ローカリゼーションとは？

「ローカリゼーション」とは、地域の中で資源やお金を回し、生産地と消費地、生産者と消費者、人々と自然界の距離を縮め、地域の人々が自分たちで自立して経済（エコノミー）を回すことを指す。「グローバリゼーション」の対極にある活動・あり方と言うこともできるだろう。

ローカリゼーションのあり方を問うドキュメンタリー映画『幸せの経済学』の監督を務めたヘレナ・ノーバーグ＝ホッジ氏は、以下のように「ローカリゼーション」の過程を表現している。

「地域にある小さなビジネスを再評価し、巨大な企業に奪われていた富や豊かさを取り戻す。多国籍企業に依存するようになってしまった地域や国がもう一度自立していくことです。」（※）

「ローカリゼーション」が注目されている背景

ローカリゼーションが注目されるようになった背景には、グローバリゼーションで大企業の価値観が広まり、便利な品物・輸入品が溢れるようになったり、西欧の競争主義が持ち込まれたりしたことがある。これにより、世界各地の地域社会で培われてきた人々の営みや固有の言語、文化、自然とのつながりがないがしろにされてきた。

「このままでは固有の文化や自然とのつながりが失われる」という危機感を持った人たちが、地産地消を進め、なるべく地域密着型のお店でものを買ったり、自給自足をしたり、物々交換をしたりする「ローカリゼーション」を提唱。その考え方が受け入れられ、世界中にローカリゼーション活動が広まっていった。

ローカリゼーションのメリット・デメリット

メリットは、地域の経済が豊かになり、人のつながりが増え、固有の文化や生活の営みが復活する点だ。また、災害や感染症の蔓延などで輸入が困難になった際も、地域で経済を回すことができ、食料や生活に困らずに済む。

デメリットは、これまで享受してきた安さ、便利さを我慢しなければならない面もあることだ。地域で丁寧に作られたものは、安い人件費・材料費で生産された商品より値段が高くなることがあるためである。

ローカリゼーションの事例

・英国の町トットネスでは、トランジション・タウン運動が盛んになっている。これは、市民が自分たちの地域にある資源を活用しながら、脱石油型の暮らしを目指すムーブメントで、世界的に注目されている。

・メキシコのトセパン協同組合では、昔ながら森を守る農法を続け、地域でコーヒー栽培、袋詰め、エコツーリズム、銀行などのスモールビジネスを立ち上げ、地域の中で経済を回している。

・世界のローカリゼーション運動をネットワークする国際組織ローカル・フューチャーズは、毎年6月12日をローカリゼーションデーに定め、イベントやキャンペーンを開催。世界の地域のローカリゼーションの取り組みを紹介し合うイベントもあり、多様なつながりを作り、より大きなムーブメントを起こす力になっている。また、別のプロジェクトとしてウェブサイト上でローカリゼーションの「アクションガイド」を発信。誰でも気軽に取り組める、ローカリゼーションの方法を、いろんな切り口で紹介している。

ローカリゼーションの今後

「ローカリゼーション」とカタカナで聞くと遠く感じるが、日本語にするなら「地産地消」「地域でのつながりづくり」「地元を大切にする」といったことが全て、ローカリゼーションの活動に含まれる。こうした言葉が近年よく聞かれていることから、日本でも「ローカリゼーション」の機運が高まっていると言えるだろう。

また近年は、ローカリゼーションデーのイベントが毎年６月におこなわれており、日本中から参加者が集まっている。

▶2022年のウェブサイト：　
Localization Day Japan 2022

人々の関心の高まりにより、ローカリゼーションのアクションの１つとも言える「地産地消」という言葉は、一般的な言葉になった。地元のつながりや地域ならではの行事の重要性を再認識している人も増えている。また、新型コロナウイルスの蔓延による影響で、これまで支障なく海外から調達していた製品が手に入りにくくなる事態が生じており、ローカルで調達できる体制に注目が集まっている。「ローカリゼーション」というあり方を目指す人は、日本でも、世界でも、ますます多くなっていくだろう。

※　ローカリゼーションで幸せになれる？映画『幸せの経済学』に学ぶローカリゼーション・ムーブメント（greenz）

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