステレオタイプ化された女性像を拒否した女性たちが、自らの手で女性性を取り戻そうとした動きである。ジン作り、アート、集会など自己表現を通し、全米の女性に拡がった。

第三波フェミニズムでは、性別だけでなく、人種、宗教、性的指向など様々な差異に関係なく、誰もが自分らしくいられる社会を目指す動きがとられた。こうした第三波フェミニズムの動きは、国境や人種を越える活動であるため、「グローバル・フェミニズム」とする見方もある。

フェミニズムの現在

オンラインアクティビズム

現代のフェミニズムではSNSを中心とした「オンラインアクティビズム」の動きが活発化している。

世界的に有名になった「Me too運動」はその代表例。セクハラや性的暴行の体験についてハッシュタグ「#Me Too」を付けてSNSで発信する運動で、ハリウッド女優や世界中の著名人が発信したことで大きな話題となった。

日本では、この「Me too運動」と連動した「Ku too運動」が記憶に新しい。女性が職場でヒールやパンプスを強制されることへの抗議ムーブメントで「いいね」の数は約6万7千件に上り、約3万回リツイートされた。

このように居住地や国境、人種を超えてタイムリーに連携できるSNS上での運動が盛り上がりをみせている。

現代のフェミニズムの留意点

一方、SNS上でのフェミニズムムーブメントは、 限られたコミュニティのみでの意見交換が活発になるため、同じような意見を見聞きし続けることによって、自分の意見が増幅・強化されるエコーチェンバー現象の危険をはらんでいる。

また、2018年にイギリスで行なわれたYouGov調査では、81%が「すべてにおいて男女は平等に扱われるべきだ」と回答したが、「フェミニストである」と答えた人は27%に留まり、フェミニストと公言することをためらう人が多いことを示している。

「男性嫌い、過激な女性主義がフェミニズムである」という世間の誤ったイメージがフェミニズムを敬遠させている要因の一つではないだろうか。

フェミニズムとは先述のように、決して男性嫌悪や女性だけのための運動ではなく、全ての人が性差別を受けることなく、自分らしく生きる社会を目指す運動である。

ジェンダーギャップ指数2021における日本の順位は156か国中120位、主要7か国(G7)で最下位だった。男性でも女性でも性別に関係なく、男女平等を願う全ての人が身の回りで起きる違和感に声をあげれば、ジェンダーギャップの問題は解決していくのではないだろうか。まずは第一歩として、フェミニズムへの正しい理解と広い視野が必要だ。

【参照サイト】ジェンダー論(堀口悦子)
【参照サイト】フェミニズムの新しい潮流 : 「第4波フェミニズム」(荒木生)
【参照サイト】ハイヒール強制やめて 「#KuToo運動」世界が共感(朝日新聞)
【参照サイト】「共同参画」2021年5月号(内閣府男女共同参画局)

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