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コーズマーケティングとは・意味

cause marketing

コーズマーケティングとは?

コーズマーケティングまたはコーズ・リレーテッド・マーケティング(Cause Related Marketing)は、企業がモノやサービスを売るための仕組みと「社会的な大義」を結び付ける手法を指す。

たとえば、消費者がモノやサービスの購入を通じて、環境保護や社会貢献活動をする団体に寄付できる仕組みなどだ。具体的には、以下のようなものを指す。

  • アプリを1つダウンロードすることで、森に1本木が植えられる
  • 食べ物を1つ購入することで、飢餓に苦しむ子どもたちの給食1食分となる
  • エシカルな服を購入することで、強制労働を撤廃するための取り組みの資金となる

消費者はモノやサービスを得るだけでなく社会貢献の一端を担うことができ、また企業も社会貢献に加えイメージアップによる利益の拡大が見込めるため、コーズマーケティングは双方にとってプラスになる施策と言えるだろう。最近では世界中で多くの企業がCSR(社会的責任)活動の一環として取り組み始めている。

コーズマーケティングが生まれた背景

現代におけるコーズマーケティングの概念が広く世に知られるようになった理由の1つに、1983年にアメリカン・エクスプレス社が行った「自由の女神復元プロジェクト」があげられる。同社のカード利用1回につき1セント、カードの発行1枚につき1ドルをプロジェクトに寄付するという取り組みだ。

この取り組みによる4か月間の寄付総額は200万ドル(約2億6,000万円 )にのぼり、カードの利用数は27%、カード発行枚数も45%アップし、結果として大きな成功を収めたと言われている。

※ 2022年8月時点

現在、ますます多くの企業が自分たちのパーパスを公表して

コーズマーケティングの事例

世界の企業によるコーズマーケティング

アメリカン・エクスプレスのプロジェクトを皮切りに、さまざまな企業がコーズマーケティングを自社の販売戦略の中に取り込んでいった。

例えば、アップル社やコカ・コーラ社、スターバックス社などのグローバル消費財メーカーが「プロジェクト・レッド」というアフリカのエイズ対策プログラムを支援する取り組みを行っている。各メーカーが展開する「(PRODUCT)RED」と呼ばれる共通ブランド商品の販売で得た収益の一部を、世界エイズ・結核・マラリア対策基金に寄付するというものだ。

世界最大の一般消費財メーカーP&Gは、2006年からユニセフとパートナーシップを結び、コーズマーケティングを行っている。赤ちゃん用の紙おむつ1パックにつき、破傷風ワクチンを1つ途上国に寄付しているのだ。普段から紙おむつを購入する親世代を中心に、共感を呼んでいる。

日本とコーズマーケティング

日本にコーズマーケティングを普及させるきっかけとも言われる事例は、キリンホールディングスの「1ℓ for 10ℓ(ワンリッター フォー テンリッター)」プロジェクトだ。同社は2007年~2016年にかけて、ユニセフのアフリカのマリ共和国における水と衛生に関するプロジェクトを、同社製品「Volvic(ボルヴィック)」を通じて支援する取り組みを行った。

コーズが自社商品のイメージとマッチしていたことや魅力的なPR施策が功を奏し、多くのターゲットユーザーを惹きこんだ結果、寄付額は約3億円に到達し様々な支援活動に活かされている。

考えたい視点:グリーンウォッシュになっていないか?

多くの社会課題が顕在化する中で、社会貢献と経済活動の両立を可能にするコーズマーケティングは、企業だけでなく消費者の意識・行動をも変えることが期待される。

一方で、企業が社会や環境に貢献したいという揺るぎない目的を持って活動し、消費者がそうした企業の意思に共感して行動を起こさない限りは、意味を成さないどころか社会に不利益をもたらすリスクもある。

社会貢献の意思がないまたは不十分なままに、単なるイメージアップや利益拡大だけを目的にキャンペーンを行えば、それを見透かした消費者から反感を買うことになり企業への信頼も失われるだろう。

実際に、環境に配慮していると見せかけて実情はそうではない商品やサービスを売る「グリーンウォッシュ」と呼ばれる概念が存在する。

世界的ファストフードチェーンのマクドナルド社は、2018年にイギリスとアイルランドで提供するストローを全てプラスチックから紙製に切り替えた。当初紙製のストローは100%リサイクル可能ということから消費者の共感や賞賛を集めていたが、それらのストローが廃棄されていたことが判明し、グリーンウォッシュであるとの批判を受けたのだ。

企業に社会的責任を負っている立場を自覚した行動が求められることは当然だが、消費者である私たちも、自分の目で支持すべきものを見極める力やそれに基づいて行動を起こす力を養う必要があるだろう。

コーズマーケティングのこれから

CSRやSDGsといった概念が広まりつつある中で、コーズマーケティングを戦略に取り入れる企業は今後も増えていくと予想されるだろう。自社や業界の特徴を理解したうえで果たすべき責任を自覚し、消費者を上手く巻き込んで社会貢献に繋げるという本来の目的に即した活動として、さらなる拡がりを見せることを期待したい。

【関連記事】CSRとは・意味
【参照サイト】Cause Marketing Forum – By Ed Chansky, Attorney at Greenberg Traurig, LLP
【参照サイト】グローバルファンド日本委員会 – プロダクト(RED)
【参照サイト】キリンホールディングス – Volvic-ユニセフ「1ℓ for 10ℓ(ワンリッター フォー テンリッター)」プログラム最終年となる2016年度の最終結果報告




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